それぞれの思いを抱いて、いざ、コートへ
2012年01月02日 12時15分
「オールジャパン2012」の2日目は注目のチームが続々と登場してきます。たとえばbjリーグから初参戦となる千葉ジェッツ。たとえば高校選手権の覇者である神奈川県立金沢総合高等学校。そして男子の大学1位の青山学院大学と、女子の大学1位の早稲田大学。彼らはそのカテゴリーを背負っての登場となるわけです。その名に恥じぬプレイを見せてくれるでしょう。
そういった注目チームが出場するという理由もあるのでしょうか、開場の1時間前にも関わらず、多くの人が列をなして待っていました。多くのファンが自分たちの後押しをしてくれている。選手にとっては本当に心強いことです。選手たちにはそういったファンのためにも最高のゲームを展開してもらいたいと思います。
注目チームの1つ、千葉ジェッツと対戦する中国ブロック代表、ツースリーの枝折康孝選手は昨日、こう言っていました。
「公式戦でbjリーグのチームと試合をさせてもらうことはまずないので、チャレンジャーとして向かっていくだけです。強いとは思いますが、自分たちが練習をしてきたことを出したいです」
確かに普段は自分たちのカテゴリーだけで公式戦をしていますが、オールジャパンだけは他のカテゴリーと、公式戦として、試合ができるのです。改めてオールジャパンのよさに気付かされます。ツースリーがどうやって千葉ジェッツに食い下がるのか。それとも千葉ジェッツが一気に離して、プロの実力をまざまざと見せつけるのか。第1試合のDコートに注目です。
女子ではWJBL8位のアイシン・エイ・ダブリュ ウイングスが登場します。昨年、WJBL8位のチームが社会人1位のチームに敗れたため、他のWリーグのチームよりも1日早い始動となります。対戦するのは東海ブロック代表のLOWSです。実はこのLOWSには昨シーズンまでアイシン・エイ・ダブリュに所属していた選手がいます。佐藤詩織選手です。引退して、最初のオールジャパンで古巣と対決することになりました。
「古巣のメンバーとはすごく仲がいいので、今日(1月1日)もメールして、『マッチアップしないでよ』なんてことを言われたんですけど、ノビノビとプレイしたいと思います」
古巣相手にどれだけノビノビとプレイできるのか、佐藤選手のプレイにも注目したいと思います。それぞれの選手たちが、それぞれの思いを抱きながら「オールジャパン2012」の2日目は始まります。
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最後まで高校王者らしかった延岡学園高
2012年01月02日 01時11分
やはり「高校3冠」はフロックではありませんでした。
本日の4試合目に登場した高校選手権・延岡学園高は、JBL2で3位のレノヴァ鹿児島と対戦し、【67-85】で敗れはしたものの、第3ピリオドの途中までリードをするなど大健闘を見せてくれました。北郷純一郎コーチも「高校生らしく最後まで頑張ったゲームだったと思います。選手たちもゲームを楽しんだんじゃないでしょうか。上には上がいるということで勉強にもなったでしょうし…まぁ、彼らにとっては負けることも勉強でしょう」とゲームを振り返っていましたが、まさに彼らはゲームを楽しみ、これから自分たちが進んでいくかもしれない道の先を少しでも感じることができたのではないでしょうか。
ウインターカップが終わってから2日間、練習会場の問題などもあって、選手たちはまったく練習をしていなかったそうです。それでも途中までリードができていた要因をエースのベンドラメ礼生選手はこう言っています。
「最初から気楽に臨めて、思いきりできたので、硬くなることがなかったから、いいリズムでゲームができたんだと思います」
もしかしたら、硬くなっていたのはレノヴァ鹿児島の選手のほうかもしれません。格の違いを見せつけなければいけないという思いに苛まれ、自分たちのペースが掴めない。しかし相手は高校生とはいえ、今年度3回行われた全国大会では1度も負けなかった選手たちです。常に昨日の自分を越えるべく高みを目指し続けていた、その実力に間違いはないわけで、それに加えて相手は格上なのだから負けても失うものはないという思いきりのよさも出て、いいリズムを掴んだのでしょう。
ベンドラメ選手は2日間の休養について、
「試合前のウォーミングアップでビックリしました。体が重くて全然飛べないし、ボールも12面体に変わって(JX-ENEOSウインターカップ2011ではナイキ製の8面体のボールを使用していましたが、オールジャパン2012ではモルテン製の12面体を使用しています)、全然感覚が違うからまずいなと思っていました。普段でも2日間連続で休むことはないし、1日休みがあっても自主練習をやっているので、2日間ボールを触らないのは帰省のときくらいしかなくて…」
と言っています。
ある意味で完全休養が2日間もあったことがコンディショニングを含めて、最終的に18点も開いた原因なのかもしれません。
これでベンドラメ選手をはじめとした延岡学園高3年生の高校バスケットは幕を下ろしました。「このチームはとても強いので、このチームでまだやっていきたいという気持ちがあります…さみしいですね」とベンドラメ選手は言います。それでもこのチームで得た経験は間違いなく次のステージや、今後彼らが生きていくうえでプラスになっていくと思います。それはスタメンの選手たちだけではなく、ベンチメンバーも含めてです。ベンドラメ選手の次の言葉がそれをよく示しています。
「このチームが強かったのは、2年生だった昨年から主体でやってきたというのもあるし、身近にBチームという今まで戦ってきた中で一番強いチームがいて、そのチームと日ごろ5対5をして、切磋琢磨し合ったので、それでチームのレベルが上がったんだと思います」
すべての選手に、自信を持って次のステージへと向かってほしいところです。
逆にレノヴァ鹿児島にはこの試合を1つの教訓として、明日の拓殖大学戦に臨んでもらいたいと思います。延岡学園高の北郷コーチは「負けて元々。思いきり楽しもう」と言いながらも、勝負は捨てていませんでした。「残り3分のところでも『まだ追いかけられる』と言っていましたから」(北郷コーチ)。それは選手も同じこと。勝負の舞台に立っているわけですから、相手がどんな格上だろうが、格下だろうが、全力で戦い抜き、そのうえに楽しみを感じてもらいたいと思います。
年を重ね、経験を積めば積むほど、勝負の先が見えてくるものなのかもしれません。それでも最後まで諦めなかった延岡学園高の、高校王者らしい姿勢に「あっぱれ」をあげたいと思います。
■チケット情報
今大会のチケットは、
「チケットバスケット」をはじめ、各プレイガイドにて販売中です。
チケットの詳細は、
チケットページにてご確認の上、お早めにお買い求めください。
大会第2日目となる明日、2012年1月2日(月・祝)は、当日券販売開始時間(場合によって早まる可能性があります)、開場時間ともに、
11:00からとなります。是非、会場へ足を運んでください。
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ツースリーの結実と、早稲田大の誤算
2012年01月01日 18時24分
「このチームは元々のツースリーのメンバーと、地元で開催される国体のために出身県に戻ってきた選手で構成されるチームで、国体で勝つことを第一に目指していました。国体では負けてしまったんですけど、ツースリーとしては前回(2009年)、初めてオールジャパンに出場したときに負けたので、一勝することをモチベーションにして練習に取り組んできました」
中国ブロック代表のツースリーのポイントガード、枝折康孝選手はそう言います。その言葉どおり、ツースリーは大学7位の早稲田大学を【74-73】で逃げ切りました。枝折選手はこう続けます。
「とにかくチームとしてはディフェンスを練習してきましたので、ディフェンスはある程度通用するかなと思っていました。でも早稲田も大きくて、力のある14番の子(久保田遼選手)がいるので、彼のプレイは研究して、ダブルチームの行き方など部分的な練習もしてきました。あとはオフェンスの部分。国体では出身県に戻ってきた選手が中心で試合に出ていましたが、その何人かが抜けて、このチームになったとき、オフェンスの考え方の違いがあったんです。そのオフェンスの違いをとにかく整理して、ムービングからの1対1を狙ってきました」
得点はエースの島袋脩選手がドライブに、ジャンプシュートにとフル回転をします。ただときに無理するところがあるので「彼が気持よくプレイできるように」と司令塔の枝折選手は考えていたと言います。そういった入念な準備があってこその――国体チームとしては東京に遠征し、早稲田大と同じ関東大学1部リーグに所属する日本大などと練習試合をしていたそうです――オールジャパン初勝利だったのです。
一方の早稲田大は完全にチームとしての形を失っていました。もちろん戦おうという気持ちはあったでしょう。しかし「卒業論文などがあって12月はほとんど練習ができず、そこからチームとしてのまとまりが欠けてしまった」と倉石平監督は唇を噛みます。
「学生のいいところであるチャレンジャー精神でガンガン走って、ガンガンぶつかっていく謙虚な気持ちで戦っていればこんな結果にはならなかっただろうし、もっと楽に勝てていたと思うんですけど、それが『これくらいでいいだろう』という気持ちで、学生同士でゲームをやっているような気持ちになると、受けに回ることになるので、今回のような結果になりますよね…特にツースリーは山口国体の集大成という気持ちもあったでしょうし」
気持ちの面が、1点差ではありますが、結果に大きく響きました。これも1つの「1点の重み」といっていいかもしれません。早稲田大のポイントガード、大塚勇人選手もそれを認めています。
「前日の過ごし方を含めて、全体的にゲームに軽く入ってしまいました…プレイも悪かったし、(司令塔である)ボクの選択も悪かったです。全体的に気持ちが入っていなかったのかもしれません。それでもいつか自分たちに波がくるんじゃないか、逆転できるんじゃないかって思っていたんですけど、結局それが最後まで来なくて、重い雰囲気でやってしまいました」
口幅ったいことを言えば、やはり真摯な態度でバスケットに向き合わなければ、たとえ下位回戦であったとしても勝利を手にすることはできません。ツースリーはチームとしての全国初勝利のために相手を研究し、試合にも入っていきました。試合が始まる1時間前にはすでにシューティングを開始して、ゲームに向かっていたのです。そのことは、逆に言えば、敗れた早稲田大にとってはいい薬となったでしょう。大塚選手は言います。
「これからは(4年生でインサイドの要であった)久保田さんが卒業するし、この結果をいい薬として来年に向けて変えていかないと今の早稲田は楽に勝てるチームではないので…ボクたち上級生がチームを変えていかなければいけないし、バスケットをちゃんと見つめ直していきたいと思います。期待していてください」
勝ったツースリーは明日、bjリーグの千葉ジェッツと対戦します。今日のように自分たちのバスケットをして、思いきりプレイしてもらいたいと思います。そして敗れた早稲田大学にはもう一度、自分たちが早稲田大学でプレイする意味を考えながら、もう一度立て直してもらいたいと思います。
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