現地レポート

暗い「明」と明るい「暗」RSS

2012年12月24日 14時26分

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勝負の世界で「明暗を分ける」といえば、勝者が「明」で、敗者が「暗」となるのが相場である。しかし同時刻に隣接するコートで戦っていた同じ愛媛県のチームは、勝ったチームが少し暗めの「明」となり、敗れたチームがキラキラと輝くような「暗」になった。

愛知・星城を[60-56]で何とか振り切った聖カタリナ女子のキャプテン、熊美里は苦々しく言う。

「(シードで今日が)初戦ということもありましたが、個人的には全然ダメでした。勝たせてくれた仲間に感謝です。チームとしても、相手どうこうというより、自分たちの持ち味を出せるかどうかがポイントだったのに、シュートも決まっていなかった。決まらないならばリバウンドももっと意識しなければいけなかったのに、それもできなくて…勝ったけど反省の多い試合になりました。」

一方、隣のコートで東京・明星学園に[54-78]で敗れた済美のキャプテン、三好皐は目を赤くしながらも笑顔で応える。

「結果は負けてしまいましたが、最後の最後までみんなが諦めずに走りきれたと思うし、悔いのない試合ができたのでよかったです。」


相手はインターハイでベスト8に入っている全国きっての強豪校。最初は名前負けをしていたそうだが、それでも「自分たちは挑戦者なので、思いきり自分たちのプレイをしよう」とベンチで話し合い、最後まで笑顔で戦い抜いた。


「カタリナさんがインターハイ2位の枠で出場することになったので、初めて全国の舞台に来ることができました。でもインターハイ予選のときは3位だったので、ウインターカップの代表枠を決めるときには『自分たちが行くしかない』という気持ちになって、そこからチームが1つにまとまりました。その気持ちのまま県予選を勝ち切ることができたし、ウインターカップでもそのチャンスを無駄にせずに頑張ろうっていう気持ちで戦えました。本当に楽しかったです。」


チャンスを無駄にせず、自分たちのバスケットを全国の舞台で披露した済美に敗れたチームの暗さはない。あふれ出てくる涙は、悔しさよりもチームメイトに対する感謝やこのチームが終わる寂しさからだろう。全国の舞台に立った経験をこれからの人生にも生かしてほしい。

一方の聖カタリナ女子は、この反省を明日からの試合に生かさなければならない。もちろん第2シードとしてのプレッシャーもあるだろうが、同じ年に同じ県からウインターカップの舞台に立った済美のためにも、心からの笑顔で終えるような試合をしてくれるだろう。

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