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2019年度 ジュニアユースアカデミー (女子) 第1回キャンプ 開催報告
2019年11月30日
萩原コーチをダミーディフェンスとして、基本スキルをチェック
見学した女子日本代表の練習で、ホーバス ヘッドコーチの言葉をかみしめる
11月 2 日 (土)~4 日 (月・祝) の 3 日間、味の素ナショナルトレーニングセンター (東京都北区) で「2019年ジュニアユースアカデミー」の女子第 1 回キャンプが行われました。女子のジュニアユースアカデミーは昨年に続く 2 期目となります。今回はトライアウトを通過した14が参加、最後まで懸命にキャンプのメニューに取り組みました。
「ジュニアユースアカデミー」は通称で「ビッグマンキャンプ」と呼ばれる、長身者を中心としたキャンプです。年齢的には同時期に行われている「U15 ナショナル育成センター」や「U14 ナショナル育成センター」と同じ世代ですが、このキャンプに集まっている女子選手たちはすべて175cm以上。指導する萩原美樹子コーチも「昨年と比べて今年はサイズがあります (大きい)」と認めるほどです。
一方で、スキルやフィットネスではまだまだ伸びしろが大きい選手も多いため、萩原コーチは同じ年代でも「U15 ナショナル育成センター」や「U14 ナショナル育成センター」で取り組んでいる練習メニューとは異なるものを行うと言います。加えて、昨年度の同アカデミーで見つかったキャンプそのものの課題や、昨年度が全 4 回だったのに対して今年度は全 3 回という日程も踏まえて、指導内容を改めました。
「昨年度は最終的に『モーションオートマティック』を目標にしていました。ピック & ダイブを行ったときのリフトの動きまでできるように練習をしたわけです。それ自体は選手たちにとって重要なことだったと思いますが、一方で、もう少し丁寧に教えたいと思うところを飛ばさざるを得なかったのも事実です。今年はそこにも目を向けて、かといって各論だけを教えても、選手たちも最終目標が見えなければ同じ方向を向きにくいので、今年は最終的にスペースを取りながらの 3 対 3 や 4 対 4、そこにスクリーンプレーまでを加えられたらと考えています」
さらにジュニアユースアカデミーは長身者を中心としたキャンプでもあるので、その高さを生かすための練習に取り組むことも重要なミッションです。ただしゴール下で高さを生かすだけではありません。
「大きいけれども、ゴール周りで高さを生かしたシュートしかできないというのではなく、ドリブルをする、パスをするといったスキルも覚えてほしいなと考えています。つまり大きいからこその利点と、大きいからおざなりになっているところをしっかりと伝えて、これから先もバスケットを続けてもらいたいというのが一番の狙いです」
萩原コーチの言葉どおり、練習メニューは基本的なものが多く、ホワイトボードには「ドロップステップ」「パワードリブル」「ビッグマンドリル」「マイカンドリル」といったビッグマンが覚えておくべきファンダメンタルのメニューが網羅されていました。一方で「ギブ & ゴー」や「スピードドリブル」といったアウトサイドからの練習もあり、選手たちは様々なドリルに汗を流していました。
今年度の最高身長である186cmの越津真理奈選手 (山形・長井市立長井北中学 3 年 / 山形ワイヴァンズ U15) は、バスケットを始めてまだ 3 カ月の選手です。
「ゴール下のシュートのバリエーションや、ディフェンスがどう守ってきたときに、どう抜いたらいいか、どうシュートを打ったらいいかなど細かいことを教えてもらいました。これをチームに戻っても実践したいと思います」
うまくできないプレーもたくさんあり、悔しい思いもしましたが、それでも新しいことを学べるジュニアユースアカデミーを「楽しめました」と振り返ります。
同じく山形から参加した三井優和選手 (鶴岡市立鶴岡第一中学校 3 年 / HOOP MONSTERS) は176cmですが、このキャンプでは「自分が大きいほうではないことを実感した」と言います。そのうえで「アカデミーのコンセプトの一つ『国際基準で考える』ということで、最終日に女子日本代表の練習風景を見学させてもらって、シュートに行くまでにいろんな工夫をしなければいけないことがわかりました」と、日本の中学校のなかでは大きい分類に入る彼女たちでさえも、世界基準で考えれば小さいことを改めて感じたようです。
さらに三井選手は女子日本代表のある選手を見て、さらに意識を高めようと決意したようです。
「梅沢 (カディシャ樹奈) 選手が中学からバスケットを始めたと聞いたのですが、自分たちとは動きの速さも違うし、意識も違うように感じました。自分たちも梅沢選手のように高い意識を持って練習に取り組めば、どんどんうまくなるのかなと思いました」
現時点でのスキルレベルには幅のある選手たちですが、「U15 ナショナル育成センター」や「U14 ナショナル育成センター」の選手たちともそん色がないほどの将来性、伸びしろを持っていると萩原コーチは言います。
「身長が大きいというのもバスケットでは絶対的な才能です。今すぐにはできない難しいスキルを教えるのではなく、彼女たちがやりたいと考えていること、たとえば中学を卒業したあとにもう少し上のレベルを目指したいと思ったり、少しでも上手になるためにはどうすればいいのかと考えるきっかけ、メンタルセットに近いことを全 3 回のキャンプで彼女たちに伝え、持ち帰ってもらいたいです」
第 1 回キャンプの 3 日間でもプレーの質が変わってきたと、萩原コーチをはじめ、他のコーチングスタッフも認めます。身長という武器を携えた「ダイヤの原石」をいかに磨いていくか。それは指導するコーチだけでなく、選手たち自身の意識にも大きくかかっています。
※キャンプの様子は、フォトギャラリーをご参照ください。