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煌めく青春 南関東総体2014(インターハイ) 大会第6日目(最終日) 現地レポート -エースが味わった明と暗-

2014年8月7日

今大会を通じてリーダシップを発揮し、決勝では19得点・19リバウンドと活躍を見せた福岡大学附属大濠#13津山 尚大選手

第17回アジア競技大会 日本代表選手に選出され、チームのエース、そしてキャプテンとして更なる成長が期待される昭和学院#12赤穂 さくら選手


 「平成26年度全国高等学校総合体育大会 第67回全国高等学校バスケットボール選手権大会」は最終日。男女の決勝戦が行われ、今年度の夏の王者が決まりました。

■大会結果 男子
優 勝 福岡大学附属大濠(福岡) ※28年ぶり3回目
準優勝 明成(宮城)
第3位 桜丘(愛知)、洛南(京都)

■大会結果 女子
優 勝 桜花学園(愛知) ※3年連続20回目
準優勝 昭和学院(千葉)
第3位 大阪薫英女学院(大阪)、聖カタリナ女子(愛媛)

 男子は福岡大学附属大濠高校が28年ぶり3回目、女子は桜花学園高校が3年連続20回目の優勝となりました。しかし、敗れた宮城・明成と千葉・昭和学院も本当に最後までよく戦っていました。特に明成はインサイドのエース#8八村 塁選手と、アウトサイドのエース#6納見 悠仁選手が「第3回FIBA U-17男子バスケットボール世界選手権大会」出場のために欠きながらも、魂の籠ったプレイを見せ続けていました。福岡大学附属大濠も、同じ理由で#7牧 隼利選手を欠いていましたが、そこは3年生の#4鳥羽 陽介選手、#13津山 尚大選手らがいる分、少しだけ有利だったのかもしれません。

 中でも福岡大学附属大濠の津山選手の活躍ぶりは目を見張るものがありました。津山選手のポジションはポイントガードですが、決勝戦では両チームトップの19リバウンドを取っています。そのうち18本がディフェンスリバウンドです。チームを率いる片峯 聡太コーチは「リバウンドは誰が取ってもいいものですが、あれは津山の勝ちたい気持ち、ボールは自分のものだという気持ちの表れでしょう」と言います。津山選手自身も「ディフェンスでしっかり守って、リバウンドを支配できたことが勝因だと思います。特に自分たちガード陣がディフェンスリバウンドを取れば、そのまま速攻を出せるというメリットがあるんです」と胸を張っていました。バスケットには「リバウンドを制する者がゲームを制する」という格言がありますが、その言葉通り、福岡大学附属大濠はリバウンドで決勝戦を制したというわけです。

 とはいえ、津山選手も明成にインサイドの要である八村選手がいなかったことを忘れてはいません。「今日は八村くんがいなかったので自分たちがリバウンドを支配できましたが、ウインターカップでは彼もいるし、もっとディフェンスを鍛えて、そこからもっと速攻を出せるようにしなければなりません」と課題もしっかりと見つめていました。

 そしてもう一つ、今大会の津山選手を表現する上で忘れてはいけないのが、彼のリーダーシップです。昨年までは上手くいかないと表情をあからさまに崩して、プレイも雑になってしまうことがありました。しかし今大会の津山選手は、片峯コーチからも「津山の表情がいい」と言われ続けていました。時にはチームメイトに対して厳しい表情をし、厳しい声もかけますが、その一方で鼓舞する声掛けもずっと出していました。津山選手は「自分が崩れたらチームが崩れる。そう思って、常に顔を上げてプレイすることを心がけていました」と言います。キャプテンではありませんが、昨年からチームの主力としてコートに立っていた自覚が、常に味方を叱咤激励し、盛り上げてプレイに臨ませることで、福岡大学附属大濠を勝利に導いたと言えるでしょう。

 津山選手と同じように、昨年からチームの主力メンバーとしてコートに立っていたのが昭和学院のエースで、キャプテンの#12赤穂 さくら選手です。しかし昨年の夏に続き、またも最後の最後で優勝を桜花学園に奪われてしまいました。「3年生の気持ちの強さの差が勝敗を分けたと思います。桜花学園は大事なところで3年生が得点を取りにきていたのに対して、自分たちにはそれがなかったです」と悔やみます。赤穂選手は両チームトップタイの24得点をマークしていますが、もっと攻めたかったと言います。「マッチアップをしているのが#15馬瓜 ステファニー選手(1年)や#8脇 梨奈乃選手(2年)など下級生たちで、桜花学園にとってはそこが弱みだったはず。もっとそこを突くような攻めをすれば良かったです」。

 それでも最上級生となって、しかもチームのキャプテンとなって、赤穂選手はたくましくなっていました。ゴール近辺のパワープレイだけではなく、ミドルショットも確実に決めるなど、プレイの幅を確実に広げつつあります。その結果、9月末から始まる「第17回アジア競技大会」に、現役高校生で女子日本代表選手にも選出されました。インターハイから「アジアのオリンピック」ともいうべきアジア競技大会に挑む選手となったわけです。「キャプテンとしてもっとチームを引っ張っていくことと、大事なところで絶対に得点を決められる、プレイでもチームを引っ張る存在になりたい」と赤穂選手は言います。アジア競技大会を通して、日本代表の先輩たちと接し、またアジア各国の猛者たちとの対戦を経験しながら、よりレベルを上げていけば、ウインターカップではさらに大きくなって戻ってきてくれるでしょう。

 涙をこらえきれず、何度も泣いていた赤穂選手ですが、この悔しさを次のステップアップの糧にしてもらいたいと思います。男のうれし泣きを止められなかった津山選手にもまた、ウインターカップを新たなチャレンジの場として、更なる活躍が期待されます。もちろんそれは全国すべての高校生プレイヤーに言えることです。ウインターカップは常にチャレンジャーたちを心待ちにしています。

 煌めく青春 南関東総体2014の試合結果は、千葉県協会 大会特設サイトにてBOXスコア、レポートとともに掲載されています。また、JBA大会特設サイトでは、連日熱戦を繰り広げている今大会のフォトギャラリーを更新しています。是非、ご覧ください。