歴史に名を刻んだ男たちRSS
2012年01月04日 17時43分
オールジャパン2012では公式プログラムとともに「財団法人日本バスケットボール協会80年史」という冊子も販売しています。これまでの日本のバスケットの歴史を編纂したものです。もし今後100年史、200年史を作ることになるのであれば、間違いなくこの試合はその1ページに加えられるでしょう。JBL7位のレバンガ北海道とbjリーグの千葉ジェッツとの一戦です。結果は【97-59】で北海道が勝ちました。
初めてJBLのチームと公式戦を行った千葉ジェッツのポイントガード・田中健介選手は
「もうちょっと終盤まで競った試合をしたかったなと思うんですけど、やっぱり力の差が出たんじゃないかなと思います。向こう(北海道)はバスケットがうまいというか、5人でうまく点数を取るという感じなんだけど、こちらは我慢しきれずに1対1をやっちゃって、それがミスになったというところに、この点差が出たんだと思います。個々というよりも、もっともっとチーム力を上げていかないと勝てないんじゃないかと思いました」
と、完敗を認めています。JBLの東芝ブレイブサンダースでプレイしたことがあり、今日の試合では千葉ジェッツでトップの16得点を挙げた板倉令奈選手は試合をこう振り返りました。
「正直10回やって9回は向こう(北海道)が勝つというほど戦力の差があることは初めからわかっていたので、でも一発勝負ということでその回のチャンスをつかめたらいいなと思ってやったんですけど…僕らのほうがサイズが小さいので、ディフェンスリバウンドを1回で取ること、そこから速い展開でフロントコートに入っていく。それを40分間持続できれば勝機はあるかなと思っていました。でも、やっぱり(敗因は)リバウンドですね。僕らは取れず、逆に向こうは僕らがやりたい1回でリバウンドを取って、そこからしっかりフロントコートに入っていったので、なかなかリズムが出なかったですね」
確かに板倉選手が言うように、千葉の36リバウンドに対して、北海道はそれを30本も上回る66リバウンドをあげています。これでは苦しい。ただ第2ピリオド以降、板倉選手が積極的にゴールに向かうなど、手応えもあったように思います。それは板倉選手も認めています。
「オンザコート1(外国人選手が1チーム1人しかコートに立てないこと)の練習を3回くらいしたんですけど、普通なら3回だけだと準備不足で自信が持てないとなるんです。でもそうはならずに、もちろんタフなゲームにはなると思っていましたが、すごく自信を持てたので序盤から積極的にプレイすることができました」
一方のレバンガ北海道・桜井良太選手は38点差がついている「けど」、と言います。
「やってみていいシューターが揃っているし、そこまで選手の差があるとは思っていません。ただ向こう(千葉)はちょっと外国人選手の1対1に頼りすぎるというか、あれだけトップポジションからガチャガチャやってくると僕らはそこに集まって守るので、そこでミスが起きていましたよね。もう少しチームとしてシステム的にプレイすれば、個々の選手のいいところが出て、もっといいチームになるなと思いました。そういうところで差がついたのかなと思います」
今シーズン、トーステン・ロイブルヘッドコーチの下、チームとして戦って、その手応えを感じている桜井選手だからこそ、そう見えたのでしょう。いろんなチームと戦えるからこそ見えてくるものがあります。それがバスケットの楽しさの1つでもありますし、選手たちもそれを感じながら、この歴史的な試合を楽しんだのではないでしょうか。
この一戦について、田中選手、板倉選手、そして桜井選手は以下のように言っています。
「本当に意味のある試合だったと思います。JBLとの初めての公式戦ということで僕らもすごく頑張ってやろうと力を合わせてやってきました。ただやっぱり…(JBLは)強かったですね。もっともっと交流をして、お互いが刺激しあって、両方がレベルアップしていけば、日本のバスケットも盛り上がるんじゃないかなと思います」(田中選手)
「オールジャパンだけではなく、また千葉ジェッツだけではなく、いろんなチームがもっとJBLのチームと交流を持って、日本のバスケットボールが明るくなっていければなと思いました。その最初の舞台に立てたことは光栄なことだし、すごく楽しかったです」(板倉選手)
「すごくいいことだなと思いました。リーグは別ですけど、お互い顔見知りの選手ばかりですし、お世話になった先輩もいます。選手としては一緒のリーグになってやりたいという思いがあるので、千葉ジェッツがbjリーグから始めてオールジャパンに出てきてくれて、こういうふうに試合ができたことは、結果は別にして、すばらしいことだなと思いました」(桜井選手)
日本のバスケット史の1ページに刻まれる一戦を戦い終えて、彼らは改めて、もっともっと日本のバスケットが盛り上がってほしいという気持ちを強く持ったようです。若い彼らにこれからの日本のバスケットボールを、これまで以上に引っ張っていってもらいたいと思いますし、歴史に名を刻んだ彼らならきっとそうしてくれるでしょう。
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