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平成26年度U-14男子トップエンデバー開催報告

2014年10月6日

巧緻性向上のための手押し相撲を笑顔で見守る小池 一元コーチングスタッフ(左)

平成26年度U-14男子トップエンデバー参加者


 9月26日(金)~28日(日)の期間、味の素ナショナルトレーニングセンターにて、平成26年度U-14男子トップエンデバーが開催されました。

 今回のトップエンデバーについて、小池 一元コーチングスタッフは「選手は声をよく出し、元気に頑張ってくれました。ただ、基本の習得という点では、当然ながらまだまだ未熟。引き続き、それらに取り組んでいくことが必要です」と総括しました。さらに、「U-14世代ではまず、いまやるべきことを明確化することが重要で、私たちはそのテーマについてチャレンジすること、目標に向かって努力することを楽しめる環境づくりが大切なのでは」と続けて語ってくれました。

 トップエンデバーの指導の中心となったトーステン・ロイブルスポーツディレクターも同様の考え方で、「この世代は、いわゆるゴールデンエイジに続くラーニングエイジ。戦術・戦略的な指導に偏らず、基本スキルの習得やコーディネーション能力、心肺機能の向上などに力を注ぐべき」だと言います。
「世界の国々ではラーニングエイジに、戦術や戦略を授けるのではなく、例えばピック&ロールならピックプレイヤーの立ち方、ユーザーのカットの仕方、その守り方などを、細部にわたって徹底的に突き詰めて指導します。日本でもそんなステップ・バイ・ステップの指導が浸透すれば、カテゴリーごとに世界と勝負できる、高いレベルのスキルを積み重ねていくことができるはずです」

 そこで、今回のトップエンデバーでは従来以上に身体能力や運動能力に目を向け、将来的な可能性を重視した選出が行われました。それが奏功してか、「3日間の短い期間ながら、その間での成長度ではこれまで見てきたなかで今回が、カテゴリーを問わず一番」と、ロイブルコーチも驚きの表情を見せていました。

 その一人が、中学生になってからバスケットボールを始めた、キャリア1年のルーサー オースティン央人選手(長崎・佐世保市立福石中学校 2年)です。「自分はまだ経験が浅く、わからないこともたくさんあったけれど、とても勉強になりました。それらをしっかりと身につけて、もっとうまくなりたい」。きらりと光る原石が成長を誓った瞬間だと言えるでしょう。

 ドリル面では、今年は「ビジョン」、つまり「見て判断する」という点に加えて、その判断を仲間と共有するための「コミュニケーション」が大きなテーマでした。これは、エンデバー委員会が主導して行った中学カテゴリー指導者への聞き取りと、トーステン・ロイブルコーチとの数回に渡る議論の末に導き出したテーマで、日本における中学世代の問題点を国際レベルへ引き上げるための試みです。

 「声を出して仲間やコーチとコミュニケートすることは誰にでもできるはずですし、バスケットボールには絶対的に必要なスキルです。できないなら、できるようになるまで若い世代から訓練するしかありません」。
 自ら率先して選手と大きな声をかけあうロイブルコーチ。それに呼応して大きな声を出しながら、目を光らせて真剣にプレイし、また仲間のプレイを見て学ぼうとする選手たちの姿も印象的でした。

 小池コーチングスタッフは言います。「エンデバーの意義は直接的な選手育成だけでなく、そのコンセプトを各ブロックから参加するブロック推薦コーチを通じて全国に周知する点にもあり、私たちもロイブルコーチと繰り返し話し合いながら取り組んでいます。コミュニケーションの重要性を含め、ラーニングエイジの考え方をぜひ日本全体で共有してほしい。将来的に日本は大きく飛躍するために必要なことだと思います」

 では最後に、ムードメーカー、チームリーダー的存在としていつも選手の輪の中心にいた小玉 大智選手(東京・実践学園中学校 2年)の言葉を紹介したいと思います。
「全国の仲間とプレイできて、本当に楽しかった。いまはまだ遠い夢かもしれませんが、僕たちの世代がしっかりと成長して、将来オリンピックなどの世界の大舞台で活躍する姿を見せたいです」
 彼の言葉はそのまま、エンデバー活動自体の夢だとも言えるでしょう。