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平成28年度U-13ナショナルジュニアユース育成キャンプ 第3回キャンプ開催報告

2016年11月15日

攻守ともにチーム戦術のファンダメンタルの指導となった第3回キャンプ

サイズの小さい日本が世界で戦うための技術を学ぶ(写真は:ボックスアウト)

 11月4日(金)~6日(日)の3日間、味の素ナショナルトレーニングセンターにおいて、平成28年度U-13ナショナルジュニアユース育成キャンプの第3回キャンプを開催しました。

 全4回のキャンプを「起承転結」のストーリー仕立てで構成している本キャンプの第3回は「転」。
 これまでの2回のキャンプは、個人スキルを中心に行なってきましたが、今回は「今、U-14ナショナルジュニアユース育成キャンプで練習しているチーム戦術のファンダメンタルを、そのまま紹介しました」と鈴木 良和コーチは言います。
「その狙いは、戦術の全体像を示したうえで、『教わってきた個人スキルがチーム戦術の中のどういうところで生かされるのか』、『このようなチーム戦術の中では、こういった個人スキルをもっと磨かなければいけないのか』と自覚を促すことが一つ。もう一つは、チーム戦術の練習をしていく中で、いかに『ムーンウォークのクマ』を見つけられるか、でした」

 「ムーンウォークのクマ」とは、鈴木コーチが指導するU-12、U-13のキャンプの中でよく使われるキーワードで、第1回キャンプで選手たちに見せた映像によるものです。
 その映像では、「これから選手たちがパスをします。全部で何回パスをしたでしょうか?」と質問がなされます。映像を見る選手たちはパスが何回されたかを一生懸命数えながら、じっと見入りますが、実はその映像のなかにムーンウォークをしているクマが横切ります。それを見つけられるかどうか。これはつまり、コーチが「この練習ではこれを意識してやりなさい」と指示すると、選手たちはそこにばかり意識を向けすぎて、それ以外のことが見えなくなることと同じです。そうではなく、その練習以前に教わったことなども意識しながら、今、すべき練習に取り組めるかどうかが、よりよい選手になるためには重要となります。

 例えば、リバウンドの練習をしているとき、そこから逆サイドへの速攻に移行しますが、その逆サイドで前日に教わったスクリーンプレイなどを、コーチに言われなくても実践できるかどうか、という意味です。
「これまでのキャンプでは、あえて『ムーンウォークのクマ』を見つけやすい練習をしたり、練習の途中で復習タイムを設けて、覚えているかどうかの確認をしたりしていました。しかし今回はあえてそうしませんでした。特にチーム戦術の練習のときは、選手は言われたことを実践するので精一杯で、『ムーンウォークのクマ』を探すことをしなくなりがちです。それでも『ムーンウォークのクマ』、つまりプラスアルファのポイントを自分で見つけて、練習に出させるようにしたのです(鈴木コーチ)」
 その一点だけを見ても、第3回キャンプは「転」であり、キャンプそのもののレベルを1段階引き上げたといえます。

 また、チーム戦術の練習となれば、これまで以上に状況の認知・判断が求められます。スペースを埋めるタイミング、ボールサイドのスクリーンプレイに対するヘルプサイドのスクリーンなどです。
「所属するチームでさまざまな戦術があると思いますが、今後、彼らに待ち受けているセレクション等で、『今回はこの基準で選ぶよ』と言われたときに、その基準に合わせた認知・判断ができなければ、本当の意味で認知・判断ができているとは言えません。U-14のキャンプを指導しているトーステン・ロイブルコーチのチーム戦術は、とてもシンプルな基準になるので、今回はそれをそのまま採用しました(鈴木コーチ)」

 そのうえで、鈴木コーチは「選手たちは比較的、飲み込みが早かったと思います。なかには瞬間的に混乱してしまう選手もいましたが、1年前まで小学生だったと考えると、全体的にはよい認知・判断でスペーシング、スクリーンと、逆サイドのフレアスクリーンも上手にできていました」と選手たちの成長を認めていました。

 小学6年生からバスケットを始めた畑島 大翔選手(熊本県・天草市立本渡中学校 1年)は、「みんなについていくのが精一杯」と言いながらも、「毎回、このキャンプの前日は、緊張とワクワク感で寝るのが遅くなってしまいます」と、キャンプを楽しみにしています。練習では、所属するチームでやっているドリルもあれば、初めてのドリルもありますが「みんなでプレイを成功させる達成感や、個人技術が成功したときの達成感はあります。ここでは自分で考えて行動することを学んでいます」。

 また、伊波 美空選手(沖縄県・うるま市立石川中学校 1年)は、今回のキャンプを振り返って「フォーメーション(チーム戦術)を一度にいろんなことを教わって、難しかったけど、みんなで声を出し合ってできたからよかったです」と、一緒にキャンプを行うメンバーと力を合わせて乗り切ったと言います。個人としては「キャンプの朝練習のシューティングで教わったことを意識して、地元に戻ってもシュート練習をしています」とのこと。それでシュート力が劇的に上昇したかといえば、伊波選手も「まだまだです」と認めます。

 しかし、鈴木コーチはそれでいいと考えています。
 大切なのはそれをいかに継続し、またその姿勢を周りに伝えることができるかです。そこにこそ、鈴木コーチが選手たちに伝えたい最大のメッセージがありました。

 最終日の最後に、鈴木コーチは選手たちに言いました。
「2泊3日のキャンプで教わった技術はすぐにはできません。すぐにできるほど、バスケットボールはそんな簡単なスポーツではないからです。4対4や5対5のなかでも、すぐにできないこともあります。でも、だからといって、教わったことをやろうとしなかったり、全力で取り組まないのはダメです。このキャンプではやらないけど、普段の部活動ではやっています、なんてこともありえません。やるべきことをやろうという意志を見せなかったり、ベストを尽くさないといった悪い習慣はここで断ち切ってください。そしてこのキャンプに選ばれたみなさんは、それぞれのチームでリーダーとなって、すべての練習で全力を出し切りましょう。その姿勢をチームメイトに見せる必要があります。それこそが『JBA』と書かれたTシャツやビブスを身に着けている意味です。これらのウェアは、みんなが『自分は全国のキャンプに選ばれたんだ』と自慢するためのものではありません。リーダーとして、いい習慣を身につけましょう」

 メッセージに富んだ第3回キャンプ。プレワークアウト(ウォーミングアップ)などを担当する佐藤 晃一パフォーマンスコーチからは、ディフェンスのスライドステップが「前足から浮かす(動かす)のではなく、後ろ足で床を蹴って進む」ことを指導しました。これについて、佐藤パフォーマンスコーチは、「前足から浮かして進むのは力学的におかしいんです。前足を浮かすと進みたい方向とは逆側に重心が移り、素早く動けないからです」。
 実際にチューブを使ったワークアウトも、それを体で理解させるためのものだと言います。そのうえで、佐藤パフォーマンスコーチは選手たちに「新しいことを教わったら、とりあえずやってみよう。みんなは周りを見たり、考えたり、躊躇しすぎ。すぐに100%上手くできる人なんていないのだから、まずはやってみて、失敗しながら、上手くなろう」と試行錯誤を勧めていました。

 選手たちが上達するための言葉がコート上に飛び交っていた今回のキャンプ。最終回となる第4回キャンプは、12月9日(金)~11日(日)の3日間で行われます。

 
■平成28年度U-13ナショナルジュニアユース育成キャンプ
 第3回キャンプ 主な実施プログラム

■1日目 11月4日(金) 午後
・プレワークアウト
・クリニックⅠ:コーディネーションとシュート技術

■2日目 11月5日(土) 午前
・朝練習(シューティングドリル)
・プレワークアウト
・クリニックⅡ:認知・判断とパスのファンダメンタルズ
・レフェリー講義

■2日目 11月5日(土) 午後
・プレワークアウト
・クリニックⅢ:1on1とドリブルのファンダメンタルズ
・講義

■3日目 11月6日(日) 午前
・朝練習(シューティングドリル)
・プレワークアウト
・クリニックⅣ:ディフェンスファンダメンタルズ

※活動の様子はフォトギャラリーにてご覧ください。