現地レポート

ライバルを打ち負かせ!RSS

2012年12月27日 14時19分

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「彼女、なんか持ってるんですよね。パスをしたら何かやってくれるので心強いです。」


愛媛・聖カタリナ女子の宮崎早織は同級生の彼女のことをそう評する。彼女とは聖カタリナ女子のパワーフォワード、加藤瑠倭のことである。決勝進出をかけた準決勝、千葉・昭和学院戦で加藤は19得点、17リバウンドのダブルダブルをあげ、チームも[79-62]で快勝し、ウインターカップでは初の決勝進出を決めた。


試合後に「決勝進出は素直に嬉しいです。明日はチャレンジャー精神で頑張ります。」と言う加藤は、インターハイで苦い思い出を残している。初めての全国大会で緊張するあまり、自分のプレイをまったくすることができなかったのである。しかし今大会は3年生と一緒にプレイできる最後の大会。得意の1対1で1試合でも多く先輩たちと一緒にプレしたいと考えている。


小さいころからボールハンドリングが好きで、家の外でゴムボールを使ってさまざまなハンドリングをしていたという加藤は、ドリブルからのジャンプシュートが最大の武器だ。


「高校に入って先輩と1対1をすると、先輩たちはすごく上手で、特にガードの先輩とやると全然抜けなかったんです。身長では勝っているから上だけでも勝負できるのですが、そうではなく、ガードの先輩たちも抜いてみたくて、朝練など短い時間にボール回しや、遊びの感覚でできるようなハンドリングを練習していました。今日も試合中に一色コーチから「1対1をしろ!」って言われて、うまくできたのはそのハンドリング練習が役に立ったんだと思います。すごく嬉しかったです。」


173センチの上背で相手とのズレを生むバックチェンジは女子では珍しく、一見の価値がある。


しかも速攻の先頭に走る能力も併せ持っていて、宮崎とのコンビは今年のみならず、来年にもつながる聖カタリナ女子の新しい「ホットライン」と言える。


「早織はスピードが合って、一緒にプレイしていてすごく楽しいです。早織のスピードに自分が合わせたり、早織の打ったシュートを私がリバウンドでつなげたりして…やっぱり同じ学年だし、一緒にいる時間が長いから早織のプレイがわかるんですよね。インターハイのときは早織の動きにあまりついていけなかったけど、今はうまくついていけるようになったと思います。」


そしてこう続ける。


「自分がここまでうまくプレイできるようになったのは、早織のおかげですかね…言いたくないんですけど。」


そう言って笑う加藤だが、その目はもう決勝戦を見つめていた。相手はインターハイの決勝で敗れた愛知・桜花学園。しかもマッチアップの相手、馬瓜エブリンは小学校のときから対戦していたライバルだ。


「桜花にも1対1で攻めたいですね。エブリンは自分よりも背が大きいし、身体能力も高いけど、それでも譲りたくありません。中学のときは、チームでは勝っているんですけど、個人的には勝てなかったので明日は勝ちたいですね。」


ここ最近の練習試合では加藤のほうに分があったようだが、それでも加藤としては本番の試合で馬瓜を打ち負かしたいと考えているのだろう。バスケットボールの神様、マイケル・ジョーダンは「私は失敗を受け入れることができる。しかし、挑戦しないことだけは受け入れられないのだ」と言っている。加藤には失敗を怖れず、目の前のライバルに真っ向から立ち向かってほしい。


馬瓜のほうが分が悪いとわかっている桜花学園・井上眞一コーチも、馬瓜を加藤にマッチアップさせることを明言している。ライバル同士の戦いにも注目したい。


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