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平成25年度ジュニアエリートアカデミー(ビッグマン&シューター)トライアウト開催報告

2013年8月28日

 8月10日(土)~11日(日)の2日間、味の素ナショナルトレーニングセンターにて、平成25年度ジュニアエリートアカデミー(ビッグマン&シューター)のトライアウトを開催いたしました(西日本会場は8月12日(月)~13日(火)、九州共立大学にて開催)。

 昨年度、「ジュニア世代の長身者・長身者候補に対して世界に通用する選手育成」という目的で立ち上がったジュニアエリートアカデミー。今年度は長身者(ビッグマン)に加え、シューターを対象としました。
 佐々木 三男ジュニアエリートアカデミープロジェクト委員長は、この理由について「ビッグマンの基準身長には届かないけれど、何か特徴的な素養がある選手をすくえないかと思い、シューターという項目を作りました。やはりスペシャリストを育てたい。今まではオールラウンダー、大きくて何でもできる選手を探そうという大前提でしたが、プラス、シュート能力。シュートがうまい選手を見つけないと、日本男子の未来はありえません」と話しています。

 また、選考についても参加者のやる気を問うため、書類選考からトライアウト選考に変更しました。応募者は事前にテスト項目を告知されており、トライアウトに参加した鍵冨 太雅選手(東京)は「一通りやってみたあと、苦手なものは繰り返しやってきました」、また冨永 涼介選手(静岡)は「ボールハンドリングが苦手なので、この機会でよくしようと思って練習してきました」と、参加者たちは意識を高く持って予習に取り組み、当日を迎えました。東京会場では31名の応募者のうち、29名が2日間のトライアウトに参加しています。

 トライアウトの内容は以下のとおりです。

■トライアウト 第1日目
(1)運動能力測定
 ・20メートルダッシュ
 ・20メートルアジリティ
 ・レーンアジリティ
 ・立ち幅跳び
 ・ジャンプ力
 ・ロングチェストパス
 ・マルチステージ
(2)コーディネーション能力テスト
 ・ボックスジャンプ
 ・シューティング
 ・パッシング判断
 ・セットシュート

■トライアウト 第2日目
(1)ステーション練習
 ・リバウンド1.2
 ・パス1.2
 ・ディフェンス1.2
 ・オフェンスフットワーク
(2)キャンプ競争(1対1)
(3)シューティングスキルテスト
 ・ペリメーターのシュート
 ・3ポイントシュート
(4)キャンプ競争 決勝

 日本ではあまり開催されることのない、ジュニア世代のトライアウト。トーステン・ロイブル氏(JBAスポーツディレクター)によると、欧米諸国では当たり前のようにトライアウトを実施しています。「世界と戦う前に『戦い方』みたいなものを覚えないといけない。ライバルと競い合う、こういったトライアウトが日本のジュニア世代にとって、いい機会になるのではないでしょうか」と話します。

 コーチたちの厳しい視線の中で1人ずつ技術を披露し、ほとんど見ず知らずの同年代と競い合う――。そのプレッシャーに思うようなプレイができない選手もいました。ジュニアオールスターや全国中学校大会などの大舞台を経験している桐山 慶太選手(埼玉)も、「苦手なプレイのときは少し緊張しました」と苦笑い。しかしこのトライアウトでは、困難に際したときに前向きな姿勢で立ち向かう姿勢も重視されました。

 ジュニアエリートアカデミーでは、積極的な姿勢、声出し、リーダーシップといった技術以外の能力も大きな柱となります。佐々木プロジェクト委員長は「バスケットを楽しくやるためには、自らすすんで周りの人にいい影響を与えられることが大事です。我々日本人が一番不得意な自己表現ということも、これから国際的に戦うことを考えると必要なこと。ぜひ養っていかないといけないと思います」。ロイブルコーチも「日本の現状を見ると、エネルギーやリーダーシップの足りなさを非常に感じています」と話しています。

 トライアウト開始時におとなしかった参加者たちを引っ張ったのが、1期生として昨年度のプログラムに取り組んだ選手たちでした。その1人である畠澤 諭選手(宮城)は「みんなをまとめて盛り上げていこうっていう意識を持って、いろんな人に話しかけました。初対面の人でも自分から積極的に話しかければ、こっちに話しかけてくれます。なるべくみんなと話して名前も覚えていきたいなと思いました」と、ハキハキと話してくれました。複数人で取り組む項目などを経て他の参加者たちも次第に打ち解け、トライアウト終了後の集合写真では元気な笑顔を見せました。

 今回のトライアウト参加者の中から、20名の選手が第2期のアカデミー生として、10月の第1回キャンプに参加します。目指すはもちろん、将来の日本代表選手。ただ、男子日本代表チームは、ここ40年近くオリンピック出場を逃し続けています。
 このことについて、佐々木プロジェクト委員長もまた「今回参加したような大きい選手はおそらく、一回シュートをミスしても、高さを利用してもう一度入れるというプレイをしているはずです。でも、それでは国際的にまったく通用しません。今、通用しているからそれでいいよねというわけにはいかない。今の年代から、一発でバッと決める集中力と感性を、今後のプログラムで要求していくことになると思います」と危機感を募らせています。

 技術と心構えを備えた「ジュニアエリート」の誕生を、心待ちにしています。

■平成25年度 キャンプ日程
第1回 2013(H25)年10月26日(土)~28日(月)
第2回 2013(H25)年11月23日(土)~25日(月)
第3回 2013(H25)年12月13日(金)~15日(日)
第4回 2013(H25)年1月10日(金)~12日(日)
第5回 2013(H25)年2月1日(土)~3日(月)
第6回 2013(H25)年3月1日(土)~3日(月)
※第2回目以降は、第1回キャンプより選考された15名が参加

■キャンプのプログラム内容構成
1.フィジカルトレーニング
2.技術指導
3.栄養指導
4.心理サポート
5.医学サポート
6.代表経験者との交流
7.生活指導(学習支援を含む)
8.チームビルディング・ライフスキル
9.IT指導