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2018年度U13ナショナル育成センター キャンプ 開催報告
2019年2月10日
鈴木良和コーチのデモンストレーションを真剣に見聞きする選手たち
技術練習の合間に正しい体の使い方のレクチャーが入るのもU13の特長
昨年の12月14日から16日までの3日間、味の素ナショナルトレーニングセンターで「2018年度 U13ナショナル育成センター」のキャンプが行われました。今年度のU13は全1回のキャンプとなるため、この3日間のみの開催となります。
指導に当たったのは、男子日本代表のサポートスタッフでもある鈴木良和コーチです。鈴木コーチは3日間のキャンプのテーマに「ディフェンス」を選びました。その理由について「これまでのように選手自身に考えさせ、答えを引き出すようなコーチングは時間がかかるものです。また現実的にも多くのことを紹介する時間もありませんので、テーマをディフェンスにフォーカスすることによって、もう一方のオフェンスについては自分で考えたり、工夫したりするキャンプになればいいなと考えました。つまり、我々がディフェンスについて『こういうことをすると弱くなるよ』と教えることで、ディフェンス側の選手たちはそれを注意しますが、一方でオフェンス側の選手は『じゃあ、ディフェンスが弱くなるような動きをしてやろう』と思って行動してほしいのです」と言います。短い時間の中でも、これまでの指導と同じ考え方を、切り口を変えて行ったというわけです。
「もうひとつ理由があって、これまでのキャンプの様子はJBAの映像ライブラリーに掲載されていて、D級以上のコーチライセンスを持っている方であれば見られるようになっています。実際にそれをよく見ていると言ってくださる方も多くいます。であれば、これまであまり深くやっていなかったディフェンスを紹介することで、全国のコーチの方々にもそれを見ていただいて、何かしらの貢献になるのではと考えました」
選手たちはそうした狙いに反して、すぐには対応ができず、つい言われたことだけに取り組んでいるように見受けられました。もちろん言われたことを素直に行うことは大事なことですが、狙いはさらにその一歩先にあるので、鈴木コーチは練習を止め、「うまくなるために自分で選択しよう」、「自分を磨くことに責任を持とう」といった短いフレーズの言葉かけをします。
「ボディーアップ」と呼ばれるオフェンスのコースに入ったあとも間合いを空けずに素早く、正しい姿勢で相手との間合いを保つ動きでは、「確かにボディーアップをしようと思えば、最初からオフェンスとの間合いを空けていたほうがコースに入りやすい。でもみんなはここ(育成センターキャンプ)にレベルアップしに来たんだろう? であれば、最初から間合いを詰めてやってみよう。どちらの考え方で練習に取り組むかで、成長の度合いは違ってくるよ」と練習に取り組む姿勢なども示していました。
さらに今キャンプの特長としては、スキルドリルの合間に佐藤晃一パフォーマンスコーチによる「体の正しい使い方」のレクチャーが入りました。つまりスキルと、それを正しく行うための体の使い方を同時に理解できるわけです。鈴木コーチはそのやり方について「この年代は1つのスキルを磨く以上に、体の使い方が上手になることに将来的なメリットがあると考えます。3日間すべてを使って多くのスキルを紹介しようと思えばもっと教えることはできます。しかしそれをせず、これから体が大きくなっていく子たちが今、ケガをしにくく、力を発揮しやすい体の使い方をつかめれば、彼らの将来はもっと大きく広がるわけです。それを技術練習の合間に入れることで彼らも理解しやすくなり、体の使い方が大事だなとわかってくれると思っています」。
その言葉どおり、選手たちに話を聞くと、男女ともに体の使い方がすごく勉強になったと言います。十川虎之介選手(徳島・RIZING徳島)は「体の使い方やバランスのとり方を教わりましたが、今回はうまくできませんでした。でもこれが自分の改善点だとわかりました」と言い、絈野夏海選手(長野・松本市立波田中学校)も「私はすぐに体が浮いたりします。そんなときにコートにしっかりと足をつけるポイントを教わることができたので、これからも実践していきたいです」と、体の正しい使い方に興味を持ったようです。
最後に鈴木コーチはこう言います。
「このキャンプでは1対1のディフェンスから始まり、その後、クローズアウトからのディフェンスに取り組みました。するとオフェンスはディフェンスを抜きやすくなるので、そこでヘルプやローテーションといったチームディフェンスが必要になってきます。それらを体系的に学ぶことでオフェンスは簡単にディフェンスを抜けなくなり、抜いてもヘルプが来るから攻めづらくなる。だから『ピック&ロール』を使おうという話になって、それを学んでいるU14につなげたいと考えています」
正しいディフェンスを学ぶことで、オフェンスが単なる1対1だけでは攻めづらくなることを知り、では次の段階でどうするべきかを考える。こうした一貫性のある指導もナショナル育成センターの特長だと言えます。
今年度のU13は2泊3日だけのキャンプでしたが、選手たちは最後まで真剣に取り組み、自分で考えることや体の使い方など、普段あまり意識していなかったり、何気なく見過ごしてしまいがちなことの大切さを学びました。
■2018年度U13ナショナル育成センター キャンプ 主な実施プログラム
■1日目 12月14日(金)午後
・開講式
・講義:行動規範「Japan’S Way」
・クリニック
・栄養講習
・講義
■2日目 12月15日(土)午前
・朝練習:シューティング
・クリニック
■2日目 12月15日(土)午後
・クリニック
・講義
■3日目 12月16日(日)午前
・朝練習:シューティング
・クリニック
・閉講式
※活動の様子はフォトギャラリーにてご覧ください。