現地レポート

努力の上に花が咲くRSS

2012年12月23日 16時45分

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努力の上に花が咲く――数ある横断幕の中でも福岡・中村学園女子のそれは全国的に有名なものの1つだろう。大会連覇を含む4回のウインターカップ制覇を達成しているその中村学園女子が、初戦で愛知・星城に[46-60]と敗れた。「下級生はよく頑張ってくれたのですが、私たち3年生の力不足があったと思います…」試合後にキャプテンの安間志織は言葉をそう絞り出した。


今大会の注目選手の1人である安間は、沖縄・北谷中時代に全国大会を制したキャリアを持つ。卓越したボールハンドリング、視野の広さから繰り出されるアシスト、そして自らも得点ができる万能のガードで、1年生のときから名門校のスタメンに抜擢され、2年生の昨年からはキャプテンにも任命されている。


「中村に入ったときは1年生から試合に出られるとは思っていなかったので、実際に試合に出られたことはとてもいい経験になりました。また2年生からキャプテンに任命されてチームを引っ張ってきたんですけど、そういうことも含めて、沖縄を離れて福岡に来たことはすごく勉強になりました。中村でバスケットができたことはよかったと思います」



自分を磨くためとはいえ、親元を離れることはけっして簡単な決断ではなかったはず。しかもチームは、1年生のときこそ3つの全国大会すべてで決勝戦に進んでいるが、そこから低迷し、昨年はウインターカップの出場権を失っている。チームをまとめるキャプテンとしては逃げ出したい気持ちもあっただろう。それでも逃げ出さずにチームを鼓舞しつづけた結果、最後の年にウインターカップの出場権を奪還した。


「レベルが高いと言われている福岡で、1点差とはいえ勝ったことは自信になりましたし、昨年のウインターカップに出ていない分、もう1回ウインターカップのコートに立ちたいという気持ちがありました。そういう意味では出られたことは嬉しいんですけど、インターハイも1回戦負けをしたので、ウインターカップでは1回戦を突破したかったです…」


勝ち負けだけを見れば「花」は咲かなかったかもしれない。しかし福岡で得たものを振り返れば、それが安間にとっての「大輪の花」と言えよう。卒業後は関東の大学に進学するという。次のステージでもよい目的を失わず、努力を続けていれば、必ず報われる。横断幕の言葉こそ、安間が得た最高の宝物になる。


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