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平成28年度U-12ナショナルジュニア育成キャンプ 第2回キャンプ開催報告
2016年10月25日
鈴木 良和コーチが繰り出す様々なメニューに真剣に取り組んだ選手たち
ときに競争意識をかきたてながら、最後まで諦めない姿勢も学んだ
10月15日(土)~16日(日)の2日間、味の素ナショナルトレーニングセンターにおいて、平成28年度U-12ナショナルジュニア育成キャンプの第2回キャンプを開催しました。
今年度から始まったU-12ナショナルジュニア育成キャンプは全2回のため、今回が最終回。北は北海道から、南は高知県まで、男女各20名が参加した第2回キャンプは、前回のキャンプで行なったファンダメンタルドリルの「深さを追求した」ものとなりました。
その意図を鈴木 良和コーチはこう言います。
「選手たちへのメッセージとして、一つのメニューでも意識を深めていけば、中身も変わるんだぞ、ということに気づいてもらいたいと思いました。普段の練習でもコーチに言われたことをするだけではなく、もっとうまくなるポイントはないか、たとえばよい姿勢にこだわったり、設定を変えたり、またパートナーが負荷をかけるなど、一つのメニューでも、それをよりよいものにしていく視点を持たせたかったのです」
ドリルそのものは大きく変化させずに、前回伝えられなかったポイント――姿勢や新たなスキルをアクセント程度に加えて、さらに内容の濃いものにしていく。選手たちも前回教わったポイント、「なぜ、どのようにやるのか?」を思い出しながら、懸命に取り組んでいました。
全2回のキャンプを終えて、鈴木コーチは「所属するチームでは、自分の持っている能力――スピードや身体能力、スキルで相手に勝つことができます。しかし、このキャンプでは普段要求されないことを要求する場所づくりという意味で、非常に意味のあるキャンプです。レベルの高い者同士が競い合い、普段意識しないところまで意識させられるか。バスケットボールは自分の持っている能力だけでやればいいのではなく、駆け引きや戦略的に賢くやらなければいけません。その中でフィジカル、スキル、判断力、メンタルなど、あらゆることがベストに近づかなければ、将来世界とは戦えないのです」と言います。
アドバイザーとして参加したトーステン・ロイブルコーチも「U-12カテゴリーは非常に重要なカテゴリーです」と言います。
「今回行なったドリルは、どれもU-12の年代で必要不可欠なドリルです。そのうえでテクニックを教えすぎず、ラーニングエイジのカリキュラムに沿って進めていくことは、次のステップに進むときにとても重要になります。各チームのエースが集まり、『こんなドリルは簡単だよ』と思うかもしれませんが、そこに新しい要素を取り入れることで、簡単だと思っていたことにも選手たちは興味深く取り組んでいました」
キャンプを通じて、世界基準のファンダメンタルを知り、チームに戻ってもそれを継続することで、中学年代以降、日本のコンセプトを伝えていき、プレイを確立していく。そうすることで日本代表の強化にもつながっていくのです。
「小学生の時点でどんなことを教えておくと、中学でよいプレイヤーが生まれるのかという視点で、研修コーチに応募しました」と言うのは、北海道・札幌市立清田中学校の山崎 由紀子さんです。中学ではミニバスを経験している選手もいれば、そうでない選手も部活動に入部します。バスケットボール未経験の選手たちに、いかにアプローチをするべきか。また経験している選手であっても、(プレイが)できていないことのある選手へのアプローチの仕方を探しにきたそうです。
実際にキャンプを見た山崎さんは、「鈴木コーチの本やDVDなどは見たことはありますが、実際に動いている指導を見ると、自分の知らないことや、本などでは気づかないものがたくさんありました。この年代で、ここまで教えておいた方がいいのかというものもありました」といくつもの発見をして、帰路につきました。
選手たちもさまざまな発見、気づきを持つことができたと言います。
男子の小村 琉羅選手(愛媛県・明倫KIDSミニバスケットボールクラブ・小学6年)は、「いつもより高いレベルで、みんなで切磋琢磨して、レベルを上げる練習ができたと思います。僕はドリブルが得意なのですが、それでも相手に止められたときにレッグスルーで切り返して、次のプレイを考えることなどが勉強になりました」と言います。
女子の呼子 真洸選手(栃木県・宝木ミニバスケットボールスポーツ少年団・小学6年)は、「みんな上手で、自分のチームとは盛り上がり方が違いました。将来はオリンピックに出場して、誰にも負けない選手になりたいです。アウトサイドでは吉田 亜沙美選手、ゴール下では渡嘉敷 来夢選手(ともにJX-ENEOSサンフラワーズ)のようになりたい」と夢を語ってくれました。
1日目の最後に、鈴木コーチの講義で「夢を持つこと」の重要性が語られたことが、選手たちのなかには響いたようです。
最後に、鈴木コーチは全国のU-12カテゴリーの選手にこんなメッセージを残してくれました。
「私は『努力は夢中に勝てない』という言葉を信じています。どれだけ『バスケットが好きだ』というエネルギーを強められるかが大切です。周りから『もっと練習しろよ』と言われるのではなく、『そろそろ練習やめたら?』と言われるくらい、バスケットに夢中になってください。それくらいバスケットに夢中になれば、コーチの指導のなかから、いろんなことを学べるはずです。バスケットっておもしろい、楽しい、好きだという気持ちを大切にしてください」
初の試みとなった平成28年度U-12ナショナルジュニア育成キャンプは、選手たちの「バスケットボールが好きだ」という気持ちを存分に表しながら、全2回のキャンプを終了しました。
■平成28年度U-12ナショナルジュニア育成キャンプ
第2回キャンプ 主な実施プログラム
■1日目 10月15日(土) 午後
・形態測定
・クリニックⅠ:コーディネーションとドリブルファンダメンタルズ
・講義
・レフェリー講話
■2日目 10月16日(日) 午前
・朝練習(シューティング&コーディネーションセッション)
・クリニックⅡ:認知・判断とパスのファンダメンタルズ
※活動の様子はフォトギャラリーにてご覧ください。