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2019年度 ジュニアユースアカデミー (女子) 第3回キャンプ 開催報告
2020年1月17日
上達のためには「自ら “うまくなる” という意思が必要」と萩原コーチ
重ねてきた練習をいかし、アウトサイドゲームに取り組む
12月13日 (金) ~15日 (日) の 3 日間、味の素ナショナルトレーニングセンター (東京都北区) で「2019年ジュニアユースアカデミー」の女子第 3 回キャンプが行われました。今年度の全 3 回のキャンプは今回が最終回となります。
今回のキャンプでは、第 1 回キャンプから通して取り組んできた「ビッグマンドリル」を行いながら、同時に練習を重ねてきたアウトサイドのプレーを生かしたアウトサイドゲームにも取り組みました。例えば、日本バスケットボール協会の考え方として、八村塁選手 (ワシントン・ウィザーズ) のようにリバウンドを取った選手がそのままボールをプッシュできれば、日本の生命線の一つであるファストブレイクはより速くなります。それをこのキャンプでも選手たちは練習しました。「決して簡単なことではありませんが、運ぼうという意志を見せることも重要です」と、同キャンプを指導する萩原美樹子コーチは言います。
自チームではセンターを務めている選手が多く、ボールプッシュを含め、なかなかアウトサイドのプレーはうまくいきません。それでも第 1 回キャンプよりは形になってきて、萩原コーチが「いいドライブだったよ」と声を掛けるシーンも増えてきました。「1 回目に見たときより、いろんなことをできるようになった選手が多くなったように思います。ただ、それはここに来ているからというより、伸びる時期だからかもしれません。自チームでしっかりプレーして、伸びているんだろうなという子が何人もいます」と彼女たちの成長ぶりを、萩原コーチも改めて感じていました。
一方で、コーチの説明に対する注意力、練習の目標に対する意識はなかなか上がってきていないと萩原コーチは苦言を呈します。
「短期間のキャンプでスキルを覚えるとしたら、何か 1 つでも覚えてくれれば成功だと思っています。それ以上に彼女たちに気づいてほしいのは、練習とはどういうもので、上手になるプロセスにはどういうことが必要なのかをわかってほしいということです。うまくなるためには “してもらう” のではなく、自らが “なる” ことが大切です。つまり主体的に取り組むプロセスをこのキャンプで学んでほしいわけです。彼女たちが持つ身長の高さは、それ自体が才能ですし、能力です。それを生かすためには、やはりそのための自分の努力が大切です」
そうした萩原コーチの想いは、少しではありますが、選手たちも伝わっていました。
ウェンゲル・アリース結選手 (神奈川・横浜市立奈良中学校 2 年) は、今年度からバスケットを再開したという182cmの選手です。3 回のキャンプを通じて、「スキル面でもすごく成長したと思います。いろいろ教えていただいて、感謝しています」と言い、こう続けます。
「一番学んだことは、失敗してもいいから、とにかくドリブルを強く突くとか、失敗してもいいからチャレンジしなさいと言われたことです」
ポイントをしっかりと聞いて、それを実践してみる。失敗することも多々ありますが、それでもチャレンジし続ける姿勢を保つことが、キャンプを通じて最も印象に残ったようです。
武井遙菜選手 (東京・荒川区立第一中学校 2 年) は、自チームの指導者がバスケットを専門とするコーチではなく、スキルを教わることがなかなかできないと、このキャンプに応募してきました。彼女もまたこのキャンプで気持ちも持ち方を学んだと言います。
「背の大きな選手と 1 対 1 などをすると、教わったビッグマンのスキルを使ってもミスすることが多かったです。でも失敗してもすぐにリバウンドやルーズボールを取りに行く気持ちだとか、ここで教わった気持ちを大切にしていきたいと思います。キャンプを通じて、自分なりに成長したと感じるところもありますし、まだまだできていないところもありました。でもこのキャンプでは周りの選手たちを見て気づくことができるので、それがよかったです」
いつもとは異なる環境に身を置き、未知の世界に飛び込んできた選手たち。そこでは練習の目的をしっかりと理解し、それを実戦のなかでトライすることの難しさを痛感しました。それでも選手たちはうまくなりたいという気持ちを最後まで忘れず、ひたむきに練習に取り組みました。その気持ちを自チームでも忘れることなく、目的を持って日々の練習を主体的に取り組むことができれば、彼女たちの持つ “身長” という武器は、より生かされるはずです。
※キャンプの様子は、フォトギャラリーをご参照ください。