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平成24年度ジュニアエリートアカデミー(ビッグマン) 第1回キャンプ開催報告

2012年8月16日

 公益財団法人日本バスケットボール協会の新規事業として、ジュニア世代(小学生~高校1年生まで)の長身者・長身候補者を公募し、体力面、心理面、技術面の向上を図る「ジュニアエリートアカデミー(ビッグマン)」(※以下キャンプ)の第1回キャンプが8月11日(土)~14(火)の期間、味の素ナショナルトレーニングセンターで実施しました。

 長身者を集めて行われるこのキャンプについて、佐々木 三男 ジュニアエリートアカデミープロジェクト長は、「日本バスケットボール協会のスローガンとして『オールラウンダーの育成』を掲げています。大きな選手を集めていますが、パスやドリブルの技術などの必要性は念頭にあります。この中から日本の大黒柱となるようなセンタープレイヤーが出てきて欲しいとも思いますが、オールラウンダーを育成することが第一の目標です。全ての技術を身につけさせながら、少し小さくてもインサイドプレイヤーとしての素質がある選手や逆に大きいけど器用なのでガードができるなど、選手たちの個性や適正を見極めることが重要です」と話します。

 キャンプ開催前にスタッフを集めて行われた事前ミーティングでは、佐々木プロジェクト長より、「長年の日本バスケットボール界の希望であり、課題であった計画がようやく走り始めました。このキャンプのキーワードは『子どもたちにキラキラして帰ってもらうこと』。毎回キャンプ後に、参加して良かったという実感を持って帰ってもらえるよう取り組んでください」というお願いをしました。バスケットボールスキル、体力トレーニングの他にも、心理カウンセラーを迎えたメンタルトレーニングや栄養管理士によるセミナー、運動も勉強もバランスよく行うため勉強会やライフスキルセミナー、スピーチの時間など、バスケットボールだけではなく、その後の人生においても役立つメニューを用意しています。

 公募から選ばれた23名を迎えて行われる第1回キャンプは、「バスケを楽しみ、さらにバスケを好きになってもらい、そしてバスケを継続する。この中から日本を代表する選手が出てくるという確信を持っている」と、鈴木秀太 強化本部長からのご挨拶で開講式が始まりました。佐々木プロジェクト長から選手たちへ向け、「半年以上かけて準備したこのキャンプがいよいよスタート。一緒により良いバスケットボールを作っていくのが主旨。ここで学んだことはぜひ、学校に戻ってから友達たちにも伝えてもらい、バスケットボールの人気を一緒に高めていこう」と話しました。高橋 浩平選手(新潟県・高校1年/197cm)は、「日本のビッグマンは、他の国に比べればそんなに大きくありません。技もありません。今回、素晴らしいスタッフが集まってくれましたので、しっかり学んでいきたいです。目標は日本がオリンピックに出ることですので、それを目指して頑張っていきましょう」と、選手を代表して決意表明しました。

 3泊4日で開催されるこのキャンプは、以下のようなスケジュールで行われました。

第1日目/8月11日(土)
13:00 開講式
14:00 オリエンテーリング、心理チェック
15:00 体力測定
19:00 栄養に関するセミナー
20:00 スピーチ(※毎日数名の選手が代表し、気付いた点などをみんなの前で発表)

第2日目/8月12日(日)
7:00 スピーチ
8:00 勉強会
9:00 バスケットボールスキル(トーステン・ロイブル コーチ/JBAスポーツディレクター)
10:45 体力トレーニング
14:00 バスケットボールスキル(陸川 章コーチ/東海大学)
16:10 医学セミナー
19:00 ライフスキルセミナー
20:00 スピーチ

第3日目/8月13日(月)
7:00 スピーチ
8:00 勉強会
9:00 メディカルチェック/体力測定
14:00 バスケットボールスキル(トーステン・ロイブル コーチ/JBAスポーツディレクター)
15:30 体力トレーニング
19:00 日本代表講話/佐古 賢一氏(JBAナショナル男子担当)
20:00 スピーチ

第4日目/8月14日(火)
7:00 スピーチ
8:00 勉強会
9:00 メディカルチェック/体力測定
14:00 閉講式

 第1回目ということで選手たちの体力や現状を知っておく必要があり、体力測定やメディカルチェックに多くの時間を費やしました。体力測定の結果は「当初想定した以上に良い結果」を得られており、「何よりも積極的に取り組む姿勢が良い」と、コーチ陣は評価しました。長身者ということだけではなく、成長過程にあるこの時期に必要なトレーニング方法を教えています。短いこのキャンプ中では紹介することしかできませんが、写真付きのトレーニングメニューが入ったファイルを各選手に渡し、さらに食事、睡眠時間、尿の色、トレーニング実施内容、練習時間を毎日書き込めるようにした、自己管理をさせる宿題を与えています。そして、「一人でやらずにぜひともチームメイトにも教えて一緒に行って欲しい」とも伝えました。この取り組みに対し吉本 完明トレーナー(青山学院大学)は、「早い年代からトレーニングを行っている分、このまま努力を続けてくれれば竹内(公輔・譲次)兄弟よりもすごい選手になれる」と期待しています。

 バスケットボールスキルは、JBAスポーツディレクターのトーステン・ロイブル コーチが中心となりクリニックを開催。まずはボールハンドリングを養ったり、バランスよくシュートを打てるようにするためなど、レクリエーション形式のトレーニングを採用。選手たちは笑顔を見せながら、ボールと戯れていました。また、東海大学の陸川 章ヘッドコーチを招き、インサイドにおけるオフェンススキルを伝授してもらいました。鶴田 美勇士選手(長野県・高校1年/195cm)は、「陸川先生に教えてもらったフィジカルで強くインサイドを攻めるプレイがとてもためになりました」と、感想を話してくれました。

 参加選手は高校1年から小学6年までと年齢差があります。最初はなかなかコミュニケーションを取れずにいた選手たちでしたが、ライフスキルセミナーを通じて共同作業を行ったことで一気にその距離は縮まりました。佐々木プロジェクト長は、「年齢差に幅があるのもこのキャンプの特徴。兄弟関係のようなことも宿泊をともにすることで疑似体験でき、良いつながりができることにも期待」しています。

 第3日目の夜には元日本代表キャプテンの佐古賢一氏(JBAナショナル男子担当)による講話が行われました。自らの経験談を踏まえながら、参加選手たちはチャンスであることを訴え、「チャンスをつかむことでその後のバスケ人生を変えられる」「ただの背が大きい大人にならないように、少しでも早い時期から考えながらバスケをしなさい」「40年間男子はオリンピックから出ていない。君たちが出たらバスケ界から称えられる」など、期待を込めながら発破をかけていただきました。

 第1回目のキャンプは無事に終了しました。キャンプを終えた最後のスピーチの時間には、「最初は声も出てなかったが、だんだんと打ち解けて声が出るようになり、とても良かったです」とナナーダニエル弾選手(神奈川県・中学3年/191cm)、池 鮎人選手(埼玉県・中学3年/190cm)は「自分の周りでは大きい方であり、同年代で僕よりも大きい人はいないと少し天狗になっていました。しかしここに来て、年下でも大きな選手がおり、本当に良い経験になりました」と、それぞれの意見を発表してくれました。閉講式の時、土屋 裕睦先生(心理カウンセリング担当)より、「このキャンプが楽しかった人、今後も頑張っていける人」と質問を投げかけたところ、全選手が手を高く上げて応えました。「メンタルも努力すれば強くなります。自信を高めるためにも、みんなは大きいのですから胸を張りましょう」と、選手たちに伝えました。最後は選手を代表して、軍司 泰人選手(茨城県・中学3年/190 cm)が、「教えてくださる先生方への感謝を忘れず、日本代表を目指して頑張ります」と抱負を語り、第1回キャンプは閉講しました。

 「想定していた以上に選手たちのレベルは高く、積極的に取り組んでくれました。今後のメニューは当初考えていたよりも先のレベルへと進めるかもしれません。しかしそれは、今回スタッフが教えたことをチームに戻ってからも努力してきてくれることが大事です。次のキャンプ時には、もしかするときちんとやった人、やってこなかった人で差がつくかもしれません。第1回目は、最後の土屋先生の質問で全員が挙手してくれましたので成功でしょう。次回が今から楽しみです」と、佐々木プロジェクト長は総括し、次回へと向かいます。
 次回、第2回キャンプは、9月7日(金)~9日(日)に開催します。

■第1回ジュニアエリートアカデミー(ビッグマン) 指導スタッフ紹介 ※敬称略

【生活指導及び運営サポート】
植松 孝之(世田谷区立芦花中学校)、杉浦 尚大(江戸川区立小岩第一中学校)、小林 良久(つくば市立吾妻小学校)、井ヶ田 弘幸、古海 五月(公益財団法人日本バスケットボール協会)

【心理カウンセリング担当】
土屋 裕睦(大阪体育大学)

【栄養指導担当】
小林 唯(公益財団法人日本バスケットボール協会)

【ライフスキル担当】
長尾 彰(長尾考務店)、中川 綾、飯田 琢郎

【フィジカル担当】
小山 孟志(公益財団法人日本バスケットボール協会)、吉本 完明(青山学院大学)、宮崎 智之(江戸川大学)、國友 亮佑(東海大学)

【トレーナー担当】
西村 航(公益財団法人日本バスケットボール協会)、山木 俊彦(日本体育大学)、川上 洋次(城所整形外科)

【バスケットボールスキル担当】
トーステン・ロイブル(JBAスポーツディレクター)、陸川 章(東海大学)

【ジュニアエリートアカデミープロジェクトスタッフ】
佐々木 三男(慶應義塾大学)、山本 明(愛知学泉大学)、村上 佳司(天理大学)