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2018年度U14ナショナル育成センター 第1回キャンプ 開催報告
2018年12月16日
2つのボールを使うドリブルドリルなど、基本的な動きの習得度合いを改めて確認した
コーンを利用して、より実践に近いドリブルテクニックを学んだ
11月9日から11日までの3日間、味の素ナショナルトレーニングセンターで「2018年度U14ナショナル育成センター 第1回キャンプ」が行われました。同キャンプは男子30名、女子26名が参加し(うち女子2名が欠席)、トライアウト形式(合否によって、次回キャンプに進められるかどうかが決まる)で全3回のキャンプを進めていくものです。
「選手たちは能力も高く、元気で、動きもエネルギッシュでした。トライアウト形式で進める中でそうした姿勢を見せてくれたのはよかったです」
キャンプを主導するトステン・ロイブルコーチは選手たちの印象をそう振り返ります。その一方でトライアウト形式ということもあり、「どこかでミスを怖れて、リスクを取ってでもやってやるぞという意欲的な選手があまり出てこなかった」ことが残念だとも言います。
「ミスがトライアウトの選考に関わることはありません。私たちが見ているのは選手が今持ち合わせているすべての能力です。自信を持っている選手、リスクを取ってでもやってやるぞという姿勢まで見せてほしかったです」
練習はU14年代に必要とされるコーディネーション能力を高めるドリルを中心に進められました。その理由についてロイブルコーチは「彼らは非常に高いスキルレベルを持っていますが、コーディネーション能力が低いとこれ以上成長しなくなってしまうからです。逆に言えば、今こういう能力を高めることが大事だと伝えることで、彼ら自身がコーチに言われるのではなく、自分自身で成長できるということを理解してもらいたいと考えています」とも言及します。
もちろんコーディネーションドリルだけに終始しているわけではありません。厳しいマークを受けたときにボールをもらうための細かな動きや、ピック&ダイブなどの「2メンゲーム」などの練習もファンダメンタルとして練習をしました。
テーブス流河選手(東京・実践学園中学2年)は一昨年のU12ナショナル育成キャンプ(※今年度は実施されません)に参加して以来、2年ぶりのキャンプとなりました。
「普段習えないようなスキルや動きを教わることができるので、一昨年も感じたことですが、すごくいい経験になると思っています。今回であれば動きの中でのスクリーンの使い方や、フットワークまでを教わることができて、とてもわかりやすかったです。実践中学でもそうした練習は行いますが、このキャンプではより細かく学ぶことができます」
テーブス選手の兄・海選手は現在、アメリカの大学(ノースカロライナ大学ウィルミントン校)で1年生ながらスターターのポイントガードを務めています。さらに父・BTテーブス氏はWリーグ・富士通レッドウェーブの指揮を執っています。そんなバスケット一家に育ったテーブス選手もまた将来に前向きな姿勢をとります。
「僕も将来はアメリカでプレーして、日本のバスケットを発展させていきたいと思っています。そのためにはしっかりと体を成長させながら、スキルも強化するなど、いい準備をしていきたいと考えています」
女子もまた「非常にスキルが高くて、訓練されているなという印象を持ちました」と萩原美樹子コーチは第1回キャンプを振り返ります。「ただその『訓練されている』が、今までやってきた動きはできるけれども、新しい動きに対する反応、対応はまだまだという弱点を見つけることもできました」と付け加えます。
練習としてはドリブルコントロールから「アタックステップ」と呼ばれる状態に素早く切り替えてゴールにアタックする。もしくはクロスオーバードリブルでディフェンスを抜き去ってからのオーバーハンドシュートを打つなど、実戦に近い形のスキルを練習していきました。ボールを受けた瞬間に仕掛ける1対1や、スペーシング、ギブ&ゴー(パス&ラン)、ドライブに対するリアクト(合わせの動き)など、チームオフェンスの根幹となる動きも教わりました。それについて萩原コーチは「当然ピック&ロールなどの戦術も教えるのですが、今回はその前段階、1対1でどこまで崩すことができるのかを見たいと考えました。またギブ&ゴーではいかにディフェンスを見て、走るコースを選択できるかを見ました」と言います。女子もまたトライアウト形式ですので、そのあたりが選考基準になったというわけです。
キャンプに参加した佐藤花梨選手(静岡・沼津市立沼津高等学校中等部2年)は「今回は基礎的な練習が多かったですが、それを行っているときも自分の良さが出せるように、シュートやドライブなどを積極的にやるよう心掛けました」と言います。そのように言うのは昨年も同じようにトライアウト形式で行われた「U13ナショナル育成キャンプ第1回キャンプ」で落選した経験があるからです。そのときは「積極性が足りなかった」と佐藤選手。当時を振り返りつつ、今回のキャンプに臨む気持ちをこう語ってくれました。
「落とされてしまったことはとても悔しかったです。でも何より自分の力を出せなくて落ちてしまったことがすごく悔しかったので、今回はそうした心残りがないよう、たとえ合格でも落選でも、1回のキャンプに全力を出し切ろうと考えています」
チームではあまりギブ&ゴーなどを使わないため、そうした動きにはうまく対応できなかったと言いますが、「新しいことを教わって、それにする対応できるよう理解する力をもっとつけていきたいと思います」と萩原コーチが選手たちに求めていることを佐藤選手自身は実感できているようでした。
また第1回キャンプ開講に先立ち、山本明・日本バスケットボール協会技術委員会副委員長/ユース育成部会長が主導して、日本バスケットボール協会が掲げる理念と、その内容などを「JAPAN’S WAY」として彼らに伝える講習も行われました。彼らはまだ「日本代表」ではありませんが、それに近い存在として、今の年代からそうした理念などを頭と心に刻み込んで、キャンプや普段の練習、日々の生活にまで取り組んでほしいと伝えられました。
(※第2回キャンプは11月16日から18日の日程にて実施)
■2018年度U14ナショナル育成センター 第1回キャンプ 主な実施プログラム
■1日目 11月9日(金)午後
・開講式
・講義:行動規範「Japan’s Way」
・クリニック
・トレーニング
・栄養講習
・男子:スクリメージ
・女子:講義
■2日目 11月10日(土)午前
・散歩/体操
・クリニック
■2日目 11月10日(土)午後
・クリニック
・トレーニング
・講義
■3日目 11月11日(日)午前
・朝練習
・クリニック
※活動の様子はフォトギャラリーにてご覧下さい。