現地レポート

情熱、いまだ衰えず――笑顔の最年長選手RSS

2012年01月02日 17時53分


バスケットボールは「経験のスポーツ」と言われることがあります。もちろんそれは間違いないのですが、経験だけで勝てるかと言えば、そうではありません。経験だけで勝てるのであれば、50歳、60歳の選手がいたとしてもいいわけですが、そういう選手がいないのは経験が1つの武器であり、体力、スピードなど他にも選手としての不可欠な要素がたくさんあるからです。


その意味でいえば、47歳になった今もなおチームの主力選手としてプレイしてい小野田美幸選手(LOWS)はとてつもない選手であると言えます。男女を通しても、今大会に出場している最年長選手なのです。いまだにバスケットに対する気持ちが衰えていないからこそ、こうやってプレイできるのでしょう。それについて小野田選手はこう言っています。


「たぶんそれは今、ものすごく弱いんですけど、愛知県内の中学や高校を指導していまして、そこでエネルギーをもらっているからだと思います。指導していても、まだ『この子たちには負けたくない』という思いがあって、それで自分も楽しめているのだと思います」


実はこの小野田選手、10年前に引退していますが、現在のトヨタ自動車アンテロープスでプレイしていた元Wリーグの選手なのです。引退後はトヨタ自動車で働きながら、平日に2回中学生を指導し、週末に高校生を指導するという日々を送っているとのことです。LOWSとしては練習をほとんどしていないので、さすがに体力は衰えたと言いますが、それでも「とりあえずジャンプはまだ飛べるような気がしています…こればかりは親に感謝でしょうか」と言って、笑っていました。


またこの「練習をあまりしていない」ということが、気持ちの面でも小野田選手には功を奏しているようです。「若い子たちと同じモチベーションでバスケットに臨めています」と言っているからです。


LOWS自体は3月におこなわれる「全日本クラブバスケットボール選手権大会」で優勝することを第一目標に戦っているチームです。例年ですと、オールジャパンは東海ブロックを勝ち抜くのが困難なので、重きを置いていなかったのですが、今年はチャンスだと思って、出場を狙っていたと小野田選手は言います。狙って、しっかりと出場し、しかも1回戦を突破しているのですから、やはり力があるということでしょう。


チームを結成して10年、初めて出たオールジャパンを精いっぱい楽しんだのではないでしょうか。2回戦のアイシン・エイ・ダブリュ ウイングス戦は【52‐94】で敗れてしまいましたが、小野田選手を筆頭にLOWSのメンバーは笑顔と真顔をクルクルと変えながら、最後まで楽しく戦っていました。


「オールジャパンに初めて出場して、この舞台でプレイできる楽しさを知ってしまったので、また出たいなという気持ちにはなっています。Wリーグのチームとまたやらせてもらいたいと思います。倒したい?そんな倒したいなんておそれ多いですよ」


最後まで笑顔でそう答える小野田選手。失礼を承知で書けば、47歳になってもなお現役選手として第一線でプレイできているのは、バスケットボールというスポーツを心から楽しんでいる、その笑顔があるからかもしれません。


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