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2018年度ジュニアユースアカデミー 第1回キャンプ 開催報告
2018年10月18日
トーステン・ロイブルコーチの下、ボックスアウトの姿勢を学ぶ選手たち
選手たちがイメージしやすい映像を使うなど、指導に工夫を加える
10月6日(土)~8日(月・祝)の3日間、味の素ナショナルトレーニングセンターにおいて、「2018年度ジュニアユースアカデミー」の第1回キャンプが開催されました。
2012年に「ジュニアエリートアカデミー」としてスタートし、長身者を対象とした同キャンプは、回数を重ねながら状況に応じた改善を図り、今年度は男子の対象年齢を中学3年生から高校2年生までにしました。それに伴う身長の基準を190cn以上(中学3年)、192cm以上(高校1年)、194cm以上(高校2年)と細かく設定し、32名の応募者のうちトライアウトを通過した15名が今年度のキャンプに参加します。
また、今年度から女子の「ジュニアユースアカデミー」も始まり、こちらは中学生年代のみですが、すべての学年を通じて身長の基準を175㎝以上に設定。22名の応募者のなかから、同じくトライアウトを通過した15名が女子初の同キャンプに参加します。
第1回キャンプを終え、男子を指導するトーステン・ロイブルコーチは選手たちを「すごくポジティブな印象がある」と評価します。「今年もタレント豊富な選手たちが揃っていますが、例年になく選手のパフォーマンスのギャップが小さいのが特長です。これまではトップクラスの選手と、少し弱いなと感じる選手のパフォーマンスに大きなギャップがあったのですが、今年はそれがありません」と言います。さらにロイブルコーチは、彼らのほとんどが自チームでインサイドプレーをしている選手たちでありながら、ペリメーターのドリルに対しての反応がよく、「教えたことをすぐに吸収して、覚えるのも早い。複雑なドリルも十分にできて、第1回キャンプとは思えない」と驚きと喜びを隠せない様子でした。
今回のキャンプでは、彼らのもつ個々のスキルレベルを詳しくチェックし、複雑なドリルにも対応できるバスケIQの高さも確認したことで、チームファンダメンタルへとスムーズに移行できました。
また、ティーチングポイントを細かく指導し、何を要求されているかがわかるように進めました。1対1だけでなく、チームファンダメンタルとしてのオートマティックな動き、スペーシング、動き出すタイミングなどを簡単な動きの中で教えて、何の目的でこれをやっているかを理解してもらいたかったからです。この「理解」こそがジュニアユースアカデミーのカギになるとロイブルコーチは続けます。
「キャンプごとに彼らが成長するのはわかっています。しかしもっと重要なことはトップレベルに到達するために何が必要なのかを、すべての選手が理解することです。『こういうことをうまくできなければトップレベルに達しない』、『世界のトップレベルはこうした感情を出さなければいけないのか』などを理解することが、このキャンプのミッションだと思っています」
長橋 冬真選手(國學院大學久我山高校 2年)は、将来の日本代表入りを目指してこのキャンプに応募してきました。普段はフィジカルコンタクトが得意ではないという長橋選手ですが、3日間のキャンプを通じて、その重要性を改めて感じ、最終日にはコンタクトを伴うドリルでサポートコーチを吹き飛ばすほどのパワフルさを見せてくれました。今回のキャンプで唯一の高校2年生、つまりは最年長の長橋選手ですが、「周りはみんな自分より年下ですが、自分が彼らから学ぶこともたくさんありますし、逆に自分が最年長として彼らを引っ張らなければいけないという意識もあって、とても刺激を受けるキャンプになりそうです」と前向きな姿勢を示してくれました。
一方の女子では、アンダーカテゴリー女子日本代表を率いる萩原 美樹子コーチが指導に当たりました。長身者、つまりは自チームでセンターを務めている選手が多い分、ドリブルなど「ガード周りのスキルが不得手な子が多かった」と認めたうえで、しかし彼女たちにアウトサイドのプレーだけを覚えさせるのではなく、インサイドのプレーもしっかり指導していくと萩原コーチは言います。
「アンダーカテゴリー日本代表の指揮を執っていて感じるのは、大きい選手であればあるほど、インサイドのディフェンスが上手ではありません。なぜなら彼女たちは国内で戦うときに相手の後ろに立って、最後にブロックショットができればいいと考えているからです。相手の前に回り込むようなポストエリアでの争いができないんです。オフェンスのポストアップでもそう。ですから、今回のキャンプでは、当然アウトサイドのプレーにも慣れてもらいますが、それと合わせて、改めてインサイドでの足の運び方、体の使い方を指導していきたいと考えています」
実際に、今回のキャンプでは、ローポストでのシールの仕方や、パスを受けてからの状況判断を伴うドリルなどを行なっていました。
「選手たちも教えたことをやろうという意識を見せてくれましたし、明らかに初日よりも3日目の1対1のほうがいい動きをしていました。つまりボールを受けてどうするかを知っているかどうかで、彼女たちの動きもまったく違うものになってくるわけです」
萩原コーチは初回のキャンプに一定の手応えを感じながらも、「私たちの使命は彼女たち長身者にきちんとアウトサイドとインサイドのプレーができるようにして、日本代表として国際ゲームでいかに戦ってもらうかです。国内では長身者かもしれませんが、国際ゲームでは長身者でないわけですから、その前提で彼女たちにはあと3回のキャンプに取り組んでもらいたいと思っています」と、今後の課題もしっかりと示していました。
例年とは異なること、進化した点として追記すれば、Bリーグの各クラブが持つジュニアユースチームや一般のクラブチームからも応募できるなど、応募対象の枠が大きく広がったことが挙げられます。
将来はアメリカの大学に進学して、バスケットボールを続けたいという鈴木 更選手(半田市立青山中学校 3年)もその一人です。愛知県の「ideas(イデアス)」から、今回のジュニアユースアカデミーに参加しています。
「地元のチームでは私より大きな選手はあまりいないのですが、ここでは私が一番小さくて、大きな選手のなかに入って戦うのも初めてです。いつも打っているシュートがブロックされることもありましたが、だからこそ自分のプレーを工夫することで、幅が広がるきっかけになるかなと感じました」。
慣れない環境ながらも、それを前向きに捉えて、さまざまなドリルに取り組んでいました。
ジュニアユースアカデミーでは、国際ゲームを見据えたスキルやチーム戦術、フィジカルトレーニングに積極的に取り組みながら、その一方で選ばれた選手としての行動規範をこの年代から示すことにも取り組んでいます。
次回、第2回キャンプは10月19日(金)~21日(日)に予定されています。
■2018年度ジュニアユースアカデミー 第1回キャンプ 主な実施プログラム
■1日目 10月6日(土) 午後
・開講式
・クリニック
・トレーニング
・栄養講習
・講義:行動規範「Japan’s Way」
■2日目 10月7日(日) 午前
・朝練習:シューティング
・クリニック
・トレーニング
■2日目 10月7日(日) 午後
【共通】
・クリニック
・トレーニング
・講義:メンタル
【男子】
アスレチックトレーニング
■3日目 10月8日(月・祝) 午前
・朝練習:シューティング
・クリニック
・トレーニング
※活動の様子はフォトギャラリーにてご覧ください。