ニュース

男子U19日本代表:第2次強化合宿 活動報告「もっと理解して試合でも使えるようになりたい」川島悠翔選手

2021年4月19日

3ポイントシュートを積極的に打ち、高確率で決めていた浅井英矢選手

最年少の川島悠翔選手は

 先月のエントリーキャンプを経て、19名に絞られた2021年度バスケットボール男子U19日本代表チームは4月16日(金)~18日(日) の期間、 第2次強化合宿を実施。7月3日よりラトビアにて開催予定の「FIBA U19 バスケットボール ワールドカップ2021(以下U19ワールドカップ)」へ向け、オフェンスを中心とした本格的な強化がスタートしました。

 前回のトランジションオフェンスに続き、「今回はハーフコートオフェンスでしっかり組み立てるために、4つのフォーメーションを一気に増やしました」という佐古賢一ヘッドコーチは、世界に挑むための準備を行っています。細かい部分を突き詰めながら、高い精度を求めています。合わせて、ミスを恐れずに思いっきりチャレンジすることを強調し、選手自身のひらめきで打開するプレーも見られました。

 大学生たちは第70回関東大学バスケットボール選手権大会がまもなく開幕し、高校生たちもインターハイ予選へ向けて、コンディションが上がる季節です。サイズアップして世界に挑む男子U19日本代表であり、所属チームとはポジションが異なる選手も多いのも特徴です。「日本代表では戦い方も心構えも違う。このチームでは世界と戦うためにも激しさを全面に出して、ファウルを恐れずにしっかりとコンタクトをしていこう」と佐古ヘッドコーチは常に選手たちに伝え、意識もプレースタイルも変えて順応しなければなりません。

 普段はパワーフォワードの米山ジャバ偉生選手(専修大学2年)ですが、「このチームでは3番ポジション(スモールフォワード)でプレーすることも多く、ピックを積極的に使ったり、スペーシングを意識しています」といつもとは違うプレーが求められます。しかし、「よりボールを多く触れるので楽しいです」と生き生きとプレーし、豪快なダンクを何本も決めていました。

 過去2度の日・韓・中ジュニア交流競技会に出場した米山選手は、「試合の出だしなどは、相手に圧倒されて引き気味になってしまいました」という経験があります。それを踏まえ、「自分たちからアタックして行けるように、日々の練習から積極的にプレーするようにしています」と話し、チームを引っ張ってくれています。

 浅井英矢選手(筑波大学1年)は、確率よく3ポイントシュートを決めてアピールしていました。U16日本代表候補として初選出された北筑高校2年生のときは190cmでしたが、そこから7cmも身長が伸び、比例してプレーも見違えるような成長を見せています。「打てるところはどんどん打っていきたいです」と自信を持って臨む浅井選手は、スモールフォワードとして期待されます。最終メンバーに残るためにも、「まだハンドリングやドライブでのコンタクトは弱い部分があるので、そこは練習していかなければいけないです」という課題もあり、残り少ない期間でさらなる成長を目指します。

 2018年11月から、佐古ヘッドコーチがアンダーカテゴリーを統括し、一気通貫の強化体制を構築してきました。『チーム全員がペリメーター』というスタイルを掲げ、サイズアップやボジションアップに取り組んできたことで、「チームになりはじめているというのはすごく感じています。理解度の高い選手が、それをチームで共有しようという努力がこの世代になれば出てきます」。約2年半の間、大会こそ開催されませんでしたが、長い期間を一緒にチャレンジしてきたことでチームがひとつになってきました。

 次世代につながる一気通貫の強化も視野に入れる佐古ヘッドコーチですが、コロナ禍によりなかなか実現できずにきました。ようやく今合宿より、介川アンソニー翔選手(開志国際高等学校2年)と川島悠翔選手(福岡大学附属大濠高等学校1年)の2人を飛び級で追加招集し、「二人とも能力が高いです。経験値こそまだないですが、バスケIQが高く、理解度もかなり早い。アンソニーはU18日本代表、川島はU16日本代表のリーダーとなるだけのものを持っており、期待値としてはかなり高いです」と評価します。合宿初参加にも関わらず、二人とも積極的にゴールへ向かい、ダンクを披露していました。

 最年少の川島選手は最初の練習を終え、「セットプレーが多く、頭を使ってプレーしなければいけなかったので、その辺りは難しいと感じました」という感想を持ちます。プレーブックを見ながら入念に準備し、分からなければまわりの先輩たちへ積極的に質問をしたことで、スムーズに練習に参加できていました。川島選手自身は、「試合になればガードがフォーメーションをコールしたときに、瞬時に反応しなければなりません。今はまだパッと頭で理解することが追いついていないので、そこはもっと理解して試合でも使えるようになりたいです」と貪欲に取り組み、最終メンバーに残るために意欲を燃やしています。

 既報通り、3月30日にFIBA殿堂に選出された佐古ヘッドコーチ。現役時代は日の丸を背負い、世界の高い壁に何度も挑んできましたが、目標としていたオリンピック出場は叶えられませんでした。男子日本代表のアシスタントコーチも兼務する今、自らの経験を伝えることを使命と考え、後進の育成に全力を注いでいます。

「我々が経験したものは全て伝え、さらに新しいものを上乗せしていくことはずっと続けていくべきです。今、日本代表に携わっているからこそ、現役当時の考えや思いを伝えていくべきだと思っています。自分ができることを背伸びをするわけではなく、素直に伝えていくだけです。それに対し、受け取った選手がどう解釈し、今の時代につなげていくかが大事になると思っています。ここだけはぶらさずに今後も続けていきたいです。日本代表アシスタントコーチとして時代の最先端のバスケットを見て、感じて、いろいろと学ぶものがあります。そこをうまくリンクさせたものをこの若い世代に伝え、早くからトライさせる環境の中でメンタルの部分も育てていかなければいけません。今はアンダーカテゴリーから日本代表まで全てに接する機会をいただいているので、ここで携わっている若い世代を日本代表へと直結させたい思いが強いです」