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FIBA U19女子ワールドカップ 2021:[9位決定戦]日本68-62フランス/順位決定戦を3連勝し、9位で閉幕

2021年8月16日

順位決定戦を3連勝し、9位となった女子U19日本代表チーム

国際試合での課題も明確になり、さらに上を目指す平下愛佳選手

 「FIBA U19 女子バスケットボールワールドカップ2021(ハンガリー)」は最終日。9位決定戦で、FIBAユースランキング3位の強豪フランスと対戦(※日本は11位)。これまでの2戦とは違い、シュートがなかなか決まらない場面もありましたが、ディフェンスとリバウンドで粘った日本が68-62で逃げ切り、最終戦を勝利で飾りました。

 フランスに対し、藪内夏美ヘッドコーチは「セットプレーの精度が高く、手強い相手」と警戒します。日本には粟谷真帆選手 (182㎝ / 筑波大学1年)と田中平和選手 (181㎝ / 白鷗大学2年)の2人しか180cm台がいませんが、フランスは12人中11人が180cmオーバーと大きな相手です。「特にビッグマンのところをしっかり守るように」と藪内ヘッドコーチは指示し、インサイドを固めます。それが功を奏し、リバウンド数ではフランスを34本に抑え、逆に日本は43本で上回ります。リバウンドを取れたことで、「そこから走っていく日本のスタイルを出すことができ、良い流れになっていました」とコート上の林 真帆選手 (東京医療保健大学2年)も実感し、勝利につなげることができました。

 これが日本の戦い方であり、東京2020オリンピックで銀メダルを獲得した女子日本代表のスタイルを継承した本来の女子U19日本代表の姿です。しかし、コロナ禍により合宿期間は限られ、練習試合もできず、藪内ヘッドコーチが言うように「経験のないままのワールドカップは、日本にとってはかなり厳しい状況ではありました」。予選ラウンドではチームとしての連携が取れておらず、また海外の大きな相手に戸惑うこともありました。林選手は「予選で勝ちきれなかった試合は、第4クォーターの最後に足が止まってしまい、誰かがボールを持っていて結局タフシュートを打たされてしまっていました」と振り返ります。

 しかし、順位決定戦にまわったこの3試合は練習してきた形を出せたことで、3連勝することができました。Round of 16でのスペイン戦後、「しっかり勝ち切ろうとみんなで話し合い、最後まで走って日本のバスケットができたことがすごい成長した部分です」と林選手も手応えを感じています。藪内ヘッドコーチは、「エネルギーが最後の最後まで途切れなかったことがこのチームの強みでした」と述べ、その要因としては選手たちの仲の良さが挙げられます。「もしかすると、スタッフのチームワークが選手たちに伝染したかもしれませんね」と藪内ヘッドコーチは笑っていましたが、コーチ陣が常に明るくこのチームを照らし続けたことで、選手たちも下を向くことなく常にポジティブに挑んだ結果です。

 フランス戦で23点 / 9リバウンドの活躍を見せた平下愛佳選手 (トヨタ自動車 アンテロープス)。「日本のスピードあるバスケットが、最後のフランス戦でもすごく通用しました。チーム全員で日本のバスケットができたことがすごく良かったです」と勝利で終えたことを喜びます。今大会中、身長が大きな相手に何度もブロックされた経験は、なかなかWリーグでも味わうことができません。「シュートの種類や単純なシュートミスが今後に向けた課題になりました。しっかりディフェンスに当たってシュートに行くなど細かい部分をこれから成長していきたいです」と話し、今後も世界を意識し、その先にある女子日本代表を目指します。

 大学生たちは、来年に延期となった「FISU ワールドユニバーシティゲームズ (中国 / 成都)」の国際試合があり、下級生ではありますがそこがひとつの目標になります。平下選手と三田七南選手 (ENEOSサンフラワーズ)らWリーグ勢にとって、次は女子日本代表です。赤穂ひまわり選手(デンソーアイリス)や東藤なな子選手(トヨタ紡織サンシャインラビッツ)も、FIBA 女子U19ワールドカップを経て、女子日本代表に招集されました。藪内ヘッドコーチは、「国内で培える良い部分もありますが、一方で国際試合に向けて完全にシフトしなければならない部分もあります。そのシフトを切り替えられる選手が、今後も上のカテゴリーに行っても通用すると思います」と話しており、今後の活躍を願っています。

 このチームを作るにあたり、東藤選手ら前回大会出場メンバーからアドバイスをいただき、経験できない部分を補いながら準備してきました。今度はこのメンバーが「感じたことをしっかりとまとめて、次の世代の選手たちに託す仕事があります」と藪内ヘッドコーチは言い、一気通貫の強化を進めながら、オリンピックで金メダルを目指す女子日本代表を今後も底上げしていきます。

■最終順位
優 勝:アメリカ
準優勝:オーストラリア
第3位:ハンガリー
第4位:マリ
第5位:カナダ
第6位:チェコ
第7位:スペイン
第8位:ロシア
第9位:日本
第10位:フランス
第11位:イタリア
第12位:エジプト
第13位:韓国
第14位:チャイニーズ・タイペイ
第15位:アルゼンチン
第16位:ブラジル