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平成29年度U15ナショナル育成キャンプ 第3回キャンプ 開催報告

2017年11月30日

トーステン・ロイブルコーチのバスケットボールをよく知る佐藤 光壱コーチが細かな指導を施す

練習の前後には佐藤 晃一パフォーマンスコーチがフィジカル面でのトレーニングを行う

 11月10日(金)~12日(日)の3日間、味の素ナショナルトレーニングセンターにおいて、平成29年度U15ナショナル育成キャンプの第3回キャンプを開催しました。

 今回のキャンプでは、男子が佐藤 光壱コーチ、女子が萩原 美樹子コーチがメイン指導しました。佐藤コーチは男子U19日本代表チームのアシスタントコーチでもあり、萩原コーチは前回のキャンプ中に「FIBA U16女子Asian選手権大会2017」に参加していた、ともに現在の世界基準を知るコーチたちです。キャンプ初日には山本 明ユース育成部会部会長が3つの大切なことを選手たちに伝え、その中の一つとして、世界基準を知るコーチについても触れていました。その上でキャンプに取り組むよう、選手たちに促していたのです。

 男子はコーディネーションドリルから、プレッシャーディフェンスに対するパスの受け方、ピック&ダイブといった、個人のファンダメンタルからチームファンダメンタルへといった流れでキャンプ進められていきました。佐藤コーチは「今年度のU15をメインで指導されている、トーステン・ロイブルコーチの意図するバスケットボールを遂行することだけに専念しました」と言います。その言葉通り、ロイブルコーチと同じように細かな動きまでチェックし、大切な動きを何度も繰り返し指導していました。

 昨年度のジュニアユースアカデミーキャンプも指導したことのある佐藤コーチ。今年度のU15ナショナル育成キャンプに参加した選手たちを見て、「昨年同様に一生懸命にキャンプに取り組んでくれましたし、ファンダメンタルのスキルが非常に高い」と良い意味で驚いていました。
 2日目からはディフェンスからファストブレイクに入り、そのままモーションオフェンスへと続く一連の流れを練習し、ポップアウトからフレアスクリーンを使った、スペースをより広く使うモーションオフェンスなどにも取り組みました。佐藤コーチは「もっと難しいことを次々に行い、強度を高めてもできることができれば、良い選手になれると信じています」と、U15ナショナル育成キャンプに参加した選手たちの将来に期待を示していました。

 喜多 陸登選手(三重県・伊勢市立港中学校 3年)は「U15ではピック&ダイブを使ったプレイが多く、そこでの選択肢を学べています。またポイントガードとして、3Pシュートを覚えなければいけないといった課題も見つかっています。それでもレベルの高いメンバーと一緒に練習をすることで少しずつ手ごたえも得ていますし、毎日吸収することがあるので、次回までに何をするべきかを考えながら、日々の練習にも役立てています」と感想を述べます。

 また、男子のU15ナショナル育成キャンプの第2回・第3回キャンプは20名で行いましたが、そのうち1名だけ中学2年生の選手、山崎 紀人選手(宮城県・東北学院中学校 2年)が参加しています。顧問の先生に、せっかくやるのであれば一つ上の学年が多いU15に挑戦してみてはと促され、トライアウトを受け、キャンプの参加を勝ち取っています。
「一つ上の上手い人たちと一緒に練習ができて、他の中学2年生とは異なる経験ができて、毎回ワクワクするし、すごく身になっています。キャンプではコート内で声を出すことの大切さや、人がやっていなことに気付いて、自分が先に動くと言ったことを学べています」と言います。
 その上で「来年度もU15のキャンプに参加することができれば、今年度の経験を生かして、リーダーシップを取っていきたいです」と、新たな意欲も見せていました。

 一方の女子は、先週行われたU14ナショナル育成キャンプと同様、現在の世界基準に照らし合わせてフィジカルコンタクトの重要性やリバウンドの徹底強化、オフボールでのスクリーンプレイまでを取り組んでいました。
「最終回までにはオンボールスクリーンを使った5対5まで進めていきたい」と計画を語る萩原コーチ。「U14ではそこまで行くのは難しいかなと考えています。その点でU15のほうが少し設定高くしていますが、現時点で言えば、まだまだこちらが求めているファンダメンタルができていないというのが率直なところです」

 設定を高くしている分、評価も厳しくなります。例えば、クローズアウトをしてきたディフェンスの左右どちらを抜くべきかといった判断がうまくできていないというのです。
「ただそれは年齢によるものというより、普段から見て判断する“認知判断”の練習をあまりしていないのではないかと思います。もう少し言われたことを念頭において、次に練習するときは意識してやってほしい」と注文をつけていました。
 それでも萩原コーチはU15の意欲を信じ、原則的には後戻りをせず、高い設定を保って練習を進めたいと言います。厳しい注文をつけながらも、選手たちのなかにそのポテンシャルを見つけているからこそ、そう言えるのでしょう。

 萩原コーチとともに「FIBA U16女子Asian選手権大会2017」に出場した江村 優有選手(長崎県・佐世保市立広田中学校 3年)は、同大会で「国際大会では当たり負けをしてしまうので、そこを改善しなければいけないと感じました。またスピードやタイミングでずれをつくることで相手を抜けるのだと感じることができました」と振り返ります。
 その上で、大会出場のために今回が初めての参加となったU15ナショナル育成キャンプについて、「U16日本代表チームでの経験がキャンプでの練習の取り組み方に生きています」と言います。自分で足りないものを感じられたからこそ、世界で戦うために今何をしなければいけないかを自ら考え、練習にそれを生かしたわけです。「今回のキャンプでは合わせに飛び込むタイミングや位置などを学ぶことができました」。

 また、今回の女子U15ナショナル育成キャンプには180cmを超える選手が2人おり、そのうちの一人、増田 悦実選手(埼玉県・川越市立富士見中学校 3年)は中学からバスケットボールを始めた選手です。しかしながら「全国の上手い選手たちと一緒に練習ができて、いい経験ができています」と実感します。経験の浅い選手ですが、ドライブからの合わせのパスでは絶妙なワンハンドバウンズパスを出すなど、自分の持てる力を存分に発揮しようとしています。
「あのパスは小学校までドッジボールをしていたので、片手で出すことができるから出せたものです。今はまだ相手とのコンタクトを怖れているところがあり、またシュートを決めきるところまでできていないので、それを課題に取り組んでいます」と、増田選手はそう自己分析をしながら、「ここで教わっていることはほとんどが初めて知ることばかり。自チームも決して強くなく、細かく教わったことがないので、すべてにおいて“なるほど”と感じることばかりです」と言います。
 ミニバスケットボールから始めた選手に比べると経験は浅いですが、キャンプに意欲的に取り組むことで急激にさまざまなことを吸収しているようです。

 江村選手だけでなく、男子の田中 力選手(神奈川県・横須賀市立坂本中学校 3年)のように、男子日本代表候補選手に選ばれる選手がいる一方、増田選手のように中学からバスケットボールを始めた選手もいるU15ナショナル育成キャンプ。最終回となる次回のキャンプに参加できるのは、男女各15名程度。つまり今回のキャンプは選抜キャンプでもあったわけです。

 キャンプ初日に、山本ユース育成部会長が伝えた3つの大切なことの残り2つ、そうしたセレクション(選考)へのプレッシャーにどう対処するかと、どんな経験のある選手であっても、中学生の時点でしっかりとファンダメンタルを積み重ねていくこと、そして冒頭に挙げた世界基準を知るコーチに教わる感謝を持ちながら、U15ナショナル育成キャンプの第3回キャンプを終えました。

 
■平成29年度U15ナショナル育成キャンプ 第3回キャンプ 主な実施プログラム

■1日目 11月11日(金) 午後
【男子】
・クリニックⅠ
・スクリメージ

【女子】
・クリニックⅠ
・トレーニング
・講義

■2日目 11月11日(土) 午前
【男子】
・朝練習(スキルトレーニング)
・クリニックⅡ

【女子】
・朝練習(シューティング)
・クリニックⅡ

■2日目 11月11日(土) 午後
【男子】
・クリニックⅢ
・トレーニング

【女子】
・クリニックⅢ
・トレーニング
・講義

■2日目 11月12日(日) 午後
【男子】
・朝練習(スキルトレーニング)
・クリニックⅣ
・トレーニング

【女子】
・朝練習(シューティング)
・クリニックⅣ

 
※活動の様子はフォトギャラリーにてご覧ください。