現地レポート

今こそ経験を生かすとき!RSS

2011年12月27日 21時31分

女子のファイナリストに続き、「JX-ENEOSウインターカップ2011」男子のベスト4が決まりました。準決勝は
延岡学園×福岡大学附属大濠
尽誠学園
×沼津中央
です。


ベスト4をかけた戦いは結果的に点差がついた試合も含めて、どれもが好ゲームでした。なかでも目を引いたのは3人の「日本代表選手」です。しかも各学年にいる。少しずつかもしれませんが、何か男子バスケットに追い風が吹いているような気がします。


1年生の「日本代表選手」とは、男子U-16日本代表の杉浦佑成選手です。ルーキーながら福岡・福岡大学附属大濠のスタメンセンターとして奮闘し、チームのベスト4進出に貢献しました。今日の対戦相手、栃木・県立宇都宮工業には3年生の「日本代表」、8月に行われた「第33回ウィリアム・ジョーンズカップ」に出場した橋本晃佑選手がいます。福岡大学附属大濠がディフェンスのときにはマッチアップしませんでしたが、オフェンスのときは橋本選手が杉浦選手を守る形になっていました。つまりは、カテゴリーは違いますが、ある意味で「日本代表」対決。杉浦選手は試合後、橋本選手のような自分よりも大きい選手とのマッチアップについて、こう言っていました。


「大きい相手に守られたら、自分もけっして速いほうではないんですけど、相手の弱点である足元を狙うようにドライブを狙ったり、外からプレイをするようにしています」


実はこの直前、橋本選手にも杉浦選手とのマッチアップについて尋ねると「パワーで攻めてくると思ったのですが、思ったよりもミドルシュートを打ってきて、それに対応できませんでした」と言っていました。それを伝えると杉浦選手は「パワーでゴール下まで行けたとしても、高さの前ではフィニッシュが決まらないことが多いので、それならば外から打とうと思っていました」と言っています。それは10月にベトナムで行われた「第2回FIBA ASIA U-16男子バスケットボール選手権大会」の経験が生きているのでしょう。


「(U-16アジア選手権の)中国との試合のときは2m16cmの選手がボクについてきて、本当にインサイドでは一度も得点ができなかったんです。でも今日みたいにミドルで攻めることができたので、それがよかったのだと思います」


一方の橋本選手ですが、上記のジョーンズカップの日本代表だけではなく、1年生のときは「第1回FIBA ASIA U-16男子バスケットボール選手権大会」に出場した男子U-16日本代表にも選ばれていましたし、昨年9月に行われた「第22回FIBA ASIA U-18男子バスケットボール選手権大会」に男子U-18日本代表としても出場しています。つまりは16歳以下、18歳以下、そして年齢制限のない日本代表と、この3年間であらゆる日本代表に選ばれている、将来を嘱望された選手なのです。橋本選手はそれらの代表活動でいろんなことを学んだと言います。


「プレイではインサイドでは体を張ってプレイすることを学びました。外国の選手はみんな体も強くて、身長も高いので、体を当てていかないとダメだなって。中学生のときは体を当てるのが苦手で、とにかくイヤだなと思っていたのですが、3年間のさまざまな代表活動を通じて体を当てることへの意識が変わっていったと思います。また精神的にもチームでは自分がやらなければいけないと思ってやってきたので、そのあたりも意識は変わったと思います」


今大会はベスト8で幕を閉じますが、進学の決まっている大学で今以上に強い選手になってもらいたいと思います。


そして2年生の「日本代表」とは、橋本選手と同じくジョーンズカップに日本代表として出場した香川・尽誠学園の渡邊雄太選手です。彼もまた日本代表での経験が大きな財産となって、それを今チームに還元しています。


「ジョーンズカップのときはボクよりも大きい相手ばかりだったので、そのときにブロックのかわし方などを学ぶことができて、留学生相手のときにつながっていると思います。精神的な面でも、東京体育館くらい大きな体育館でやらせていただいて、今日も緊張はしたんですけど、その経験があったので、少しは落ち着いてできたと思います」


今日の京都・洛南戦は自分よりも大きな相手がいない分、逆にブロックショットでチームの失点を防いで、勝利に貢献しましたが、明日はセネガル人留学生のシェリフ・ソウ選手がいる静岡・沼津中央が相手です。もしかしたら、今日以上に日本代表での経験を生かしたプレイを見せてくれるかもしれません。楽しみなマッチアップになりそうです。


このようにカテゴリーは違えども、日本代表として世界と戦うということは、選手にとってとても大きな経験、大きな財産となります。その財産をうまく活用して、もっともっと成長しほしい。バスケットは「経験のスポーツ」とよく言われますが、生かしてこその経験です。明日の準決勝に勝ち進んだ杉浦選手と渡邊選手には、さらに日本代表での経験をもとに、チームを勝利へと導くプレイをしてもらいたいと思います。


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