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平成26年度 U-15男子トップエンデバー開催報告

2014年9月4日

日本が世界で互角に戦うためにはディフェンスが重要だと言うトーステン・ロイブルコーチ

周りで見ているときも積極的にチームメイトを鼓舞する選手たち


 8月29日(金)~31日(日)の3日間、味の素ナショナルトレーニングセンターにて「平成26年度U-15男子トップエンデバー」を開催しました。
 今回は、8月22日(金)~25日(月)の期間、香川県高松市で行なわれた「平成26年度全国中学校体育大会 第44回全国中学校バスケットボール大会」で活躍した選手や、全国各地から推薦され選考された総勢31名が集まりました。

 第2日目の8月30日(土)には、トーステン・ロイブルスポーツディレクターによる、日本が世界で戦うためのディフェンスのファンダメンタルや、スペースを巧みに利用したモーションオフェンスなどの指導がありました。
 3日間の講習ですぐに身につくほど簡単なものではありません。しかしバスケットは習慣のスポーツですので、教わったことをいかに意識して、今後も継続していくかが大切になります。それでも選手たちは世界基準のバスケットの一端に触れただけでも、これまでにない刺激を受け取ったはずです。

 U-15男子トップエンデバーに長年携わっている小池 一元コーチングスタッフは「エンデバーとしてバスケットを普及させることもさることながら、近年はU-16カテゴリーの国際大会ができたこともあって、強化につながる育成にも力を入れています」と言います。それが、8月の「第3回FIBA U-17男子バスケットボール世界選手権大会」を通して、ロイブルコーチが日本の弱点と感じた「トランジション(攻守の速い切り替え)」「スペースを利用したモーションオフェンス」、そして「正しいディフェンス」という、今回のU-15男子トップエンデバーが3本柱にした指導方針につながったというわけです。

 練習は、ときにユーモアを交えながらも激しく、丁寧に進んでいきました。一方でここ数年のU-15男子トップエンデバーと少し異なっていたのは、選手たちから積極的に声が出ていたことです。「昨年と違うことの1つとして、練習の雰囲気を明るく盛り上げる選手が何人かいることが挙げられます。そういう選手はチーム作りをする上でとても大切な存在です。昨年のU-14男子トップエンデバーなどで合宿に呼ばれる上での心構えなどを伝えてきたのですが、それがブロックエンデバーを通して全国に伝わってきているのでしょう」と、小池コーチングスタッフもそれを認めています。

 なかでも大きな声を出し続けていた小川 俊哉選手(広島・呉市立広中央中学校 3年)はこう言います。「僕はみんなに比べるとドリブルもパスもシュートも下手で、体力もありません。だからスピードと声だけは絶対に負けないようにと思って、合宿に参加しました。全国のレベルはすごかったです。当たり負けもしたし、背の高さでも敵わない。でも背が低いからこそできることをこれからも学んでいきたいです」と、全国レベルを痛感しながらも、トップエンデバーを経験したことで、次の舞台への意識をより高めていました。

 小川選手が目標にする次の舞台とは、来年に控えている「第4回FIBA ASIAU-16男子バスケットボール選手権大会」のことです。第3回大会では3位に入った日本が、前記のとおりU-17世界選手権出場の切符を手に入れています。
 その第3回FIBA ASIA U-16選手権で活躍し、8月のFIBA U-17世界選手権でも活躍した八村 塁選手(明成高校 2年)の弟が、八村 阿蓮選手(東京・世田谷区立梅丘中学校 3年)です。「兄はいい目標です。僕も男子U-16日本代表に入って、アジア選手権に出場し、世界の舞台に立ちたいです。そのためにも今回のトップエンデバーで、中学校ではやっていないスクリーンプレイなどを教えてもらうことができて、すごくいい勉強になりました」と、目標へ向けた一歩として、今回の合宿で多くのことを学んだようです。

 誰かに言われて渋々プレイするのではなく、目標に向かって自分の内側から情熱を発する選手は、おのずと一流の選手へと成長していくものです。U-15男子トップエンデバーは「普及と育成」に目を向けながらも、選手個々が自らの情熱を表に出すための場でありたいと考えています。