現地レポート

【大会前特集】ライバルを探しに出かけようRSS

2013年03月08日 19時00分

バスケットボール界の「ライバル」といえば、長きにわたり日の丸を背負い活躍した佐古 賢一と折茂 武彦(レバンガ北海道)はその最たる例であり、現役生活まっただ中の選手たちにも、火花を散らすライバルは存在する。一番わかりやすいのは、渡嘉敷 来夢(JXサンフラワーズ)と篠原 恵(富士通レッドウェーブ)だろう。この2人は、それまでの試合で調子が悪くても、直接対決になると目の色が変わったようなプレイを見せる。しかもこれまで見せたことのないようなプレイをいきなり表現したりするのだ。まるで2人だけの別世界に入り込み、対決シーンの中でお互いがお互いの秘めている才能を引き出しあっているかのようだ。


そんな2人の直接対決は、2006年3月に行われた「第19回都道府県対抗ジュニアバスケットボール大会」。準決勝、渡嘉敷を擁する埼玉県選抜と、篠原を擁する東京都選抜A(開催地は2チーム出場できる)が対戦し、埼玉県選抜が10点差で勝利している。だが2人のマッチアップと見ると、ともに11得点で引き分けだった。


当時のことを、渡嘉敷はこう言っている。 「ジュニアオールスターではいろんな課題も見つかったけど、一番よかったのはライバルを見つけることができたことです。そのライバルとは富士通の篠原選手。今でも変わらないライバルを見つけることができて、本当によかったです」。


あの対決から、すでに7年が経過しているが、その間も2人はライバルとして高校バスケの全国大会で頂点を競い合い、現在はトップリーグに舞台を移しても鎬(しのぎ)を削り合っている。さらに言えば、今はまだ実現はしていないが、これから先、この2人が日本を背負い、世界の舞台に立つ中心になっていくのは間違いない。その原点が「ジュニアオールスター」である。


市町村から都道府県、都道府県から地方ブロック、そして全国へ。大会のレベルが上がれば上がるほど、対戦相手のレベルも上がっていく。「井の中の蛙」だった選手が、井戸の外の世界に出たとき、何を見るべきか。勝負の世界である以上、勝ち負けも重要な要素ではあるが、それ以上に大切なのは上手な選手をたくさん見て、そのなかから自分の「ライバル」を探すことではないだろうか。お互いを認め合い、お互いを目標にできそうなライバル。そんな選手を見つけてもらいたい。


これは「ジュニアオールスター」に出場する中学生だけではない。「全国ミニバスケットボール大会」に出場する小学生にも言えることだ。


さらに言えば、出場する選手たちだけの話でもない。残念ながら今年の大会に出場できなかった選手も、積極的に試合会場に足を運んで、各都道府県を代表する同世代の仲間――ここでは「敵」と言わずに、あえて同じバスケットをする「仲間」と言おう――を見てほしい。そして来年こそは、中学に入ったら、高校に入ったら、「あの子よりうまくなってやろう!」と思えるライバルを見つけてほしい。目に見える目標ができれば、より練習にも身が入り、バスケットが楽しくなってくるはずだ。ライバルのナイスプレイを見て、それをマネしたり、それを止める方法を考えたり、まだ見ぬライバルのことをちょっと考えるだけでも胸がワクワクしてこないだろうか。
今年の春休みは「ライバル」を探し出かけてみよう。


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