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2019年度 ジュニアユースアカデミー (女子) 第2回キャンプ 開催報告
2019年12月30日
頭で理解したことを、いかにしてプレーとして表現するかが重要
不慣れなアウトサイドでのプレーに取り組み、その難しさを実感
11月22日 (金)~24日 (日) の 3 日間、味の素ナショナルトレーニングセンター (東京都北区) で「2019年ジュニアユースアカデミー」の女子第 2 回キャンプが行われました。
第 1 回キャンプでは「ビッグマンドリル」など、ペイントエリア内でボールを受けたときにどこを見て、何を判断して、どう攻めるかを練習しました。しかし同アカデミーを受講する14人の平均身長は177.6cm、最高身長も186cmと、国際基準で考えると決して「ビッグマン」ではありません。同アカデミーは開催目的の一つに「オールラウンダーの発掘・育成」を掲げていることもあり、第 2 回キャンプからは「アウトサイドでのプレー」に取り組みました。
とはいえ、2 泊 3 日のキャンプでアウトサイドプレーが完璧に身につくことはありません。萩原美樹子コーチは「アウトサイドでプレーする “経験” をしてほしいと考えています。うまくできなくてもいいので、ゴールに正対して、いろんなことを判断する “経験” をまずは積んでほしいのです」と言います。キャンプでの経験をきっかけにして、これからの練習に生かしてほしいと考えているわけです。今回は基本となるドライブの練習に始まり、ヘルプディフェンスの反応を見て、シュートを打つのか、パスで合わせるのか。合わせる選手もどこで合わせるのかといった練習に取り組みました。それを最終的には 3 対 3 で表現するところまで行いました。
自チームでは主にセンターを務めることの多い選手たちは、ほぼ初めてと言っていいアウトサイドからのプレーに戸惑い、不慣れさを感じさせる点もいくつかありました。それでも萩原コーチは「それは慣れです。普段よりも見るところが増えて、判断することも多くなるので、その点は難しいとは思いますが、それは慣れの問題です。キャンプはあと 1 回しかありませんが、そのなかで時間をかければできるようになると思っています」と一定の手応えを感じているようでした。
ただsの一方で、悪い意味での慣れも垣間見られた今回のキャンプ。ジュニアユースアカデミーは「ナショナル育成センター」とは異なり、キャンプごとに数名がカットされるというスタイルではなく、全 3 回を同じメンバーで実施されます。そのため、どこか緊張感が希薄になりがちで、日本代表の選手たちと同じ施設を利用するのも 2 回目となって、どこかに心の隙が出ていました。それが練習にも影響し、萩原コーチも「今のあなたたちにとって最大限のチャレンジをしなさい!」「コーチが話しているときに聞いていない選手がいます。それでは練習の狙いや、動きを間違えるのは当たり前でしょう? 集中力のなさが際立ちます」と厳しい声に変わっていました。
「苦しくなったときにどう自分の気持ちを高められるか。そのあたりがまだ身についていない選手が多いように思います。でもこれは絶対的に必要なことです。コーチにやらされるのではなく、自分がどうしたいのか、自分がどうしなければいけないのかを彼女たちには求めたいと思います」
さらに、いわゆる「頭でっかち」になりがちな選手たちにも次のように言及します。
「今年のメンバーは非常に頭がよく、自らの言葉で話せますし、こちらが言うことの理解も早い。大人ともしっかりコミュニケーションの取れる選手たちです。ただその頭で得た知識を体で表現できているかといえば、まだまだです。私自身がそういうタイプのプレーヤーでしたので、彼女たちの気持ちはよくわかりますが、コーチからすれば、体で表現できない選手は『理解している』とは言えません。ですから頭で理解したであろう知識を動きにつなげる努力、その回線をつなげて、体で表現できるところまで要求したいと考えています」
実際、選手たちに話を聞いても、その頭の良さが際立つコメントが帰ってきました。
進藤かなえ選手 (北海道・帯広市立南町中学校 3 年) は「地元では175cmでも大きいほうなので、インサイドでプレーしていて、アウトサイドは身長の低いチームメイトに任せきりでした。でも、いざ自分がアウトサイドでプレーするとなったときに、慌ててしまってできないことが多くありました。特にインサイドへ入れるパスは、これまで受けるばかりで出したことがなかったので、今回の練習を通じてすごく大変なんだなと感じました」と振り返ります。
そして「地元では一番大きいけど、このキャンプのなかでは一番小さい。地元のプレーを続けていたらこれからのバスケット人生で通用しなくなるので、アウトサイドのプレーもきちんと練習したいと思いました」と続けます。これまでは渡嘉敷来夢選手 (JX-ENEOSサンフラワーズ) にあこがれ、彼女のプレーばかりを見ていたと言う進藤選手ですが、「これからはアウトサイドでプレーする選手を見て、シューターを目指したい」と気持ちを新たにしていました。
今回のキャンプに唯一 1 年生で参加している梅田帆夏選手 (千葉・翔凛中学 1 年) もまた自チームではインサイドでのプレーが中心だと言います。アウトサイドのプレーはチーム練習の一環でやるくらいだとも。それでも普段から問題意識を持っているようで「ボールをもらった瞬間にディフェンスが間合いを詰めてきたときにどうしたらいいんだろう? とずっと思っていて、今回『リバースターン』を教わることで、その問題がひとつ解決しました。でもそうすると今度は、リバースターンをしたときはフリーフット側にしかドライブできないんじゃないかと思ったんですけど、ジャブステップを使ってディフェンスを動かすことで逆方向にも抜けるとわかりました」など、いくつかの疑問を解く糸口を見つけていました。
プレーだけではなく、第 1 回キャンプであまり声が出ていなかったと感じた梅田選手は「1 年生が一番元気じゃなきゃいけないと思って、今回は声を出し続けることを意識しました」と、練習の雰囲気を盛り上げるように、率先して声を出すようにしていたとも言います。
新しいスキルに取り組んだとき、どんな選手であっても、それがすぐにできるわけではありません。ジュニアユースアカデミーの選手たちもまた、第 2 回キャンプでそれを実感しながら、それでも前向きに取り組もうとすることで少しずつ自分を磨いているようでした。
※キャンプの様子は、フォトギャラリーをご参照ください。