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平成29年度U15ナショナル育成キャンプ 第1回キャンプ 開催報告
2017年10月12日
アウトナンバー攻略など速い展開のバスケットのなかで力を出し切る選手たち
部活動を引退した選手が大半の為、個人的なファンダメンタルなどを実施
9月29日(金)~10月1日(日)の3日間、味の素ナショナルトレーニングセンターにおいて、平成29年度U15ナショナル育成キャンプの第1回キャンプを開催しました。
今年度の15歳以下の選手のうち、数名がいわゆる「飛び級」でU16日本代表選手として「FIBA U16 Asian選手権大会2017」に出場します。しかしほとんどの選手は直近に国際大会がなく、メインの対象となるのは3年後の「FIBA U18 Asian選手権大会2019」になります。
男子のメインコーチであるトーステン・ロイブルコーチは、今年度のU15ナショナル育成キャンプについて、「直近に国際大会がないため、日本代表チームのようにコンセプトを教え込みすぎる必要はありません。15歳で身につけておくべき個人的なファンダメンタルに集中できて、正しいスタンダードをセットするキャンプにする予定です」と言います。
それは女子も同じで、萩原 美樹子コーチは、「原則として、U15のキャンプはU14と同じコンセプトで考えています」と言います。すなわちドライブによるペイントエリア内へのアタックや相手へのフィジカルコンタクト、リバウンドの徹底などです。
選手たちの多くは部活動を引退し、普段あまり練習ができていない選手もいるため、第1回キャンプではそれらを配慮したメニューなども取り入れられていました。
今回のU15ナショナル育成キャンプの参加選手のうち、昨年度のU14ナショナル育成キャンプにも参加した選手は、男子が9名、女子が15名います。萩原コーチは、「そこはすごく興味深いところでした。昨年度から格段によくなっている選手もいれば、一方で足踏みをしている選手も見受けられました。それを見られることに、1年ごとに行う意味があると感じたところです」と言います。
その一人、女子の大﨑 万菜選手(高知県・高知県立高知南中学校 3年)は、「昨年度教わった、ディフェンスでミドルサイドを止めることは、あれから1年間かけて意識してきました。そこは今回のキャンプでも成果として出せたと思います」と手ごたえを感じています。
また、男子の越田 大翔選手(北海道・北見市立北中学校 3年)も、昨年に続いてナショナル育成キャンプに参加した1人。「昨年一緒にやっていた選手たちのフィジカルやディフェンスの質が変わっていて、ビックリしました。ただ僕も3Pシュートやドライブの練習を積んできましたし、このキャンプに参加する以上、しっかりとした準備が必要になります。個人的には決して得意ではないコミュニケーションを取ることも、今回のキャンプでは心がけてみました」と、この1年間を振り返っります。
むろん、初選出の選手たちも懸命に自分の良さを出そうと練習に励んでいました。男子の河合 海輝選手(愛知県・岡崎市立城北中校 3年)は、中学からバスケットボールを始めた選手で、「まだみんなとのレベルには達していません」と言います。それでも指示されたことを忠実に行いながら、プレイの幅を広げていきました。
「楽しくプレイできましたが、課題もたくさん見つかりました。やはりまだまだドライブができないことと、高さを生かしたリバウンドでもボールに届きながら手につかないことなどがあったので、それはこれから練習して、しっかりと改善してきたいと思います」
女子でも、今回のキャンプを通じて、さまざまなことに気付いた選手がいました。松山 玲奈選手(新潟県・新潟県立村上中等教育学校 3年)です。
「国内の試合だとどうしてもドライブをしたときに相手を避けてしまうのですが、ここでは2歩目を大事にして、しっかりとコンタクトをすることの大切さを学びました。また左・右のストップはできるのですが、右・左のストップが苦手で、つい無駄足を踏んでしまいます。それがよくないことだと改めて感じることができました」
年代別のナショナル育成キャンプは初めての参加ですが、松山選手はしっかりと自分の考えを口にします。「もし2回目に選ばれれば、速い展開をするチームがどんなときにゆっくり仕掛けるべきなのかとか、個人的には左手のパス技術がないので、思いきり投げられる体の使い方を聞いてみたいです」
松山選手の言葉にもあるように、今年度のナショナル育成キャンプは「日本代表チームへの価値を上げる」意味でも、育成キャンプのなかにセレクション(選考)を設けています。第1回キャンプは男女ともに27名が選ばれていますが、そこから第2回キャンプに進められるのは20名程度です。
セレクションのポイントを女子の萩原コーチは、「『たとえ今回落とされても、次の年代で選ばれることはある。みんなに平等にチャンスはある』と伝えたうえで、今回は少しサイズを重視しました。また私たちは国際大会で戦える人材を育てる必要があるので、接触への強さなど、こちらが国際大会仕様で求めた練習に対して、どれくらいできたかを見ました」と言います。この年代はすぐに国際大会がないため、今の実力よりも先々のことを考えて、キャンプのセレクションをしたわけです。
それは男子も同じだとロイブルコーチは言います。
「今のパフォーマンスレベルよりも、将来性を重視しました。加えて練習への取り組み方が技術よりも上にきている子も選ぶようにしました。そこには『どうしても次回のキャンプに残りたいんだ』という姿勢が見られなければいけません。つまりは日本代表チームへの情熱です。日本代表チームになれば、それほど長い時間練習ができるわけではありません。簡単な指示をすぐに実践できるかどうか。短い期間のキャンプですぐに実践できる選手が日本代表チームには必要なのです」
そのうえでロイブルコーチはこう続けます。
「さらにいえば、特別な才能を見受けられた選手も選びました。いろんなことを平均的にやれるのではなく、何か一つでも武器をもった選手です。今回のキャンプでもシュートタッチの良いシュータータイプがいましたし、シュートが上手でなくても強いスラッシャーは簡単に止められません。リーダーシップを取れる子はコート上でコーチになれますし、パスの強い選手はパッシングゲームで武器になります。そういう選手が何人かいました」
単にファンダメンタルの技術の伝達をするだけでなく、競争の中で彼らの持っている能力をより多く引き出しそうとするU15ナショナル育成キャンプ。第2回キャンプは、10月20日(金)~22日(日)に開催します。
■平成29年度U15ナショナル育成キャンプ 第1回キャンプ 主な実施プログラム
■1日目 9月29日(金) 午後
【共通】
・栄養講習会
【男子】
・講義
・トレーニング
・クリニックⅠ
・スクリメージ
【女子】
・クリニックⅠ
・トレーニング
・講義
■2日目 9月30日(土) 午前
【男子】
・朝練習(スキルトレーニング)
・クリニックⅡ
【女子】
・朝練習(シューティング)
・クリニックⅡ
■2日目 9月30日(土) 午後
【男子】
・クリニックⅢ
・トレーニング
・講義
【女子】
・クリニックⅢ
・トレーニング
・講義
■3日目 10月1日(日) 午前
【男子】
・朝練習(スキルトレーニング)
・クリニックⅣ
・トレーニング
【女子】
・朝練習(シューティング)
・クリニックⅤ
※活動の様子はフォトギャラリーにてご覧ください。