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女子日本代表:金メダルへの挑戦「3×3の経験があったからこそ、5人制でも自信を持ってプレーできています」山本麻衣選手

2024年7月26日

3x3の経験を最大限生かす山本麻衣選手はエースとしての活躍に期待

隙あらば打つことを徹底する林咲希林選手

 金メダルへの旅路はリオ大会の後、2017年1月23日にトム・ホーバスヘッドコーチ(現・男子日本代表ヘッドコーチ)が就任したときからはじまりました。「ずっと夢に見ていたことですが、東京の決勝の舞台でアメリカと対戦して金メダルを獲ること」とホーバス元ヘッドコーチの第一声に対し、当時の選手たちは戸惑い、同じ目標を口にしながらも半信半疑でした。しかし、最高峰を目指した努力の結果として、東京大会では銀メダルを獲得。いつしかアメリカに勝つことを当然の目標とし、今では自信に満ち溢れています。

 金メダルの旅路がはじまった2017年のメンバーに、#27 林咲希選手の名前はありませんでした。FIBA女子ワールドカップを控えた翌年、52名をリストアップした日本代表候補選手に選出されましたが、若手チームとして第18回アジア競技大会へ出場。2019年、4連覇を成し遂げたFIBA女子アジアカップからトップチーム入りし、頭角を現します。その後は、東京大会での準々決勝ベルギー戦、残り15.2秒で決めた逆転の3ポイントシュートをはじめ、記憶に残る活躍で女子日本代表を牽引してきました。

 2021年9月より恩塚亨ヘッドコーチ体制へ変わると、キャプテンに就任。前回大会から一緒に戦ってきたメンバーが多く選出されたこのチームだからこそ、「バスケにおいて息を合わせるのはすごく大切なことです。最終的に選ばれた12人とはプレーのしやすさを感じています」と林選手はメリットを挙げ、コート内外でチームを支えます。

 前回大会から変わらぬシューターとしての役割やチームプレーだけではなく、相手に対応されたときに自ら打開するためのスキル向上にも努力してきました。スクリプト(台本)を用意する恩塚ヘッドコーチのバスケスタイルですが、時に選手が判断する「アドリブとして、ピックからのジャンプシュートや3ポイントシュートがパリでは必要になると思っています。隙あらば打てるようにしていきたいです」とその成果を披露する瞬間がまもなくやってきます。

 残念ながら世界最終予選で敗れた3×3男女日本代表は、パリへの切符を勝ち獲ることはできませんでした。2021年の東京大会では、3×3女子日本代表として出場した#23 山本麻衣選手。目標としていたメダルに届かず、準々決勝で敗れて結果は5位。しかし、#3 馬瓜ステファニー選手とともに、新種目として誕生した3×3(3人制)の歴史にその名を刻みました。日本バスケ界すべてのカテゴリーにおいて世界一に輝いたのは、過去に一度だけ。2019年、3×3女子U23日本代表がFIBA 3×3 U23ワールドカップで優勝。東京大会でアメリカを破ったのも日本だけであり、そのコートにいずれも立っていたのが山本選手と馬瓜ステファニー選手です。3×3があったからこそ成長できたことを山本選手は強調します。

「3×3は、試合中はコーチがいないので、4人でどうにかしなければなりません。その責任が、3×3では直接選手にかかってきます。3×3の経験があったからこそ、5人制でも自信を持ってプレーできています。3×3の方が速い展開の中でプレーしていたからこそ、判断の早さはそのときの経験が生きています」

 今年2月のFIBA オリンピック世界最終予選(以下OQT)で山本選手はハンガリーラウンドのMVPに選出され、女子日本代表のエースとして名乗り出ました。「最初はポイントガードでしたが、OQTからシューティングガードになったことで、シュートを狙う回数や攻める気持ちは増えました。意識してリングにアタックするようにしています」と3×3と変わらぬプレーでチームをリードします。

「3人制と5人制の2つの種目に出場できるのはなかなかできないことなので、光栄に思っています。自分にしかできないプレーを出していきたいです」

 日本最高の12人がそれぞれの強みを出し切り、チーム一丸となって向かう金メダルへの挑戦がいよいよはじまります。