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女子U16・U18日本代表:エントリーキャンプレポート「強みを伸ばして弱みを克服することが大切」鈴木良和ヘッドコーチ
2025年3月10日

全国大会に出場するトップ選手たちから刺激を受ける中学2年生の中川 楓選手

落選した2年間の悔しい経験を糧に3ポイントシュートを練習してきた山下藍選手
女子U16日本代表チームと女子U18日本代表は3月7日(金)〜9日(日)の期間、味の素ナショナルトレーニングセンターにて2025年度の候補選手を選考するエントリーキャンプを合同で実施。パリ2024オリンピックまで女子日本代表アシスタントコーチを務めた女子U16日本代表の鈴木良和ヘッドコーチが、実際に女子日本代表が採用したフォーメーションなどを紹介します。同じ練習を行いながらインストールし、キャンプ後半はスクリメージでそれぞれ持ち味を発揮しました。
鈴木ヘッドコーチは、「各カテゴリーによってコーチが変わればスタイルも変わってしまうのではなく、日本代表が国際大会で戦うためにも必要不可欠な共通したプレーを伝え、強みを伸ばして弱みを克服することが大切です」と延べ、目指すべき方向性の大枠からボックスアウトの徹底など細かい部分までを限られた時間の中で伝授します。世界の高さに対してリバウンドやポストプレーは弱みである一方、「オフェンスでは縦にスピードアップするプレー。ディフェンスでは足を使ってプレッシャーをかけること」をはじめとした機動力を日本の強みとし、日本が世界で勝つためのスタイルを意識づけします。
女子U16日本代表を目指す中には、Jr.ウインターカップ2024-25で連覇を飾った京都精華学園中学校3年の石綿 文選手(185cm)を筆頭に、5人の180cm台が名を連ねます。双子の中川 楓選手と桜選手(東京女子学院中学校)はまだ2年生ですが、2023年からU14ナショナル育成センターのキャンプに参加。「所属チームでは、例えばゴール下でボールをもらってシュートを打つことが多いですが、世界で戦うためにはセンターも外に出なければならないので、アウトサイドプレーもたくさん挑戦していきたいです」という楓選手は、合宿初日から積極的に3ポイントシュートを打っていました。「中学1年のときにU14キャンプへ参加しましたが、そのときはまだ3ポイントシュートが届かなかったのでたくさん自主練習をしてきました」と努力し続けた成果を発揮します。
女子U18日本代表を目指す山下 藍選手(四日市メリノール学院高校2年)もポジションはセンターであり、「3ポイントシュートを打てることが武器になります」と話します。これまでも女子U16とU17日本代表選考合宿に参加してきましたが、最終メンバーに残ることができず、「日本代表に選ばれるためにはもっと努力しなければいけない難しいところであると気付かされました」と2年間の悔しさを糧とし、努力し続けてきました。国内では大きな選手たちに対し、「機動力と判断力を武器にしていきたいです」と鈴木ヘッドコーチは期待を寄せます。「ピック&ロールのスクリーンに行くときも勤勉に走り、その後にダイブやポップをしっかり選び、フルコートでは先頭を切ってリムランできる選手を発見するためのテストも行いました」と続け、ひとつの選考基準となります。
鈴木ヘッドコーチが自ら体験してきた日本代表が目指すスタイルを伝授するとともに、今合宿よりテクニカルスタッフとして世界を見てきた冨山晋司コーチが“一気通貫コーチ”として参加。東野智弥技術委員長が就任した2016年から、男女日本代表においてU16からトップチームまで一気通貫の強化に取り組んできました。育成年代の選手たちが将来の日本代表を目指すための技術やメンタリティーを伝え、一気通貫の強化体制をより強固なものにしていく役割を担います。また、選手とともに各ブロックの強化育成コーチら多くの指導者へ向け、過去の日本代表の戦いや世界の変化などを共有し、知識や経験のバトンをつなぐ機会として全国各地へ浸透させていきます。
エントリーキャンプを経て、これから候補選手を選考します。最終的に大会へ出場できるのは12人に絞られますが、選考結果に一喜一憂する必要はないことをすべてのスタッフから選手たちに伝えられました。山下選手は自身の体験談として、「中学時代は全国レベルでもなく、県大会にさえ出られるような強いチームでプレーしてきたわけではありません。2年前にU16エントリーキャンプに呼ばれたときは、『なぜ自分が?』と思っていました。でも、全国大会に出ている選手たちと一緒に練習をすることで、まわりの高いレベルに自分もついていきたいと思い、さらに努力をしました」と高い目標へ向かうきっかけとします。中川選手もまだ全国大会は未経験ですが、今キャンプではU18世代の先輩たちとのマッチアップする機会もあり、「上手い選手のプレーを真似して、自分も身につけていけるようにしたいです」と意欲を見せます。リバウンドの役割も見出し、「今回は強く当たれなかったですが、まずはヒットファーストをすることを心がけていきたいです。飛びついてリバウンドを取るような反射的なジャンプが苦手なので、しっかりボックスアウトをして落ちたルーズボールへの執着心を持ってがんばりたいです」という楓選手とともに参加したすべての選手が課題を持ち帰り、今後も高いレベルを目指していきます。
鈴木ヘッドコーチの女子U16日本代表は9月の「FIBA U16 女子アジアカップ2025」(マレーシア・クアラルンプール)へ、8月に開催される「第33回日・韓・中ジュニア交流競技会」(中国)では安藤香織ヘッドコーチが女子U18日本代表の指揮を執り、それぞれの大会へ向けて選手選考を行いながら継続した強化を図っていきます。