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男子U18日本代表:日・韓・中ジュニア交流競技会エントリーキャンプレポート「富永啓生選手はバリエーションが豊富なのでがんばって真似をしています」音山繋太選手

2024年7月5日

正確なパスを意識する音山繋太選手

昨年のFIBA U16アジア選手権の経験を生かす本田蕗以選手

 8月25日から韓国・慶尚北道にて、「第32回 日・韓・中ジュニア交流競技会」が開催されます。昨年に続き、今大会に出場する男子U18日本代表は次の世代の選手たち。2年後のFIBA U18アジアカップへつなげるため、2008年生まれ以下の現在16歳を対象に7月1日(月)〜3日(土)の期間、エントリーキャンプを実施しました。

 チームの指揮を執る水野慎也ヘッドコーチは、「国際大会の経験がない選手がほとんであり、国際試合を通して体験することでアレハンドロ(マルティネス)コーチが常に言っている国内と世界基準の違いを身を持って分かる機会であり、それが一番重要です」とその意図を説明します。本来のターゲット世代で組む男子U18日本代表は、9月2日よりヨルダン・アンマンで開催が予定されている「FIBA U18アジアカップ」へ出場します。男子U18日本代表の常田健チームリーダーをはじめ、スタッフ陣が継続した一貫強化に方針を変え、昨年から取り組みはじめました。その経験を踏まえ、水野ヘッドコーチは「中国の大きさなどライバルを知る機会となり、今年のFIBA U18アジアカップに向けて選手たちはイメージすることができました」と前向きな感想を述べます。準備段階として活用するこのキャンプには、アンダーカテゴリーを統括するアレハンドロ・マルティネスヘッドコーチが世界基準のプレーを指導しました。

 昨年のFIBA U16アジア選手権に出場した本田蕗以選手(福岡大学附属大濠高等学校)は、「サイズやフィジカルの違いを、はじめての国際大会で経験することができました。この練習の中でもその違いを意識して、次はやられないように、前回よりも対応できるように、うまく戦えるようにしたいです」と練習を引っ張ります。マルティネスヘッドコーチはみんなでつなぐ堅実なプレーをベースとし、そのためにもパスの精度を徹底します。本田選手は「簡単なパスを相手は狙っていたり、大丈夫だろうと思っていたひとつのミスから一気に相手に流れを持って行かれたりしました。また、フィリピンの声援が大きく、一つひとつのミスや相手にシュートを決められるたびに盛り上がり、そこから流れを持って行かれました。ミスをしないことの大事さを学びました」と日本とは勝手が違う環境やマルティネスヘッドコーチの教えの意味を知る機会にもなりました。

 音山繋太選手(中部大学第一高等学校)は、3ポイントシュートを武器にする195cmのスモールフォワード。エントリーキャンプでは同じような身長の選手も多く、「いつもはボールをもらって打てていたプレーも、ここではシュートチェックが厳しいです。ガードがマッチアップしてきても、なかなかドライブに行かせてもらえません。一つひとつのプレーの強さやシュートを打つかどうかのジャッジの速さは、いつも常田先生にも言われているので、そこを今後も意識していきたいです」と刺激を受けます。男子日本代表戦を見るときは富永啓生選手の動きを参考にし、「キャッチ&シュートだけではなく、自分から相手を抜いてクリエイトしたり、スクリーンを使ってスペースを使って3ポイントシュートを打ったり、富永選手はバリエーションが豊富なのでがんばって真似をしています。どこでもプレーできるフォワードになりたいです」とその背中を追っていました。

 国内の同世代の中から選ばれた能力の高い選手たちですが、これから彼らが対戦するのはアジアのライバルや世界の強豪であり、普段のプレーが通用しません。世界を見てきた常田チームリーダーが、選手たちの意識を上へ向かせるメッセージを送ります。「同年代の仲間との争いでうまくできるのが世界ではない。本来であれば1人でも2人でも、FIBA U18アジアカップメンバーに飛び級で入っていかなければいけない。そうではない状況に危機感を持って欲しい」と伝えます。先月、北海道で開催された男子日本代表の「日本生命カップ2024」で対戦したオーストラリア代表の220cm、Rocco Zikarsky選手は17歳、今春にドイツで開催されたシュバイツァートーナメントにも出場していました。「それが世界である。今、日本代表の最年少は20歳のジェイコブス晶選手だが、けっして若くはない。高校世代の選手が吸い上げられて、選手選考の中で切磋琢磨していなければならない」と常田チームリーダーは強調し、ターゲット世代だけではなく、その上を目指すように促します。

 練習試合を行う機会も希であるアンダーカテゴリーにおいて、映像や言葉で伝えるしかありません。相手は大きく、どのポジションでもミスマッチになるからこそ、マルティネスヘッドコーチが求めるパスの精度、ボックスアウトやルーズボールの徹底、そして自ら身体をぶつけてフィジカルにプレーすることなどなど、普段はできているプレーが通用しないことを念頭に、常に世界基準を意識して取り組まなければなりません。そのきっかけを与えるエントリーキャンプであり、意図が伝わった選手が日・韓・中ジュニア交流競技会出場のチャンスをつかむことができます。