ニュース
平成26年度ジュニアエリートアカデミー(ビッグマン&シューター) 第4回キャンプ開催報告
2015年1月16日
テニスボールを利用して、よりよいハンドリング力を磨く選手たち
ファストブレイクの練習では果敢にゴールにアタックする姿勢を見せた
1月9日(金)から11日(日)の3日間、味の素ナショナルトレーニングセンターにて、平成26年度ジュニアエリートアカデミー(ビッグマン&シューター)の第4回キャンプが行われました。
今回のテーマは「自分の長所、短所に気づき、すべてを向上させるチャレンジをすること」と佐々木 三男アカデミー長は言います。優れた選手は自分の強みを伸ばし、一方で課題に対してはすぐに直そうとする意志のある選手です。しかしその強み、課題を見つけることができなければ、伸ばすことも直すこともままなりません。
「自分の長所、短所に気づいて、それらに対してチャレンジしておくことを、身体や心ができあがる今の時期にやっておかなければ遅いと考えています。そうしたチャレンジを助けてくれるのは知識であり、経験であり、それらを自ら理解する力です。彼らの年代でスキルや身体能力を磨くとともに、同時に心の育成もしておく必要があるのです」
それは言葉をかえると「メンタルの習慣化」とも言えます。誰かに言われて動くのではなく、自らが率先して動いていく。そうした心のあり方を小中学生のうちから習慣づけておくことで、将来的には世界と真っ向から戦える心の強いプレイヤーになると考えているわけです。
スキル面では、トーステン・ロイブルコーチが「日本の弱点であり、7回の合宿すべてを通してやっていく」という「1対1のファンダメンタル」と「ファストブレイクのファンダメンタル」を基軸に、練習は進められていました。
「1対1については、これまでのキャンプではボールをキャッチしてからの1対1を練習してきましたが、今回からはドリブルからの1対1を始めてみました。選手はみんな苦労していましたが、これは絶対に成長するために必要なスキルです。ファストブレイクについては、速い展開のなかでいかにミスを減らすかが日本にとって重要なことです。彼らはまだロングパスやスピードドリブルなど、ファンダメンタルができていません。そうしたファンダメンタルを、母体チームではほぼインサイドでプレイしている選手たちに経験させることが重要なのです」
彼らの現状を厳しく指摘しつつ、一方でロイブルコーチは「スクリメージではスペーシングのコンセプトを理解してきていますし、練習しているプレイが出ている場面もあります。ビッグマンが考えながらプレイしているのを見ると楽しくなってきます」と、彼らの成長に笑顔も見せていました。
■第1日目/1月9日(金)
13:45 開講式
14:00 バスケットボールスキル
16:00 フィジカルトレーニング
19:00 医科学講習会
19:45 学習
■第2日目/1月10日(土)
6:15 シューティング
9:00 バスケットボールスキル(トーステン・ロイブル コーチ/JBAスポーツディレクター)
11:00 フィジカルトレーニング
14:00 個人練習
14:30 バスケットボールスキル(トーステン・ロイブル コーチ/JBAスポーツディレクター)
16:00 フィジカルトレーニング
19:00 チームビルディング講習会
19:45 学習
■第3日目/1月11日(日)
6:15 シューティング
9:00 バスケットボールスキル(トーステン・ロイブル コーチ/JBAスポーツディレクター)
11:00 フィジカルトレーニング
12:00 閉講式
加えて、今回のキャンプからは選手個々の適性を見極め、それぞれのポジションに見合った練習も始まりました。2日目の午後、3日目の午前にはシューターとビッグマンを分けて行う時間帯が設けられ、選手たちも新しいチャレンジに踏み出していました。
キャンプを重ねるごとにチームとしてのまとまりを見せはじめてきた選手たち。昨年度のジュニアエリートアカデミーを経験し、今年度は最上級生として参加している戸堀 春輝選手(東京・新宿区立西早稲田中学校 3年)は「昨年はドリブルなどの基本スキルがまったくできていませんでした。でも今年はその経験からスキルが上達していることを実感できるし、昨年経験した分、みんなを引っ張っていきたいという気持ちで臨んでいます」と言います。その言葉どおり戸堀選手は、隊列を組んで行う練習では常に先頭のグループに入り、大きな声とともに練習を盛り上げていました。
今年度から参加した中村 吏選手(長野・長野市立東部中学校 3年)は「自分の中学校はあまりレベルが高くなく、そのなかで自分は周りのレベルに合わせてプレイをしていました。そのため自分の向上ができていなかったから、このキャンプに来たいと思ったんです」と話してくれました。そして同年代の上手な選手たちがさらに努力をしているところを目の当たりにして、「置いていかれるとまずいと思って、前よりも家で筋トレなどをするようになりました」と言います。ライバルたちの存在が、中村選手をはじめとするすべての選手たちに刺激を与え、自発的な向上心を植えつけているのです。
佐々木アカデミー長も、過去3回のキャンプで選手たちの心の変化に成長が見てとれると言います。第1回、第2回キャンプでは戸堀選手ら昨年のジュニアエリートアカデミーを経験した選手が他のメンバーをリードしていましたが、徐々にそれ以外のメンバーにも「積極性が出てきた」と認めています。また「中学3年生が多い中で、中学2年生や小学6年生の子たちも彼らとコミュニケーションを取れるようになって、それがチームワークを活性化する材料になっています。少しずつではありますが、チームになっているように感じています。そうした心の変化は、母体チームに戻っても、決して無駄にならないことだと考えています」
第4回キャンプも無事に終了し、選手、スタッフともに、この合宿での成長を実感として得てきているようです。
次回、第5回キャンプは、1月23日(金)~25日(日)に開催されます。
■平成26年度ジュニアエリートアカデミー(ビッグマン&シューター) 第4回キャンプ 指導スタッフ紹介 ※敬称略
【バスケットボールスキル担当】
トーステン・ロイブル(JBAスポーツディレクター)
【心理カウンセリング担当】
奥野 真由(JISS)
【フィジカル担当】
國友 亮佑(公益財団法人日本バスケットボール協会)
【トレーナー担当】
細川 英範(ふたば整骨院)、西村 航(公益財団法人日本バスケットボール協会)
【栄養指導担当】
小林 唯 (公益財団法人日本バスケットボール協会)
【シューティングメカニズム担当】
袴田 智子(JISS)、稲葉 優希(JISS)
【ジュニアエリートアカデミープロジェクトスタッフ】
佐々木 三男(慶應義塾大学)、村上 佳司(國學院大學)
古海 五月(公益財団法人日本バスケットボール協会)、本永 昌生(通訳)
【アシスタントコーチ】
佐藤 容子(東北用地㈱)、瀧澤 和人(三浦市立南下浦小学校)
田村 光弘(豊田市立藤岡南中学校)、川瀬 達也(春日部市立大増中学校)
伊豆倉 明子(さいたま市立大原中学校)、鈴谷 勉(札幌市立澄川中学校)
岡村 幸恵(我孫子二階堂高校)、入江 史郎(防衛大学校)