JX-ENEOSウインターカップ2011、終幕!
2011年12月30日 14時50分
12月23日(金・祝)から7日間に渡って熱戦が繰り広げられてきた「東日本大震災」被災地復興支援 JX‐ENEOSウインターカップ2011 平成23年度第42回全国高等学校バスケットボール選抜優勝大会も、男子は宮崎・延岡学園の3冠達成、女子は北海道・札幌山の手の2連覇で幕を閉じました。今、思い返してみても、全100試合、本当にさまざまなドラマがありました。文字どおり、100種類のドラマが東京体育館で展開されていたわけです。
写真を見返しただけでも、選手たちはいろんな表情を見せてくれています。延岡学園のジョフ・チェイカ・アハマド バンバ選手は優勝が決まったとき、コート中央にあるサークルペイントに歓喜のキスをしていました。それ以外にも多くの選手が大会期間中に泣き、笑い、喜び、悔しがり、ときには怒ったこともあったでしょう。でも、そのどれもが真剣でした。真剣に泣き、真剣に笑い、真剣に喜び、真剣に悔しがる。そして真剣に怒る。なぜ彼らはそうするのでしょうか。それはウインターカップを迎えるまでの日々が真剣だったからでしょう。
「事実は小説よりも奇なり」と言います。本当にそのとおりだと思います。どんな高名な小説家であっても、ウインターカップを戦った彼らのドラマ以上のものは描けないと思います。
昨日、延岡学園の黒木亮選手の言葉を紹介しました。今年の延岡学園の強さは前年に勝てなかった悔しさが原点にあると。決勝戦で敗れた香川・尽誠学園の2年生、渡邊雄太選手は
「今日は最初から最後までボクたちのペースでゲームをすることができなかったので、そういうところが負ける要素の1つだったと思います。ただ今大会で福岡第一や洛南を破ったことは大きな自信になったので、3年生がつくってくれた伝統をしっかり守って、来年もまたゼロから頑張っていきたいです」
と言います。自分たちのバスケットを展開して決勝まで進みながら、自分たちのバスケットが展開できずに敗れた悔しさ。これを糧にまたゼロから立ちあがろうというわけです。
もちろんそれは渡邊選手だけではなく、来年またウインターカップの舞台に立てる可能性のある現1、2年生すべてに言えることです。敗れた悔しさをいかに喜びへと昇華させることができるか。それがこれから1年間――実際には1年もありませんが――かけて、彼らがすべきことなのでしょう。
1週間という短い期間に詰め込まれた深く、濃いドラマは東京体育館からすべての高校の体育館へと舞台を戻します。でも高校の体育館での真剣さが、また来年のウインターカップにつながることを選手たちには忘れないでほしいと思います。
来年のウインターカップは広島を舞台にしておこなわれます。2006年に開催された「FIBA男子バスケットボール世界選手権大会」の舞台になった会場です。その舞台に立ち、さらにその頂点を目指して、バスケットボールに青春をかけた高校生たちの熱いドラマはこれからまた1年かけて、紡がれていきます――。
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過去の自分を超えて――延岡学園、3冠達成!
2011年12月29日 18時42分
「JX-ENEOSウインターカップ2011」の王者は――宮崎・延岡学園に決定しました。【88-55】で香川・尽誠学園を破り、男子では1998年の第29回大会に秋田・県立能代工業高が達成して以来の「高校3冠」を達成しました。
エースのベンドラメ礼生選手が22得点を挙げ、インサイドの要であるジョフ・チェイカ・アハマド バンバ選手は25得点・23リバウンド、司令塔の寺原拓史選手は16得点・5アシストをマークしています。圧倒的な攻撃力でした。
しかし攻撃力だけでウインターカップを制せられるほど甘いものではありません。やはり黒子というか、陰で支える選手がいてこそ、エースやインサイドの要、司令塔、キャプテンといった選手たちが輝くのです。延岡学園の黒木亮選手はまさにそういう選手でした。
「得点源はバンバや礼生になってくるし、寺原や岩田(大輝)のところでも点が取れます。そこで自分がリバウンドとかディフェンスなど、地味なところをしっかりやればチームとして安定すると思うので、そういうことに気をつけて、今大会に臨むようにしました」
黒木選手はそう言います。確かに派手なプレイをして、得点を量産する選手ではありません。今日の決勝戦でもベンチにいる時間が、ほかのスタメンよりも多かった。それでも最後まで自分の役割に徹することで3冠達成に貢献したわけです。エースのベントラメ選手は黒木選手についてこう評しています。
「亮は一番経験がなくて、中学からバスケットを始めているんです。最初は合わないところがあったんですけど、今では全国ナンバーワンのリバウンダーという印象があります。亮のリバウンドがなかったら、ボクたちは思いきりシュートが打てなかったし、そういう意味であいつは本当に頼りになる選手でした。1年生のときから一緒にプレイしてきて、一番伸びた選手だと思います」
そんな黒木選手は3冠を達成した延岡学園の強さについて、こう言っています。
「(強さの要因は)昨年の悔しさだと思います。昨年は九州大会なども優勝して、インターハイでは第1シードでした。それくらい波に乗っていたんですけど、それがおごりや気の緩みになって、しかも2年生という若さもあって、結果として全国では優勝することができませんでした。だから新チームになったときにみんなで『今年は勝ってもおごることがないようにしよう』って話し合ったんです。それがよかったんだと思います。今年は本当にたくさんのミーティングをしました。試合前には必ずするし、練習が始まる前にしたこともあります」
そうやってみんなで意見を言い合ってきたことが、インターハイや国体で勝っても決しておごることなく、最後までチャレンジャーのように戦えた要因なのでしょう。
「でも一度だけ、気が緩みそうになったことがあります。ウインターカップの宮崎県予選の決勝戦で、県立小林と対戦したときです。【104-85】で勝ってはいるんですけど、普段ならもっと離せて勝つんです。でもそのときは内容が悪くて、少してこずったところがありました。だからその試合が終わったあとのミーティングで『このままじゃダメだ』って言い合ったんです。そこがよかったと思います」
もちろん県立小林に負けたところで、ウインターカップに出られないわけではありません。しかし本気で3冠を目指している彼らにしてみれば、そういった甘さがのちのち響くことを昨年の経験から知っていたわけです。
悔しい経験を原動力にして、それぞれの武器を磨いてきた延岡学園の選手たち。そのなかに黒木亮というリバウンダーがいたことを忘れてはいけません。彼らは悔しさを超えて、過去の自分たちを超えて、史上5校目の3冠達成をしたのです。心から称賛したいと思います。延岡学園のみなさん、3冠達成、本当におめでとう!
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3冠か、初優勝か――頂点をかけた最後の戦い
2011年12月29日 09時17分
23日に開幕した「JX-ENEOSウインターカップ2011」も最終日を迎えました。残すは男子決勝戦と3位決定戦の2試合だけ。
試合順に対戦カードを紹介すると、
男子3位決定戦:福岡大学附属大濠×沼津中央
男子決勝戦:延岡学園×尽誠学園
となります。
最終日に笑って終われるのは2チームだけ。悔いのないように思いきり戦って、自分たちの力で勝利を掴み取ってもらいたいと思います。
決勝戦を迎えるにあたって、延岡学園の北郷純一郎コーチは記者会見でこう言っていました。
「何度か決勝戦を味わっているけど、いつの決勝戦でも緊張します。勝てば初優勝。せっかくのチャンスが来たんだから頑張らせたいと思います。チームはインターハイでそれなりの勝ち方をしているし、国体でも勝っています。国体が終わったあとは「3冠」という言葉が出てきてプレッシャーがかかっている中で、彼らは練習をしてきました。これから対戦相手のゲームを見て、その対策を与えれば、彼らはそれを実践できるプレイヤーの集団であると思っています」
と自信を見せていました。
一方の尽誠学園のエース・笠井康平選手は、
「国体ではやることをやったのに負けてしまいました。そこからやるべきことはできたのに何が足りなくて負けたのかをチームで話し合ってきました。リベンジということで、優勝したいという強い気持ちを持って頑張ります」
と力強く意気込みを語ってくれました。
延岡学園の3冠か、それとも尽誠学園の初優勝か――。
東京体育館の前には開場の1時間前にもかかわらず多くのファンが並んでいました。先頭の男性は昨日の試合と今日の試合を見るために滋賀から来られたそうで、今日は5時15分から列に並んでくださったそうです。寒い中、コートに身を包み、3時間以上も待ってくださるそういったファンの方々のためにも、4チームの選手たちには今年一番のゲームを見せてもらいたいと思います。
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