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女子U18/U17日本代表:エントリーキャンプレポート「バスケは自分が出した判断を正解にしていくスポーツ」藪内夏美ヘッドコーチ

2024年3月11日

田中こころ選手はキャプテンシーを発揮

昨年のFIBA U16アジア選手権でドライブの強みを発見できた後藤音羽選手

 2024年、女子アンダーカテゴリーは3つの国際大会へ出場します。6月の「FIBA U18女子アジアカップ」(中国・深圳)を皮切りに、7月はメキシコにて「FIBA U17女子ワールドカップ」、そして8月には「日・韓・中ジュニア交流競技会」が韓国でそれぞれ開催される予定です。3月8日〜10日の期間、味の素ナショナルスポーツセンターにて各大会へ向けた強化と候補選手の選考を兼ねたエントリーキャンプが、女子U18/U17日本代表チームの合同で実施しました。

 招集された44人のうち約半分の選手は、昨年のFIBA U16アジア選手権をはじめとした国際大会への出場経験があります。しかし残る半分には、はじめて海外の選手との対戦をイメージさせるため、「昨年の女子U16日本代表チームが練習してきた考え方を最低基準とし、ディフェンスでもオフェンスでもどれだけお互いが戦えるかをテーマに、選手全員に同じ認識を持ってもらった上でスタートしました」と藪内夏美ヘッドコーチは強化しています。

 昨年のFIBA U16アジア選手権で準優勝し、世界への切符をつかんだ後藤音羽選手(浜松開誠館高校2年)。その経験を踏まえ、「もっとディフェンスをハードにできるようにし、チームとしての約束事も増えたので、それを徹底していきたいです」と課題を持って取り組んでいます。予選グループフェーズで中国に勝利し、決勝ではオーストラリアに敗れましたが後藤選手は平均的に高いスタッツを残し、効率良く活躍したEFFICIENCYは15.8、また出場している間の得失点+/-は+25点を記録したトップパフォーマーです。「ドライブが通用し、それが自分の強みだと分かりました。チームとしては特別なスコアラーがいないので、全員で攻めることを意識していました」と自信をつかんで世界へ羽ばたきます。

 FIBA U17女子ワールドカップへ出場できるのは2007年生まれ以下の選手であり、選考メンバーは絞られます。しかし、FIBA U18女子アジアカップには44人全員にチャンスがあります。意図的に学年に関係なくチーム分けやマッチアップをさせた藪内ヘッドコーチは、「いろんな特性のある選手とチームを組むことで刺激を受けたり、与えたりすることができます」という反応も見極めていました。

 最年長となる2006年早生まれの高校3年生の中には、2年前のFIBA U16女子アジア選手権やFIBA U17女子ワールドカップへ出場した選手もいます。コロナ禍によってアジア予選が延期されたことで半月ほどの間にその2大会が続いたため、選手を入れ替え臨まなければなりませんでした。アジア予選しか出場できなかった田中こころ選手(桜花学園高校3年)は「早生まれで、またチャンスを与えられたのはうれしいです。まずはメンバーに残って今度こそ世界と戦えるように、ワクワクした気持ちでいっぱいです」と話し、勝ち進めば2年間続く最後のアンダーカテゴリーに胸を高鳴らせています。

 田中選手は、キャプテンとして桜花学園高校を束ねてき経験を発揮し、「普段は一緒にバスケをすることのない選手たちと5on5をするので、いつも以上にコミュニケーションを取っていかなければいけないです。意識的に5人の中で話すようにしていました」。はじめて合宿に臨み、緊張する選手たちに対して「自分だけが話すのではなく、どう思った?と問いかけるように意識していました」と話すきっかけを与えるテクニックを披露し、田中選手のチームは常に活気がありました。

 パリ2024オリンピック出場が決まった女子日本代表の恩塚亨ヘッドコーチが掲げるスタイルを踏襲し、これまで同様に一気通貫の強化を図っています。藪内ヘッドコーチも同様に、以下のような選手を求めており、そこが選考のポイントとなっています。

「どうしてもゲームをした後は、準備していたプレーがうまくできなかったとか、もう少し強く速くセットプレーをすれば良かったという反省が多いです。でも、女子日本代表では壊し合うことを求めており、相手に壊されたときこそ1番強いものを準備しておかなければ、ゲーム中に困るのは選手たちです。お互いが壊し合う中で、どれだけ1番良いプレーが出せるか、そのために良い判断ができるかを大切にしています。バスケは自分が出した判断を正解にしていくスポーツだと思っています。それを分かりやすい表現方法で伝えました」

 エントリーキャンプを終えて選手選考を行い、次回よりジョーダンブランドのウェアを支給された候補選手たちによる本格的な強化合宿がはじまります。