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平成24年度 U-15女子トップエンデバー開催報告
2012年10月16日
「平成24年度U-15女子トップエンデバー」が10月6日(土)~8日(月・祝)の3日間、味の素ナショナルトレーニングセンターで開催されました。今回のテーマも、9月15日(土) ~17日(月・祝)に開催された「平成24年度U-14女子トップエンデバー」と同じく「人と合わせる」ことです。個のスキルを育成しながら、もう一歩進んだ、他者と合わせることでプレイの幅を広げようという狙いがあります。
U-14とU-15で同じテーマではありますが、すべてがまったく同じわけではありません。鷲野 鋭久コーチングスタッフの言葉を借りれば、U-14では「狭い範囲での合わせ」を練習し、今回のU-15では狭い範囲の合わせに加えて「広い範囲の合わせ」がテーマに加えられています。バスケットボール的にいえば、U-14がペイントエリアを中心としたハーフコートで人と合わせるのに対して、U-15ではオールコートで人と合わせるプレイを身につけていくというわけです。
「またU-14では『クローズドスキル』、つまり対人のない練習が主だったのに対して、U-15では『オープンスキル』、自分の目の前に相手がいて、その相手が自分の動きに対応したときにさらにどう対処するのか、という違いもあります。今回のU-15トップエンデバーは、先月のU-14トップエンデバーと比べて、より実践的なプログラムだと言えます。」
鷲野コーチングスタッフは2つの違いをそのように説明します。そこには来年(平成25年度)開催される「第3回FIBA ASIA U-16女子バスケットボール選手権大会」が念頭に置かれていることは言うまでもありません。現在の高校1年生の早生まれの選手と、今回のU-15トップエンデバーで中心となっている現在の中学3年生が主力選手になるわけですので、その強化を見据えながらも、一方で「育成」目線から選手たちには自らが所属する中学校にはない「さまざまな考え方」があることを伝えていきます。
練習は鷲野コーチングスタッフが何度も止めながら、新たな考え方、ポイントを加えていき、きめ細かく指導をしていきます。そうすることで、決して多くない練習メニューを最後まで集中して行うことができるわけです。ハーフコートからオールコートへ、オフェンスからディフェンスへ。それらの考え方を知り、ドリルに実行することで、たとえば午前の最後に行われた「ハーフコートの3対3」のような実践的な対人練習で選手たちはディフェンスの裏を突いたり、ノールックパスを出してみたり、選手たちはイマジネーション豊かなプレイを短期間に生み出すことができていました。
2泊3日の合宿で、選手たちは慣れないトレーニングや、普段よりもきめの細かいウォーミングアップ、基本の再確認ではあるものの、全国から選ばれた選手同士で緊張感のある練習を行いました。そのおかげで新たな発見もできるのですが、一方で心身はいつも以上の疲労感を感じます。そのうえに「人と合わせる」という考え方を学ぶわけですから、「頭」も使うこととなり、疲労感はさらに増していきます。それでも元気に、真剣な顔つきと笑顔を見せながら、最後まで楽しく練習に取り組んでいました。そんな彼女たちの練習に取り組む姿勢を見て、鷲野コーチングスタッフは次のように言っています。
「それぞれが目的意識を持って所属する中学校でチームの主力として練習に取り組み、その結果として選ばれた代表選手たちですので、U-14の子たちに比べると対応能力が優れています。この練習をやればどうなるのかがイメージできています。それは基本ができているからこそなせるわざです。そういう意味では、エンデバーが取り組んできた全国への基本の普及についてはすごく効果が出ているなと実感します。そして今回のメンバーの中には、昨年度のU-14トップエンデバーに選ばれた選手もいて、昨年も行なった「狭い範囲の合わせ」という考え方が、U-15トップエンデバーになって「広い範囲の合わせ」になっても、きちんと生かされている。そのような観点でU-14からU-15へのつながりを見ていると、来年のU-16、これは強化になりますが、そのチームにしっかりとつなげていけるのではないかと感じています。」
合宿第2日目の最後には、前日行われた「フィジカルテスト」のフィードバックが行われました。今の自分の運動能力はどのような位置にあるのか、これから何をトレーニングしていけばいいのか。それらがわかるようなペーパーが各自に配られ、その見方を北本 文男フィジカルコーチから指導されました。自らを知ることで、今後のよりよいパフォーマンスにつなげることができるというわけです。
バスケットボールの基本がエンデバープロジェクトを通じて全国に普及し、その結果としてU-14およびU-15トップエンデバーは、以前よりも一段高いステップへと進んでいます。それを体感した30名の選手たちが今後、さまざまなシーンで女子バスケット界を牽引していくことになるのです。