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平成29年度U14ナショナル育成キャンプ 第4回キャンプ 開催報告
2017年12月1日
館内にある大型モニターを使って、自分たちのプレイを検証する男子の選手たち
さまざまなスキルを学び、細部にわたるまでしっかりと詰めていった女子の選手たち
11月17日(金)~19日(日)の3日間、味の素ナショナルトレーニングセンターにおいて、平成29年度U14ナショナル育成キャンプの第4回キャンプを開催しました。全4回のキャンプで、今回が最終回となりました。そこでは男子17名、女子15名と、第3回キャンプからさらに人数を絞り込み、2泊3日のスケジュールが進められました。
男子は、この年代で覚えておくべきファンダメンタルを確認したあと、練習してきたことの総チェックともいうべき実戦練習に時間を費やしました。1対1から始まり、2対2、3対3と徐々に人数を増やしていきながら、最後は8点先取のオールコートの5対5を行います。途中、これまで練習したことのポイントを忘れてしまい、エルマン・マンドーレコーチに厳しく指摘される場面もありました。しかしマンドーレコーチともコミュニケーションを深めるシーンも見せるなど、最後まで充実したキャンプを過ごすことができました。
下地 秀一郎選手(沖縄県・豊見城市立豊見城中学校 2年)は、「チームではオンボールの練習はするのですが、オフボールでの動きをあまり練習していません。キャンプではそれをやっていかなければ上にはいけないことがわかりました」と振り返ります。将来は日本代表に入りたいという下地選手は、バスケットボール以外でも収穫があったと言います。「食事や洗濯など、生活面でも学ぶことが多かったです。普段から洗濯物を取り込むような手伝いはしていますが、自分から洗濯をして、そのためにはどのように時間を使うべきかといった計画などを学ぶことができました」。そうした気づきは選手としても、人としても、今後の成長に不可欠なものだと言えます。
また、ジュニアユースアカデミーキャンプと掛け持ちになった加藤 大智選手(静岡県・浜松市立蜆塚中学校 2年)は、「ジュニアユースアカデミーキャンプでは2年生が少ないのですが、ここでは同世代と一緒にプレイできて、しかもみんなすごく素晴らしい選手たちで感動しました」と言います。彼もまた、U14のキャンプで「集合時間の10分前に集まることや、サクラダイニングでは栄養バランスのことを学ぶなど、今後の私生活で生かせるところがたくさんありました」と言います。バスケットボールについても、「シュートフォームを改善してもらって、入るようになってきました。また左手で打つべき場面では左手で打つなど、新しいことも学ぶことができました」と充実した表情を見せていました。
男子を指導したエルマン・マンドーレコーチも、「第1回キャンプと比べても選手たちは成長できています。こちらが考えてやってきたキャンプの効果は出てきていると思います」と手ごたえを感じています。「ただ日本のバスケットボールが成長し続けるためには身長を上げていかなければいけません。これは必要不可欠なことです」。
これは195cmの加藤選手のような大きな選手をいかに育てるか、という意味です。「キャンプに来ている選手たちは部活動でセンターをしているようですが、こういう(背の大きい)選手を少しでもガードや、ペリメータ―の選手として育て、平均身長を底上げしなければいけないと思っています。ただ、これは所属チームがやるべきことだと思うので、そのあたりが変わっていくことを期待しています」。
そのような提案をしたうえで、マンドーレコーチは全国にいるU14の選手たちに、「まずはバスケットボールを楽しんでほしい。そのうえで常に自分のベストを尽くして練習に取り組んでほしい」とメッセージを送ってくれました。
一方の女子は、ファンダメンタルや4対4のスぺーシング、それに対するディフェンスのポジショニング、オフボールスクリーンを使った攻めといった、これまでの練習に加えて、最後のキャンプでオンボールスクリーンにも取り組みました。
こちらも途中で萩原 美樹子コーチから「あなたたちは14歳以下の日本代表と言ってもいいのよ。しっかり攻めて、しっかり守りなさい」と厳しい指摘が入りました。その声がきっかけではありましたが、その後、女子の練習は活気を帯び、選手たちからも声が出るようになっていきました。
瀬川 心暖選手(京都府・京都精華学園中学校 2年)は、「チームとは違って、頭を使って、周りを見ながらプレイしなければいけないことは勉強になりました。ドライブからパスなのか、シュートなのかの判断が難しかったです」と言います。チームではセンターをしている瀬川選手にとっては、そうしたペリメータ―の動きが難しくもあり、今後の糧にもなったようです。
「自分では大きいほうだと思っていましたが、ビデオで見ると決してそうではないと感じたので、今後は中も外もできるオールラウンダーになっていきたいです」と新たな目標も見つけていました。
田村 美優選手(宮城県・仙台市立広瀬中学校 2年)は、「最初のキャンプに来る前は、みんなとあまり差はないのかなと思っていましたが、実際にキャンプに来てみると、私と同じくらいの身長の選手でもボール運びができて、シュートがよく入る。バスケの実力もそうですし、バスケに対する意欲も高くて、その差に悔しい思いをしました」とキャンプ全体を振り返ります。
それでも最後のキャンプまで選ばれ続けたのは、田村選手の練習への取り組み方などが評価されたからでもあります。「『美優は変わったね』とか『上手になったね』『前と違うよ』と言われるような立派な選手になりたいです」と、U14ナショナル育成キャンプで受けた刺激を今後につなげる意欲を見せていました。
女子を指導した萩原コーチはキャンプ全体を振り返って、「非常にまじめで、言われたことをきちんとやろうとする選手が多く、意欲もありましたし、キャンプとしては非常によかった」と言います。但し、スキル面で教えたパス&カットやドライブ&キック、オフボールスクリーンを使った合わせ、そして最後のキャンプで取り組んだオンボールスクリーンを意識するあまり、1対1を忘れてしまう傾向があったと振り返ります。
「キャンプで指導したさまざまなスキルは1対1をするためにやっているもの。その1対1を横に置いて、動きを埋めるところに頭が向いていたように思います。そうではなく、1対1を狙うためのツールとしてパス&カットなどをしているわけで、そこはまだなかなか理解できないところかもしれませんが、そういうことが起こるのだなと確認することができました」。選手が新たなことを学ぶことは、教える側に取ってもさまざまな気づきを与えるようです。
そのうえで萩原コーチは、全国の14歳以下の選手たちに対して、「ドライブのフィニッシュを決めきるところまで練習してほしい」とメッセージを送ります。「そしてもっとコンタクトをしてペイントエリア内に入っていくこと。まだまだ足を切る(ドライブからボールを持って、1,2とステップを踏む)のが早すぎると思います。もう一歩中に入れば、キックアウトの効果も出ると思います」。
そうした技術的な注文をしたうえで、メンタル的なことへのアプローチも忘れません。
「プレイがうまくいかなかったときに『なぜ今のプレイはうまくいかなかったんだろう?』と、常に考える癖をつけてほしい。先ほどのメッセージを例にすれば、ドライブに行って、それがうまくいかなかったときに『もう一歩中に入るべきだったのかな?』と考えてほしい。そのときに『そういえばU14のキャンプで、萩原さんがそんなことを言っていたな』でもいいんです。常に考えながら練習をする癖をつけてほしいです」。
充実した全4回のU14ナショナル育成キャンプは、さまざまな課題も残して終わりました。それらの課題を選手たちが今後どう克服し、成長していくのか。U14ナショナル育成キャンプはこれからにつながる「きっかけ」のキャンプでもあるのです。
■平成29年度U14ナショナル育成キャンプ 第4回キャンプ 主な実施プログラム
■1日目 11月17日(金) 午後
【男子】
・クリニックⅠ
・トレーニング
・講義
【女子】
・クリニックⅠ
・講義
【共通】
・栄養講習会
■2日目 11月18日(土) 午前
【男子】
・朝練習(スキルトレーニング)
・クリニックⅡ
【女子】
・朝練習(シューティング)
・クリニックⅡ
・トレーニング
■2日目 11月18日(土) 午後
【男子】
・クリニックⅢ
・トレーニング
・講義
【女子】
・クリニックⅢ
・講義
■3日目 11月19日(日) 午前
【男子】
・朝練習(スキルトレーニング)
・クリニックⅣ
【女子】
・朝練習(シューティング)
・クリニックⅣ
・トレーニング
※活動の様子はフォトギャラリーにてご覧ください。