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平成26年度ジュニアエリートアカデミー(ビッグマン&シューター) 第3回キャンプ開催報告
2015年1月5日
ピックアンドロールを使う判断力を養う
限界まで自分を追い込める選手は伸びる
12月12日(金)~14日(日)にかけて、味の素ナショナルトレーニングセンターにて、平成26年度 ジュニアエリートアカデミー(ビッグマン&シューター)第3回目のキャンプが開催されました。
第2回のキャンプから2週間という短いスパンで行われた今回のキャンプのテーマは「気付き」。佐々木 三男アカデミー長はその意図について説明します。
「3回目の実施ということもあって、アカデミー生は味の素ナショナルトレーニングセンターに慣れ、キャンプに慣れ、仲間に慣れてきた時期です。その中でもルーズにならないために、自分と仲間を注意深く見て、気付くこと。そしてチャレンジしていくことを求めています」
このようなテーマを掲げてスタートしたキャンプにも関わらず、慣れが悪い方向にいく場面が何度かありました。ゲーム形式の3対3では「ピック&ロールを使う」という課題にチャレンジできず、これまでのキャンプで何度も指摘されてきたメンバー同士の会話もほとんどありませんでした。トーステン・ロイブルディレクターは練習を一旦ストップさせ、「君たちは成長するためにここに来ているんじゃないのか。時間のムダだよ」と厳しい言葉をアカデミー生にかけました。
「彼らは決してサボっているわけではないんです」と説明してくれたのは佐々木アカデミー長。190㎝台の選手が11人も集まるジュニアエリートアカデミーでは、自分のチームではめったに経験できないことがたくさんあります。自分と同じくらい、もしくはもっと大きな相手と常にマッチアップすること。アウトサイドのプレイや戦術を要求されること。トレーニングで限界まで追い込まれること。自チームだったら「大きいから仕方ない」と少し大目に見てもらえるようなことも、みんなが同じサイズである以上、ごまかすことはできません。さらに新しいメニューの動きを覚えたり、的確な判断でプレイをしたりした上で、仲間たちに声をかけたり、気を配ったり。アカデミー生たちの負荷はまわりから見ている以上に大きいのです。
■第1日目/12月12日(金)
13:45 開講式
14:15 シューティングドリル
15:15 フィジカルトレーニング
17:00 学習
19:30 バスケットボールスキル
■第2日目/12月13日(土)
6:00 シューティング
9:00 バスケットボールスキル(トーステン・ロイブル コーチ/JBAスポーツディレクター)
10:45 フィジカルトレーニング
13:45 個人練習
14:30 バスケットボールスキル(トーステン・ロイブル コーチ/JBAスポーツディレクター)
16:30 フィジカルトレーニング
19:00 栄養講習会
19:45 学習
■第3日目/12月14日(日)
6:00 シューティング
9:00 バスケットボールスキル(トーステン・ロイブル コーチ/JBAスポーツディレクター)
11:00 フィジカルトレーニング
12:00 閉講式
「賢い選手」と佐々木アカデミー長からの評価が高い岩本 卓巳選手(鳥取県・鳥取市立西中学校 3年/190cm)は、自分のチームではガードからセンターまで何でもやる選手だったそうです。「チームでは仲間のことをあまり考えずに一人で点を取りに行っていたけど、ここの選手たちはみんなが頼りになるから、自分一人で攻める必要がない。パスの判断も含めて考えてプレイするのがとても大変です」と話しました。
佐々木アカデミー長は、「こういった中だるみの時期というのは、チームの成長過程で必ずあるもの。ここを頑張れることができれば、その後、大きく伸びます。負荷を与えて『負けない心』を養成していくことも、このアカデミーの目的の一つ。乗り越えたときに見えるものが、その選手の心の強さなのです」と言います。
日本の多くのコーチはこの「負荷」を精神的なところに特化する傾向もありますが、ジュニアエリートアカデミーでは、よりバスケット的な負荷(制限)をかけることを意識しています。例えば2対2や3対3などには「普通のシュートは1点、ピックアンドロールを使えたら2点」というような条件を設けたり、シューティングは3点先制だったり、キャンプ恒例の1対1トーナメントを行ったり。「精神的なところだけでなく、練習の中で選手にプレッシャーを与えるメニュー作りは、多くの指導者に取り入れてもらいたいものです」と佐々木アカデミー長は話しています。
怪我をした選手も、星川 精豪トレーナーの厳密なチェックを受けた上で、怪我に影響の少ないメニューにはなるべく参加するように指導されます。山口 蓮選手(北海道・帯広市立帯広第八中学校 3年/186cm)は第2回のキャンプで重い捻挫をし、2週間が経った今回のキャンプでもプレイをすることはできませんでした。欠席してもいいような状態だったにも関わらず、「怪我したからこそできる、みんなとは違うメニューがある」と考えた上で参加を志願。星川コーチと共に様々なリハビリメニューにみっちりと取り組みつつ、チーム戦では大きな声で仲間を盛り上げました。
叱咤激励されるような場面もあったものの、選手たちの意識はグングンと上向きになっています。最初は自分のプレイがうまくいかないと表情に出てしまっていた選手も、仲間のフリースローに駆け寄るようになりました。説明されている内容が分からず途方にくれていた最年少の森山 日向選手(兵庫県・西宮市立津門小学校 6年/178cm)も先輩たちの後押しも手伝って、少しずつまわりの選手と言葉をかわせるようになってきました。
2年目のジュニアエリートアカデミーとなる戸堀 春輝選手(東京都・新宿区立西早稲田中学校 3年/190cm)や全国中学校バスケットボール大会を経験している井上 宗一郎選手(東京都・世田谷区立梅丘中学校 3年/199cm)ら実績やキャリアがある選手を軸に、それぞれが必死に考え、行動しています。長いトンネルを超えた先に待つ飛躍が、今から待ち遠しいです。
次回、第4回キャンプは、1月9日(金)~11日(日)に開催されます。
■平成26年度ジュニアエリートアカデミー(ビッグマン&シューター) 第3回キャンプ 指導スタッフ紹介 ※敬称略
【バスケットボールスキル担当】
トーステン・ロイブル(JBAスポーツディレクター)
【心理カウンセリング担当】
奥野 真由(JISS)
【フィジカル担当】
國友 亮佑(公益財団法人日本バスケットボール協会)
【トレーナー担当】
星川 精豪(江戸川大学)
【栄養指導担当】
小林 唯(公益財団法人日本バスケットボール協会)
【シューティングメカニズム担当】
袴田 智子(JISS)、稲葉 優希(JISS)
【ジュニアエリートアカデミープロジェクトスタッフ】
佐々木 三男(慶應義塾大学)、村上 佳司(國學院大學)
古海 五月(公益財団法人日本バスケットボール協会)
本永 昌生(通訳)、加藤 翔鷹
【アシスタントコーチ】
吉田 浩史(東京都立武蔵高校附属中学校外部指導員)
大渕 秀子(さいたま市立大久保中学校)、石飛 博之
横山 篤(瀬戸市立南山中学校)、若岡 洋介(名古屋市立向陽高校)
田中 博昭(鳥取 県立博物館)、鈴木 誠士(東京都立蒲田高校)