過去の自分を超えて――延岡学園、3冠達成!RSS
2011年12月29日 18時42分
「JX-ENEOSウインターカップ2011」の王者は――宮崎・延岡学園に決定しました。【88-55】で香川・尽誠学園を破り、男子では1998年の第29回大会に秋田・県立能代工業高が達成して以来の「高校3冠」を達成しました。
エースのベンドラメ礼生選手が22得点を挙げ、インサイドの要であるジョフ・チェイカ・アハマド バンバ選手は25得点・23リバウンド、司令塔の寺原拓史選手は16得点・5アシストをマークしています。圧倒的な攻撃力でした。
しかし攻撃力だけでウインターカップを制せられるほど甘いものではありません。やはり黒子というか、陰で支える選手がいてこそ、エースやインサイドの要、司令塔、キャプテンといった選手たちが輝くのです。延岡学園の黒木亮選手はまさにそういう選手でした。
「得点源はバンバや礼生になってくるし、寺原や岩田(大輝)のところでも点が取れます。そこで自分がリバウンドとかディフェンスなど、地味なところをしっかりやればチームとして安定すると思うので、そういうことに気をつけて、今大会に臨むようにしました」
黒木選手はそう言います。確かに派手なプレイをして、得点を量産する選手ではありません。今日の決勝戦でもベンチにいる時間が、ほかのスタメンよりも多かった。それでも最後まで自分の役割に徹することで3冠達成に貢献したわけです。エースのベントラメ選手は黒木選手についてこう評しています。
「亮は一番経験がなくて、中学からバスケットを始めているんです。最初は合わないところがあったんですけど、今では全国ナンバーワンのリバウンダーという印象があります。亮のリバウンドがなかったら、ボクたちは思いきりシュートが打てなかったし、そういう意味であいつは本当に頼りになる選手でした。1年生のときから一緒にプレイしてきて、一番伸びた選手だと思います」
そんな黒木選手は3冠を達成した延岡学園の強さについて、こう言っています。
「(強さの要因は)昨年の悔しさだと思います。昨年は九州大会なども優勝して、インターハイでは第1シードでした。それくらい波に乗っていたんですけど、それがおごりや気の緩みになって、しかも2年生という若さもあって、結果として全国では優勝することができませんでした。だから新チームになったときにみんなで『今年は勝ってもおごることがないようにしよう』って話し合ったんです。それがよかったんだと思います。今年は本当にたくさんのミーティングをしました。試合前には必ずするし、練習が始まる前にしたこともあります」
そうやってみんなで意見を言い合ってきたことが、インターハイや国体で勝っても決しておごることなく、最後までチャレンジャーのように戦えた要因なのでしょう。
「でも一度だけ、気が緩みそうになったことがあります。ウインターカップの宮崎県予選の決勝戦で、県立小林と対戦したときです。【104-85】で勝ってはいるんですけど、普段ならもっと離せて勝つんです。でもそのときは内容が悪くて、少してこずったところがありました。だからその試合が終わったあとのミーティングで『このままじゃダメだ』って言い合ったんです。そこがよかったと思います」
もちろん県立小林に負けたところで、ウインターカップに出られないわけではありません。しかし本気で3冠を目指している彼らにしてみれば、そういった甘さがのちのち響くことを昨年の経験から知っていたわけです。
悔しい経験を原動力にして、それぞれの武器を磨いてきた延岡学園の選手たち。そのなかに黒木亮というリバウンダーがいたことを忘れてはいけません。彼らは悔しさを超えて、過去の自分たちを超えて、史上5校目の3冠達成をしたのです。心から称賛したいと思います。延岡学園のみなさん、3冠達成、本当におめでとう!
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