現地レポート

若き司令塔の野望RSS

2012年01月04日 22時17分

「今日はツーガードのような形になったので、そうなると彼がポイントガードをするという形になりました。特別、彼に『ポイントガードをやりなさい』と言ったわけではありません。出ている5人のなかで結果としてポイントガードになっただけです」


東芝ブレイブサンダースの北卓也ヘッドコーチはそう言いながら、一方で、


「彼に求めていることはポイントガードとしての力をもっとつけてほしいという期待と、あとはトランジションが得意なので、そこを出してほしいということ。あとは声を出して引っ張る力は持っていますので、リーダーシップみたいなところを求めています」


とも言います。


「彼」とはルーキーの篠山竜青選手のことです。今日の拓殖大学戦では約26分出場して、11得点・6アシスト、ターンオーバーはゼロです。格下相手とはいえ、今日の内容はチームとしても彼自身としても及第点と言っていいでしょう。そんな篠山選手は、昨年まで所属していた大学バスケットと、JBLという日本最高峰のバスケットの違いをどのように感じているのでしょうか。それを尋ねると


「アイシンシーホースの桜木ジェイアール選手を見ていてすごく感じることなんですが、本当に落ち着いているし、それほど運動量があるわけではないんですけど、バスケットIQが高いというか、そういうところの経験値が大学生とは違うところだなと感じています」


と答えてくれました。そのあたりはこれからの課題というわけでしょう。加えて、北ヘッドコーチからは「状況に応じたゲームコントロールが課題だ」と言われています。それは篠山選手自身も認めています。


「東芝はセットプレイが多いチームなので、状況に応じたコントロールができるようになることが今、一番の課題だと思っています。少しずつ手応えを感じていたのですが、11月のレバンガ北海道戦で勝って、自分でもこれからというときに怪我をしてしまったので、それがもったいなかったなと。今はしっかりとコンディションを戻して、気持ち的にも余裕が出るようにしたいところですね」


篠山選手のルーキーとは思えないリーダーシップは、おとなしい印象のある東芝において重要な要素であると思います。北陸高校時代は「やんちゃ」というイメージが強かった篠山選手ですが、東芝の一員となった今は落ち着いて取材にも応じています。


「東芝の選手はみんなやさしい…悪い言い方をすればおとなしいので、だから自分のそういう(やんちゃな)個性は失わないようにしたいと思っています。もちろん大人にならなければいけない部分はありますが、個性として残していかなければいけないところもあるので、そこのバランスはしっかりと取っていきたいです」


篠山選手の「やんちゃさ」が、現在JBL8位の東芝を上昇気流に乗せるかもしれません。しかもリーグ戦8位であっても、優勝を狙えるのがオールジャパンのおもしろさです。


「もちろん自分としてもオールジャパンの結果を勢いに変えたいという思いはあるので、一発勝負ということを前向きに捉えて、ここで一波乱起こしたいと思います」


大胆不敵な大物ルーキーか、それとも生意気なビッグマウスか――準々決勝のトヨタ自動車アルバルク戦では、東芝の若き司令塔・篠山竜青選手に注目してもらいたいと思います。

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