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男子U22日本代表:ジョーンズカップは3勝5敗の6位で終了「5年後にはU22日本代表でも、どんなチームと対戦しても勝つことができる状態にしていくことがベスト」網野友雄ヘッドコーチ

2024年7月22日

今後も継続に参戦することで男子日本代表の底上げに期待

それぞれが持ち帰ってきた課題が今後の伸びしろ

 「第43回ウィリアム・ジョーンズカップ」は3勝5敗、9チーム中6位で全日程を終えた男子U22日本代表は無事帰国。1試合でも多く勝利することを目標にしながら日々成長を続け、9日間で8試合に及ぶ連戦を駆け抜けました。

 チームを率いる網野友雄ヘッドコーチは、「はじめてジェリコジャパン(ジェリコ・パブリセヴィッチ元日本代表ヘッドコーチ/2003〜2006年)に選ばれ、ヨーロッパ遠征に行ったときと同じ感覚を彼らも体感できたと思います」とご自身が22歳の頃とオーバーラップさせます。

「はじめての国際試合でどんなところに泊まるのか、ホテルからアリーナまでの道のりはどうなっているか、アリーナの雰囲気はどんな感じか、相手のレベルはどれほどでどんな選手がいるのかなど、全く分からない中で試合が続きました。この大会期間でも試合を重ねることでいろんな情報を入手し、少しずつ理解した上でどうチャレンジしていけば良いかが分かってくると戦うマインドも違ってきます。この機会を1回だけにしてしまっては意味がありません。今後も継続的に参戦することで、5年後にはU22日本代表でも、どんなチームと対戦しても勝つことができる状態にしていくことがベストだと感じました」

 チャイニーズ・タイペイをはじめとした同じアジア地域の代表チームだけではなく、アメリカやヨーロッパのプロ選手が集まるチーム、元NBAやBリーグで活躍する選手も多く参戦し、例年にないほどバラエティに富んだ対戦が続きました。キャプテンの黒川虎徹選手(アルティーリ千葉)は「毎試合スタイルも全然違う相手なので、コーチ陣が映像を見ながらゲームプランを示して戦術面を準備し、自分はメンタル的な部分でチームを引っ張っていました」と長い戦いを乗り越えました。今大会の結果を踏まえ、「3勝できたからこそ、惜しくも勝てなかった試合も多かったので、もっと勝てたのではないかと今は感じています」と接戦を落とした原因を挙げます。

「遂行力の差というか、1試合を通して自分たちのやるべきことを、相手の方が40分間徹底していたところの差でした。また、全員のプレーの共通認識やマインドの共通理解が相手の方が高かったと思います」

 Bリーグの新たなシーズンへ備える黒川選手にとって、「試合を通して手応えを感じられた部分も、逆に通用しない部分もすべてが明確になりました。そこを改善していくことが大事になります。男子日本代表がまもなくオリンピックの舞台に立ち、それを身近に感じられる部分もいっぱいあったこの1ヶ月間の経験をどんどん次の機会につなげていけるようにしたいです」と今大会をきっかけにさらなる上を目指します。

 佐伯崚介選手(白鷗大学)の37本に次ぐ、34本の3ポイントシュートを放ったジャンローレンスJr・ハーパー選手(東海大学)。しかし、8試合で3本しか決められず、チャイニーズ・タイペイBとの最終戦も不発に終わり、「チームに迷惑をかけてしまいました」と悔やみます。シューターやシューティングガードに対し、網野ヘッドコーチは積極的に打つように指示を出しましたが、「全体的にアベレージが上がらず、波に乗りきれなかったのは課題です」と振り返ります。ハーパー選手は「あまり成長は感じられませんでしたが、全力を尽くすことはできました。今大会で海外の選手と対戦して学んだことを今後につなげて、シュート確率もしっかりと上げていけるようにしたいです」と明確な課題を持ち帰ることができました。他の選手たちにとっても良い点や悪い点を感じられ、それもこのチームに選ばれなければ気づくことができなかった伸びしろです。

 スタッツだけを見れば、木林優選手(長崎ヴェルカ)が12.7点でチームハイ。3ポイントシュートは武藤俊太朗選手(明治大学)の12本成功が最高であり、50%の高確率で決めました。大会を通して活躍する選手が試合毎に変わっていたのも特徴であり、「チームで良いシチュエーションを作ることを共通認識で持っていたのでボールを回し、しっかりノーマークを作って自滅せずにシュートを打つことを求めていました」と網野ヘッドコーチは評価し、男子日本代表が目指すスタイルを踏襲します。

 最年少の渡邉伶音選手(福岡大学附属大濠高等学校)は平均8.9点、リバウンドはチームトップの平均6.4本を記録。3ポイントシュートは8本を成功させ(8/23:34.8%)、今後がますます楽しみです。約1ヶ月後にはFIBA U18アジアカップが待っており、8月3日には渡邉選手にとって初出場となるインターハイ(全国高等学校総合体育大会)も楽しみにしていました。Bリーグ、大学、高校とそれぞれのカテゴリーに戻りますが、この世代から底上げし、競争相手になっていくことが男子日本代表の強化につながります。

■試合結果
日本 65-85 チャイニーズ・タイペイA
日本 67-63 Future Sports Basketball Team(アメリカ)
日本 76-65 BSBL Guardians(オーストラリア)
日本 82-78 アラブ首長国連邦
日本 47-63 ウクライナ
日本 79-92 Strong Group Athletics(フィリピン)
日本 72-79 Malaysia Hariman Men(マレーシア)
日本 75-80 チャイニーズ・タイペイB