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平成23年度 U-15男子トップエンデバー開催報告 【第1日目】

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2011年11月28日

一つひとつの説明を真剣に聞く選手たち

しっかりと押し込みながらのドリブル

 平成23年11月19日(土)から21日(月)までの3日間、東京都北区にある味の素ナショナルトレーニングセンター(以下、味トレ)で平成23年度U-15男子トップエンデバーが開催されました。

 全国9つのブロックから推薦、選出された30名でおこなう全国規模の合宿。これまでであれば初日の練習は多くの選手が緊張し、周りの様子をうかがいながら、静かな滑り出しとなるのだが、今年のメンバーは少し様子が違っていた。
 練習開始の円陣を組んだときに北本真司コーチングスタッフが「誰が声を出すんだ?」と聞くと、青木太一選手(千葉市立緑が丘中学 3年)がすばやく手を挙げて、円陣の中心に進み出たのである。この点について青木選手はこう言っている。
 「昨年のU-14トップエンデバーにも選んでいただいたんですけど、その1週間前に鎖骨を折ってしまって、練習に参加できなかったんです。ここ(味トレ)には来たんですけど、何も存在感を出せなかったから、最初に声を出して『これが千葉の青木太一だ』っていうところを見せたかったんです」
 つまり昨年の経験が大きく生きたというわけである。今回選出された30名のうち、昨年度の「U-14男子トップエンデバー」にも参加したのは青木選手を含めて8名。その8名が中心になって声を出していくと、初参加の22名も徐々に声を出していくようになっていく。
 小池一元コーチングスタッフもそれを認めている。
「今年の選手は例年になく元気があります。さらに私自身がこれまで見てきた感触としては、少しずつではあるけれど、U-15トップエンデバーに選ばれること、味トレに来ることのステータスというのでしょうか、それらが日本代表に近づく感覚だと選手たちが感じているように思えるのです。謙虚に学びたい、もっとうまくなりたいという貪欲な意識を感じ取ることができるのです」

 初日の練習そのものは、パワースタンスの確認や2つのボールを使ったドリブル(ツーボールドリブル)など個人のファンダメンタルが中心になっていく。「本来であればファンダメンタルをこの場でしなくてもいいようにするのが我々の仕事だと思っています」と小池コーチは言うが、やはりまだまだ浸透しきれていないものも多い。ツーボールドリブルなどボールを使った個人メニューは比較的スムーズにおこなえるが、その後におこなわれた「シェービングドリル」と呼ばれるボールの受け方、そこから架空のディフェンスの状況を見て、的確なピボットを踏んでパスを出す練習になると、急に動きがぎこちなくなっていく。思った以上にこのドリルが浸透していないことがわかるほどだ。小池コーチも「かなり前からある練習メニューなのですが、伝わりきれていないですね。学校によっては練習時間が取れず、この練習ができないのかもしれませんが、これは校庭のコートでもできますし、新チームになる夏休みにでも是非取り組んでほしいメニューです」と言っている。
 そして選手たちには「もしかしたら初めての練習メニューだからできないこともある。でも感覚的にできてしまうこともあるだろう。でも感覚的にできることはすぐに忘れるし、体格に勝る外国人相手になると、その感覚がつぶされてしまうこともあるんだ。しっかりと意識を持ってプレイすることを心がけよう!」と声をかけていた。

 ここに選ばれた30名は、国内的には体格に恵まれていたり、運動能力にも優れていたりする選手たちが多いが、それでも選手のよりよい育成を「U-15トップエンデバー」の2泊3日だけでおこなうことはできない。全国にいるすべての指導者、選手が意識して取り組まなければいけない問題だと改めてわかる。もちろんそれは体格に恵まれず、運動能力が劣っている選手であっても同じことである。むしろ世界レベルの体格や運動能力の差を凌駕するためには、より的確な状況判断と正確な動きが重要になってくるわけである。
 前記の青木選手は昨年の「U-14トップエンデバー」で練習にこそ参加できなかったが、そこで見たシェービングドリルやツーボールドリブルを自らが所属する中学校に持ち帰り、顧問の先生に「日本バスケットボール界の上のカテゴリーがやっていることなので、自分たちもやりましょう」と持ちかけたのだという。そして「自分も最初はうまくできなかったけど、チームの仲間と一緒に練習をしてきたので、今回初めてやる選手よりは少しはいい感じでできたと思います」と言っている。

 小池コーチは「選手たちの中でファンダメンタルが試合につながるんだと理解し始めてきたように感じます。以前は『ファンダメンタルは大事だって言われても、試合では使えないよ』っていう雰囲気で練習をしている選手が多かったんですけど、今は『このファンダメンタルの練習が、試合のあの場面に通じるのか』と少しずつ明確になっているように感じます」と手応えを感じている。
 その手応えは、10月下旬におこなわれた「第2回FIBAアジアU-16男子バスケットボール選手権大会」でU-16男子日本代表が銅メダルを獲得したことにつながっている。
 「今回の合宿ではブロックへの伝達もさることながら、これまでやってきたことを強化につなげていきたいと考えています。そのためのテーマとして、コンタクトに強いプレイと、ビジョンと判断力の強化を挙げています。ビジョンについてはこれまでも言い続けてきましたが、その1つ先、見て、判断する作業はまだまだ身についていないので、そこを重点的にやっていこうと考えています。どういうプレイを選択するのか、どういう考え方でチームが動いているのかを考えられる選手にならないと先がないかなと思うわけです」

 エンデバー制度はもちろん育成が主たる目的ではあるが、何のために全国から選んだ選手を育成していくのか。一足飛びに強化につなげるわけではないが、そこに向けた選手の育成をしていく。約2時間のファンダメンタル中心の練習メニューではあるが、その点がしっかりと出ている合宿初日であった。

【第1日目:練習メニュー】
 ①ウォーミングアップ
 ②パワースタンスの確認
 ③ツーボールドリブル
 ④ドリブル1対1
 ⑤シェービングドリル
 ⑥カッティング(ボールのもらい方)
 ⑦2対2でのスペーシングとボールのもらい方。
 ⑧補強トレーニング・クールダウン
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