現地レポート

限界突破に挑む「35秒の約束」RSS

2012年12月22日 17時57分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 子どものころ、ご両親から「約束は守りなさい」と言われた人は多いだろう。たとえ小さな約束であってもそれを守ることは、大きな責任を持つことになる。明日開幕をするウインターカップの開会式で2人の主将が約束をした。選手宣誓である。


 「宣誓、我々選手一同はフェアプレイ精神の下、日ごろの練習の成果を十分に発揮し、最後まで全力で戦い抜くとともに、バスケットボールを通して多くの方々に感動と最後まで諦めないことの大切さを伝え、さらには共に明日へ歩む原動力となるようなプレイをすることを、ここに誓います」


 経験が武器になるバスケットボールにおいて、高校生はまだまだ経験が足りない。だがその経験の少なさが怖いもの知らずの大胆さを生み出し、結果として「最後まで全力で戦い抜くとともに、多くの方々に感動と最後まで諦めないことの大切さを伝え、さらには共に明日へ歩む原動力となるプレイ」につながる。


 選手宣誓をした宮崎・延岡学園の寺園脩斗選手は言う。


 「インターハイ後にコーチが変わって、最初は不安もありました。でも今はみんないい状態で、モチベーションも上がっていています。ウインターカップでは、新しいチームになってからずっとやり続けてきたディフェンスから走るバスケットを多く出したい。夏よりさらに走るバスケットを見せたいと思います」


 北海道・札幌山の手の新堀京花選手も続く。


 「ウインターカップに向けて1日1日を大切に練習してきたので、みんな、いい状態になっています。札幌山の手の伝統であるディフェンス、リバウンド、ルーズボールを後輩たちに引き継いでもらえるように、自分たち3年生がしっかりと体で表現して、スター選手がいない分チーム全員で最後までボールを追いかけていきたいと思います」


 ともに連覇を狙えるチームだが、連覇を口にすることはない。まずは目の前の試合に集中して、1つひとつ勝ち上がるだけだと考えているのだろう。それでいい。でもあえて言おう。連覇を狙えるチームだからこそ、自分たちで限界を決めずに、その限界を超えた境地に挑んでほしい。アメリカの映画俳優で、カリフォルニア州知事だったアーノルド・シュワルツェネッガー氏はこう言っている。「限界を決めるのは心だ。心が何かをやれると思い描き、自分がそれを100%信じることができれば、それは必ず実現する」。


 「35秒の約束」をいい意味での緊張感に変えて――ウインターカップは明日開幕する。


[ 記事URL ]