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平成23年度 U-18女子トップエンデバー開催報告 【第2日目】

2012年3月23日

 合宿2日目は午前を林慎一郎コーチングスタッフによるディフェンス練習にあて、午後からは代表選考を兼ねたスクリメージが行われた。

 ディフェンス練習ではいくつかの約束事を決めて進められたのだが、そのなかで世界を相手に戦ってきた林コーチは「強く当たれ!」、「相手を壊せ!」とフィジカルコンタクトをかなり強調していた。世界のなかで身長の低い日本が身長の高い国々と対等に戦おうと思えば、当たりの強さは必須となる。かわすプレイは「逃げるプレイ」につながり、最終的に高さで潰されてしまう。そのことを、たとえ今回の代表チームに選出されなかったとしても、このトップエンデバーで頭の中に入れておくことは、参加選手にとっても大きな意味がある。

 ただ北海道・札幌創成高校2年の晴披果帆選手が「自分たちのチームでも同じような練習をしているからできるはずなんだけど、ちょっと、まだ…全国の選手が集まる場所でプレイすることには慣れないです。(雑誌などで見る、高校バスケット界では名の売れた選手に対する)名前負けかもしれません」と言うように、選手たちはオフェンスもディフェンスも思いきりぶつかることをしない。林コーチからも「みんなは自分たちのチームに戻ったらエースだろう? もっと思いきりプレイしなさい。よそいきのバスケットをしてはいけない!」と喝が飛んでいたほどだ。

 それでも技術面の吸収の早さについては林コーチも練習後に認めている。
「以前はこちらの求めることを理解できない選手が多かったのですが、今はほとんどそういうことがなく、スムーズに練習ができています。それは各チームで今回取り組んだドリルなどをしっかりとやっているからでしょう。多くのチームにそういった考え、ドリルが浸透してきている証拠だと思います」

 林コーチにしろ、一色建志コーチングスタッフにしろ、もちろん井上眞一サポートスタッフも含めて、アンダーカテゴリーの女子日本代表を率いて世界と鎬を削り合ってきたコーチたちに対抗しようと思えば、国内の指導者も積極的に多くの指導法に触れ、工夫を重ねていかなければならない。その結果が全国から集められても、スムーズに練習が進むわけである。

 そして全国から集められた「U-18女子トップエンデバー」で選手たちは、対戦相手ではない、同じチームの仲間としての他校の選手たちに刺激を受け、意識を高めていく。山口・慶進高校2年の中村和泉選手は「みんな、うまい人たちばかりで学ぶことがたくさんあったし、自分がどれだけ通用するかを試すことができました。明日も積極的に自分から向かっていって、身長差というハンディをどう打破していくかを見つけていきたいです」と言っている。全国的にも強豪校として知られる福岡・中村学園女子高校2年の安間志織選手もまた「自分は今回のメンバーの中でも一番背が小さくて、世界どころか日本でも小さいので、U-18トップエンデバーのような全国の大きな選手が集まってくる合宿で、小さい選手がどう攻めればいいのか、いろいろ勉強になります。愛知・桜花学園高校の選手などを見るとシュート力がすごいなと思って、刺激されまくりです」と言っている。

 普段、所属チームで練習をしたり、県内で戦っているときには簡単にできることも、全国の、しかも世界の国々とも戦ったことのある選手が相手になると通用しないところも数多く出てくる。それがわかるだけでも選手にとっては収穫だろう。
 高校生年代の女子は今、世界と戦い、そのなかでどう勝つかを模索している。その土台作りともいえるのが「U-18女子トップエンデバー」なのである。

追記:昨年のこの日は「東日本大震災」が発生した日。14時46分、味の素ナショナルトレーニングセンターでは館内放送がかかり、すべての競技団体、すべての選手、スタッフ、職員が犠牲者の方々に哀悼の意を表し、1分間の黙とうを捧げた。U-18女子トップエンデバーに参加していた選手・スタッフ全員も、同時刻に東北に向いて黙とうを捧げた。