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「JAPAN 2024 TASK FORCE」終了のご報告
2025年1月21日
「JAPAN 2024 TASK FORCE」記者会見
2014年11月、当協会は国内ガバナンスの欠如等を理由に国際バスケットボール連盟 (FIBA) による資格停止の制裁を科されました。FIBAにより組織された「JAPAN 2024 TASK FORCE」(以下タスクフォース)がJBAの改革を主導し、2015年8月に制裁は解除されました。その後も今日に至るまで、モニタリング期間として、定期的にFIBAとのコミュニケーションを図ってきました。本日1月21日(火)都内にてタスクフォース会議が実施され、10年に渡るタスクフォースが正式に終了しました。タスクフォースの川淵三郎チェアマン、同じくドイツから来日したインゴ・ヴァイス コーチェアマンを迎え、記者会見が行われましたのでご報告いたします。
■川淵三郎 チェアマン(JAPAN 2024 TASK FORCE)
ちょうど10年前、2015年1月28日に第1回タスクフォースが開かれました。先行きが全く読めない状況の中でFIBA(国際バスケットボール連盟)、文科省、スポーツ庁、スポーツ協会と多くの後ろ盾がいたので、力尽くでもなんでも良いからFIBAから申し渡された3つの改革である「①2つのリーグを統一すること」「②協会のガバナンス改革」、そして「③代表強化」の3つをともかく成し遂げることでした。その中において、リーグ統一が一番の難問題でした。JBAや各リーグと毎月のように話し合いを行い、それを持ち帰ったところ、すべてのクラブに反対されました。そのときに僕は怒り心頭になり、「バスケ界は何を考えてるんだ」と頭に来たのを思い出します。10月末までにリーグ統一ができなければ、オリンピック予選への停止処分にすることをFIBAからも言い渡されていました。その少し前にFIBAのパトリック・バウマン事務総長とお会いした際、「もう制裁をした方が良い。JBAは変わる意志がまるでない」と申し上げました。その後、バウマン氏がもう一度来日し、タスクフォースを作るのでインゴ・ヴァイス氏と一緒に「JBAを立て直して欲しい」と頼みに来られたときは二つ返事で了承しました。もう僕しかいないと思っていましたし、本当に頭に来ていましたから。
いろんなことがあり、改革を進めていきましたが、何よりもヴァイス氏が後ろ盾になって、日本バスケ界をあらゆる面で支援してくれました。そして、当時のバウマン事務総長が「日本が世界で活躍してくれなければ困る」と特別な思いで改革したいという情熱が乗り移って、この10年間ここまで来ました。残念ながらバウマン氏は亡くなってしまいましたが、彼の情熱がなければ7回を迎えた今日のタスクフォースも開かれなかったでしょう。この10年間で画期的に日本バスケ界は変わりました。テレビ中継をしていただき、メディアの数もまるで変わり、そして48年ぶりに男子日本代表は予選を突破して、自力でオリンピック出場権を獲得しました。この10年間で代表強化、Bリーグの発展はもちろん、JBAのガバナンス改革が行われました。
ここまで来られた背景にはヴァイス氏をはじめ、多くの皆さんのご支援があり、特に境田(正樹)弁護士は手となり足となり、いろんなところへ動き回ってBリーグの組織作りに尽力していただきました。どれだけ喧嘩したかなと今日思い出すと本当に当時は血圧が上がって、だいたい120から230ぐらいまでその頃は上がっていました。その頃のテレビを見れば怒りで顔が真っ赤なんです。それほどバスケ界には怒っていました。でも今日は全く怒ることなく済みましたし、はっきり申し上げて一昨年に文化勲章をいただけたのも、バスケ界が成功を収めたことも選考の理由の一つになっているのではないかと思います。バスケ界、そしてBリーグには大変感謝しています。
■インゴ・ヴァイス コーチェアマン(JAPAN 2024 TASK FORCE)
この10年間、タスクフォースに従事してきましたが、本日をもってタスクフォースは終了いたします。私の友人であり、チェアマンでもある川淵氏とともに、我々の目標はすべて達成できたと考えています。日本には男女リーグが存在し、素晴らしい組織として生まれ変わりました。我々FIBAとしても、JBAは良きパートナーであり、アジアにおける一つのキーファクターです。
これまでJBAはタスクフォースを介して、良い決定をいくつもしてきました。その例の第一に挙げられるのが、2023年にFIBAワールドカップ開催に立候補し、開催されたことです。沖縄大会は大変な盛り上がりを見せました。自国開催の東京オリンピックでは、女子日本代表が銀メダル獲得も素晴らしい結果でした。そのトム・ホーバスヘッドコーチを男子日本代表にシフトさせたのも正しい決定でした。そして、ひとつご報告があります。2030年FIBA女子ワールドカップに日本が立候補へ向けて前向きに今、検討していただいています。これが実現するようであれば、素晴らしい大会になると信じています。
日本各地に新たなアリーナが建設されています。日曜日に開催されたBリーグ オールスターゲームを観戦しましたが1万人の観客が入り、その盛り上がりは感慨深いものがありました。先ほどのミーティングでは、女子バスケの観客も順調に伸びて来ていると報告を受けました。日本バスケ界が正しい道筋での成長が見受けられ、今後もJBAの活躍に期待しています。
■三屋裕子 会長(公益財団法人日本バスケットボール協会)
本日をもって、タスクフォース2024が終了になります。10年前、タスクフォースが立ち上がった時から「2024」とタイトルについており、当時はやはり10年はかかると思われ、FIBAから見た日本バスケ界はそれほど様々な問題点を抱えていました。当時、私は全く関わっておらず、「バスケ界は大変なことになっているな」と対岸の火事のようなところでこの記事を見ていました。まさか自分が関わるとは思っていなかったですが、リーグを1つにする、JBAのガバナンスを強化する、そして特に男子日本代表を強化することに対し、10年のスパンをかけて考えていたと思うと、当時のパトリック・バウマン事務総長が日本をどういうポジションにおき、どれほど真剣に我々に向き合ってくださっていたのかと言うのが「JAPAN 2024 TASK FORCE」のタイトルに現れています。
今日でタスクフォースは終わりますが、我々JBAは10年間ずっとモニタリングを受けてきました。毎年1回、必ずインゴ・ヴァイス氏とスコット・ダーウィン氏のFIBAのお二人が来日し、1年間の成果をJBA、Bリーグ、WJBLが発表してきました。そこで間違っていれば指摘があり、ご指導を受けながら歩んで来ました。モニタリングがあったからこそJBAは大きく間違うことなく、独自の判断ではなくFIBAから正しい指導を受けながら、ファミリーとしてこの10年間支えていただいたと感じています。
当時から比べるとJBAは3倍強の事業収入になり、Bリーグにおいては恐ろしいほど拡大しています。また、女子日本代表も昨年の有明アリーナでは、1万人の集客を果たすことができました。おかげさまでバスケ界が皆さまから注目を浴びるようになってきています。それもひとえに10年前、本当に熱い思いを持って各界の方々に集まっていただきタスクフォースを立ち上げ、真剣な議論の中でバスケ界の基盤をしっかりと作っていただいたからです。日本バスケ界はこれからもっともっと大きくなっていかなければいけないし、これで終わりではなく、これは通過点だと思っています。タスクフォースの皆さま方の熱い思いを我々は次の世代へ、そして10年前のいろんな問題点があったバスケ界のことを知らない関係者も増えてきています。これをつないでいくのが今いる我々の責務であり、10年前を忘れないためにもしっかりとつないでいきたいです。