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女子日本代表:OQTへ向けたコンセプトは「走り切るシューター軍団」
2024年1月12日
新しいことに向かうチャレンジが好きな吉田亜沙美選手
“新しいエブリン”として日本代表活動に戻って来た馬瓜選手
「FIBA女子オリンピック世界最終予選 〜FIBA Women’s Olympic Qualifying Tournaments 2024〜」(以下OQT)まで、あと27日(2月8日よりハンガリーにて開幕)。女子日本代表は、1月10日(水)より味の素ナショナルトレーニングセンターにて強化合宿がスタート。初日から激しい5on5練習が行われ、パリ2024オリンピックの切符獲得を目指し、強度の高い強化を進めています。
昨年10月5日、OQTの組み合わせが決まってから恩塚亨ヘッドコーチは、スタッフ陣と一緒に「200時間以上、対戦相手のワンプレーワンプレーをクリップして見てきました。ピック&ロールやポストアップのシーンなどをすべて並べてチェックし、相手の強みと弱みを整理し尽くした中で必要なことを、この合宿の中で落とし込んでいます」と用意周到に準備してきました。スペイン、ハンガリー、カナダの3チームと対戦し、4チーム中上位3チームがオリンピックへの出場権を得られます。対戦相手を分析しながら導き出したコンセプトが、「走り切るシューター軍団」です。恩塚ヘッドコーチはこう説明します。
「日本の強みを最大限に発揮し、競争の優位性も発揮できるポイントを考えて選手選考をしました。チームプレーにコミットできる選手たちが素早く動くことができ、シュート力もあって戦い抜ける、これが日本の強みだと思っています。この強みをいかに出していくためには、日本のバスケとはどういうものかも確認しました。いかにスピードを出していくか、いかに先手を取っていくか、いかに相手が準備する前に予期していない裏を突いて攻められるかなど、具体的なプレーを練習では取り入れています。自分たちのバスケをすれば勝てるというほど、世界は甘くないと思っています。どういうときに自分たちのバスケができなくなるかも洗い出して、そのパターンやそ傾向あるいは必要な技術もピックアップして、優先順位をつけてトレーニングしています」
このコンセプトに対し、林咲希キャプテン(富士通レッドウェーブ)は「長所を突き詰めてやるべきことが明確になったので、プレーしやすくなったと思います。今まで恩塚ヘッドコーチと一緒にバスケをしてきた選手たちは、もう流れが分かっている中で本当にそこを目指すだけです。そのためにシュート率を上げることもそうですが、フィジカルやスキルも上げなければ絶対に勝てないと思っています」と迷いがなくなりました。チームとして精度を高めるために、「自分が先頭を切ってミスを絶対になくさなければいけないことは、伝えていきたいです。疲れてきたときに集中力や雰囲気が下がることも絶対にありますが、そこを落とさないように気をつけていきたいです」と練習中からチームの士気を高めています。
今シーズンよりWリーグに復帰した吉田亜沙美選手(アイシン ウイングス)と馬瓜エブリン選手(デンソー アイリス)が、女子日本代表活動に戻って来ました。懐かしさを感じるとともに、「新しいエブリンとして、今ここに立っています」と1年間の充電期間で得た経験を日本代表にも発揮しています。「走り切るシューター軍団」のインサイドととして期待されており、「世界に比べてサイズは本当に小さいですが、走り負けないことが生命線になってきます。デンソーでも先頭を切って走っていることを、日本代表でも出していきたいです」と述べ、皇后杯初優勝に導いたプレーでアピールします。
練習を終えて、「しんどい」とつぶやく吉田選手ですが、それ以上に「楽しいというのが一番に来ます」と笑顔が絶えません。その原動力は、「いろんなチームの選手と一緒にバスケができるのが今は楽しいです。恩塚ヘッドコーチになってから初の代表招集であり、覚えることもたくさんありますが、新しいことに向かうチャレンジが私自身は好きなので、すごく楽しいです」と意欲を燃やしています。
当初、恩塚ヘッドコーチは吉田選手のコンディションを心配していました。しかし、Wリーグでシックスマンとして活躍し、「シュート力も上がっており、シューターへ供給できるパスの質が素晴らしい」と評価し、2020年2月に行われた前回OQT以来となる女子日本代表入りを目指します。
1月14日(日)には「WリーグSUPERGAMES ~To the World~」が高崎アリーナで開催されます。復帰組にとっては、久しぶりに日の丸をつけてファンの前に登場する機会となります。「この年になっても日本代表でバスケットができることを示したいですし、いろんな人に自分がバスケットをすることで夢とか希望とか、自分もやれるんだということを伝えていきたいと思います」と吉田選手は楽しみにしていました。紅白戦を公開するのも希有な機会であり、多くのファンの皆さんの前で「走り切るシューター軍団」をはじめてお披露目します。