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「2026年度全国バスケットボールコーチクリニック」~海外トップリーグで活躍するコーチから学ぶ育成年代を対象としたオフェンス・ディフェンスの指導法~ 開催レポート
2026年8月1日
ダミアン・コッター コーチ
コービー・カール コーチ
2026年7月18日(土)・19日(日)の2日間にわたり、 巣鴨中学校・高等学校 体育館にて「2026年度全国バスケットボールコーチクリニック(リフレッシュ研修)」を開催。~海外トップリーグで活躍するコーチから学ぶ育成年代を対象としたオフェンス・ディフェンスの指導法~をテーマに、1日目は昨シーズンまでシカゴ・ブルズ(NBA)のアシスタントコーチを務めたダミアン・コッターコーチ。2日目は元NBAプレーヤーであり、GリーグやNBAでのコーチ実績もあるコービー・カールコーチを迎え、4部構成で日本の指導者の資質向上を目指す学びの場となりました。
■1日目/講師:ダミアン・コッター
第1部:「ディフェンスの構築(個人のファンダメンタルからチームディフェンスへ)」
昨シーズン、日本代表の河村勇輝選手が所属したシカゴ・ブルズでアシスタントコーチを担っていたコッターコーチ。「チームメイトですが、彼を直接指導したわけではありません」と複数のコーチによる分業体制により、河村選手の担当ではなかったことで誤解を生まないように自己紹介からスタート。
ディフェンスの構築は「できるだけシンプルにし、遂行力にフォーカスする」ことを前提とし、練習法を紹介。1on1、3on3、5on5で行いながら、「カオス(混乱)」と「コンペティション(競争心)」を生み出すことで成長を促します。「1on1は一歩目で結果が出るので、ギャップとアングルを維持し続ける」とコッターコーチは述べるとともに、「1on1こそバスケを教える要素が詰まっています」と強調しました。
「いろんな形の1on1を毎日行うことで、ディフェンスもオフェンスも状況判断を養うことができます。Gリーグのコーチ時代にディフェンスのポイントを伝えて行う1on1の練習を採用しました。選手の入れ替わりが激しいGリーグにおいて、ディフェンスレーティングをリーグトップ3以内に維持することができました。1日5分の1on1練習を継続するだけでも大きな差を生みます」
良いディフェンスをするためには「コミュニケーションが大事。ベストディフェンダーは良いコミュニケーターでもある」と世界最高峰NBAで見てきた成功例を惜しみなく伝えてくれました。
第2部:「育成年代におけるトランジションの状況判断力向上」
冒頭、「何をコーチするのではなく、どのレベルでしっかりと教えるかが重要」とコッターコーチは言います。これは次の第3部のテーマでもあり、「規律の中で効率的に教えるためにどうするかを常に考えている」というのがコーチングフィロソフィーのひとつです。
トランジションの状況判断力向上のテーマに対し、ディフェンスの情報が主となりました。「ディフェンスの多くのエラーはフットワークにあります。フットワークが良ければ、良いバランスを保ってディフェンスでき、良いバランスを作っていれば、相手が攻める時間を削ることもできます」と伝え、練習内容によっては時間で制限することが有効的と紹介します。
これまでは練習中ミスをしたときに止めていましたが、簡単に映像で見返すことができるなど情報量の進化により、「今はミスしてもドリルを続けることが重要です」とコーチングの変化について言及します。
「どんな状況でも何を達成すべきかをまず明確にします。また、しっかりと競争させることで練習に対する充実感が得られます。カオスを起こすことによっていろんな問題が生じ、それを解決するために何をすべきかを考えることで状況判断や遂行力が養われます。カオスが起きても、チームの統制力で乗り越えることができるようになります」
クリニック後、コッターコーチは「第45回ウィリアム・ジョーンズカップ」 へ向かう男子日本代表ヘッドコーチ就任が発表されました。日本の若い選手たちを導くコッターコーチの今夏の活躍にもぜひご注目ください。
■2日目/講師:コービー・カール
第3部:「オフェンス(スペーシング、状況判断力)の育成〜『何をすべきか』ではなく『どうプレーするか』〜」
2012-13シーズン、デンバー・ナゲッツを率いてNBAのコーチ・オブ・ザ・イヤーを受賞し、2022年にはネイスミス・メモリアル・バスケットボール・ホール・オブ・フェイムで殿堂入りした名将ジョージ・カール氏を父に持つコービー・カールコーチ。偉大な父をはじめ、「素晴らしいコーチたちに恵まれていたことでこれまでプレーヤーとして、コーチとしての活躍につながっています」と自らの経験談からコーチングの重要性を伝えてくれました。
ロサンゼルス・レイカーズでプレーした2007-08シーズン、NBAで11度優勝に導いたフィル・ジャクソンヘッドコーチの下で多くのことを学んだカールコーチ。「フロー(流れ・形)」を大切にする恩師からの教えを踏襲。「まずフローを作ります。それを選手たちが理解したら、あえて不自由な状況を作ります。選手たちが自由に考えながら、どう判断してプレーしていくかを練習に取り入れることで理解力が高まります」と解説。練習方法として「フィル・ジャクソンから最初に教わった4ライン・ドリル」を共有します。
「4人一組でオフェンスのフローを作ります。このフローをオフェンスのベースにしながら、レイアップやオープンスリー、ペイントタッチなどの要素を加えていきます。4on2、4on3、4on4とディフェンスを入れて展開していくことで、シンプルですがとても効果的なドリルです。空間認識能力やお互いの位置を把握するためにも必要であり、毎日継続することが大切です。また、いろんな要素を加えて変化させていくことで選手の興味や向上心も継続して行うことができます。最初に形を作って少しずつ変化させていくドリルはアメリカでも人気があります」
現在のNBAでフローを体現しているのがサンアントニオ・スパーズであり、個人としてはステフィン・カリー選手の名前を挙げました。
「チームとしてひとつの目標となるフローを達成するためには、共通認識やお互いのプレーや特徴を知ることが大きなきっかけになります。何を教えるかではなく、どう教えるかが大事です。コーチそれぞれの指導法はありますが、フローを完成させるために何が必要かを考えながらコーチングすることが大切です」
第4部:「ゲーム形式の練習を用いたオフェンスの指導法と選手の育成」
カールコーチは全員が参加できるようにし、「選手たちが楽しみながら学べるメニューにすることで吸収力と集中力が上がります」とウォームアップを兼ねた最初のドリルは自然と笑顔が溢れます。ゲーム形式の練習を用いたオフェンスの指導法として、「全員がすべてのポジションをプレーし、すべてのスキルを学ぶことが大事です」と述べ、それによってプレーへの理解度が深まり、戦術の幅が広がると説明しました。
『Basketball Japan’s Way』や『テクニカルレポート』にも記されているように、日本バスケ界が求める戦力はオールラウンダーであり、そのための必要な要素が詰まった練習法は参加した指導者たちにとっても興味深い内容です。
前日、コッターコーチは「ベストディフェンダーは良いコミュニケーターでもある」と話していましたが、オフェンスも同じです。カールコーチは「選手自身が理解し、お互いに教え合うことが大事。そのためにもコミュニケーションをしっかり取ること。自分ができていても、まわりも共通認識を持ってプレーできなければうまくはいきません」と言うように欠かせないスキルです。
試合やゲーム形式の練習に限らず、バスケはミスが必ず起こるスポーツです。「選手がエラーした際、怒るのではなく失敗を次につなげるアプローチを行いましょう。どう修正するかを考えさせ、正しいプレーへ導く指導を心がけます。選手たちには積極的にプレーし、そして多くの失敗をさせること」により、コーチを成長させてくれることを強調しました。
第3部と第4部を通じ、大前提として「ボールマンは積極的にプレーし、常にゴールを狙いに行くこと」をカールコーチは求めます。ゲーム形式の練習でもフローがベースとなり、「完璧なオフェンスではなくても、プレッシャーをかけられた状態でも練習通りのパフォーマンスを出せるようにします。それにより、常にプレッシャーをかけられた難しい状況でも、一定の結果が出せるようになります。その成果を求めて練習に取り組むことが重要です」と結び、2日間に渡って海外トップリーグで活躍するコーチから情報を得る貴重な機会となりました。
※2026年度全国バスケットボールコーチクリニックのオンデマンド配信のお申込みは8月3日(月)までです。
ご興味のある方は是非お申込みください。
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