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平成27年度U-14女子トップエンデバー 開催報告

2015年11月16日

新たなステージでバスケットボールを楽しむ選手たち

今年度のU-14女子トップエンデバーには29名の選手が参加

 11月6日(金)~8日(日)までの3日間、味の素ナショナルトレーニングセンターにて「平成27年度U-14女子トップエンデバー」が行われました。
 初日は、女子日本代表チームの内海 知秀ヘッドコーチがシュートや2対2のクリニックを行い、2日目には神経系の発達を促すコーディネーショントレーニングや強いパスの出し方、ドリブルの突き出し方といったバスケットボールスキルのファンダメンタルを練習しました。

 そうした基礎・基本の中でも、今年度のU-14女子トップエンデバーで特に強調されたキーワードが「球際(たまぎわ)」です。リバウンドやルーズボールはもちろん、相手とのポジション争いのなかでしっかりとパスをキャッチするなど、実際の試合のなかで起こりうる場面を想定し、そこでボールをなくさない技術が重要になると、全体指導を取り仕切る鷲野鋭久コーチングスタッフは言います。
「(10月に行われた)U-15女子トップエンデバーのときも、球際でのボールハンドリングがしっかりできてない選手がいましたので、1つ年代を下げたU-14でも取り入れました。選手たちが『できている』、もしくは『知っている』と思っているスキルが、実際にはできていないことが多々あります。すると、どうしても形だけのスキルになってしまい、対人の状況で『できている』、『知っている』はずのファンダメンタルの使い方が疎かになっているのです。それが油断になると考え、もう一度原点に戻ることにしました」

 実際に講習を受けた選手のうち、唯一1年生として参加した倉持 のりか選手(埼玉・春日部市立豊野中学校 1年)は、「自分より高いレベルの選手たちと一緒に練習ができたことは刺激になったし、いい経験ができました。周りはみんな2年生ということで不安や戸惑いもあったけど、そこで自分のプレイをしないと、これから先、私はプロを目指しているので、そこでも思い切りプレイができなくなると思って、頑張ってプレイしました」と言います。
 練習のドリルは全てが目新しいものばかりではありませんが、全国から選ばれたさまざまな選手たちと一緒に練習を行うことで、自分に足りないところなどを気づくこともあるのです。

 一方で、大舘 真央選手(石川・小松市立芦城中学校 2年)は「全然やったことのない練習が多くて、どうすればいいのかわかりませんでした。でも、できている選手を見てわかったところもあって良かったです」と言います。
 これは周りの選手たちに引っ張られて、新しいドリルを知ることのできる良さが出る一方で、伝達されているはずのスキルやドリルが、まだまだ浸透していなかったとも言えます。

 鷲野コーチングスタッフは、そうした状況について「選手の責任ではなく、指導者の責任」と、反省も踏まえて言います。U-14トップエンデバーが、U-15女子トップエンデバーと異なる点として、後者が主に選手への意識を高める合宿であるのに対して、前者は指導者の意識を高め、全国9つの地方ブロックにスキルと指導方法を広めていくことを主眼としているからです。
「経験や知識の豊富な指導者のいるチームの選手は、こちらの求めるファンダメンタルがしっかりできています。それを各ブロックから推薦されて、この合宿に参加したコーチにわかってもらうことが、U-14女子トップエンデバーの一番の目的です。もちろんコーチの方々にとっては、どれも知っているドリルばかりだと思います。しかし本当に大切なことは、そのドリルの中でどこがポイントになるかです。それを十分に理解し、ポイントを選手たちにしっかり伝えることが、日本全体のボトムアップにつながっていくものだと考えています」

 東北ブロックから推薦され、昨年に続き、2度目の合宿参加となった辻嶋 祐介コーチ(秋田・大仙市立大曲中学校)はこう言います。
「昨年もU-14女子トップエンデバーでも『1対1の球際を強くすること』の大切さが勉強になりましたが、今年度はさらに新しいドリルも加わって、また勉強になりました。1月に東北ブロックエンデバーが行われますので、そこでしっかりと伝えていきたいです」

 スキルやドリルの方法もさることながら、ポイントをしっかりと伝えていくことで選手たちは、その可能性をさらに広げていくことができます。
 「世界で通用するようなポストプレイヤーになりたい(大舘選手)」、「同じ春日部出身の渡嘉敷 来夢選手(JX-ENEOSサンフラワーズ)のように、自分だけじゃなく、周りも生かせる選手になりたい(倉持選手)」といった選手たちの夢の実現に向けて、指導者もよりよい指導体制を築き上げるべく、今年度のU-14女子トップエンデバーを充実した3日間にしていました。

■平成27年度U-14女子トップエンデバー 主な実施プログラム

■1日目 11月6日(金) 午後
・形態測定
・クリニックⅠ
・クリニックⅡ
・フィジカル測定
・栄養指導(講義・食事指導)<管理栄養士・小林唯氏>
・女子日本代表内海HCによる講話

■2日目 11月7日(土) 午前
・クリニックⅢ(コーディネーショントレーニング)
・クリニックⅣ

■2日目 11月7日(土) 午後
・レフェリーレクチャー<国際審判・小坂井郁子氏>
・クリニックⅤ
・フィジカル測定フィードバック

■3日目 11月8日(日) 午前
・クリニックⅥ(スクリメージ)