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FIBA女子アジアカップ総括:「次はドライブが通用する」宮澤夕貴選手
2019年10月3日
攻守に渡って活躍した宮澤夕貴選手はオールスター5を受賞
宮澤夕貴選手はチームハイとなる12本の3Pシュートを成功
「4連覇を継続できていることは自信につながりますし、うれしく思います」と帰国後の記者会見でコメントを残した宮澤夕貴選手(JX-ENEOSサンフラワーズ)は唯一、2013年以降に優勝した4度全ての「FIBA女子アジアカップ」に出場しました。
最初に優勝した2013年はWリーグのルーキーシーズンを終えた年。当時の内海知秀ヘッドコーチ(現レバンガ北海道ヘッドコーチ)が「連戦になってくることで渡嘉敷(来夢)らインサイド陣の体力的な部分をケアしなければならず、そういう意味では宮澤はバックアップとして成長しています」と言うように、控えのパワーフォワードでした。
続く2015年よりポジションアップし、「3番(スモールフォワード)としてどこまでできるかを挑戦したいです」と語って臨み、インド戦ではじめて3Pシュートを決めます。この年、アジアチャンピオンとなった日本は3大会ぶりにリオデジャネイロオリンピックへの出場権を獲得。宮澤選手にとってもひとつの夢が叶った瞬間です。
「率直にうれしかったです。タクさん(※渡嘉敷選手のコートネーム)からパスが来て『やばい、3Pシュートを打てる』と思って打ったら決まりました。練習してきてよかったなという思いと、ただただうれしかったです」
興奮気味にこう話していたのは、リオデジャネイロオリンピックでの最終戦となった準々決勝・アメリカ戦直後のこと。第4クォーター残り6分34秒、世界No.1チームを相手にコートに立つ機会がやってきました。その22秒後、最初に放った3Pシュートを決めた宮澤選手は、シューターとして開花しはじめます。
3連覇を成し遂げた前回大会(2017年)は「自分の役割が3Pシュートを打つことであり、今まで練習してきたので自信を持って打つこともできました。大会を通して確率が良かったかは分かりませんが、決められことは自信になりました」と本格的にシューターとして臨み、大きく前進します。2015年FIBA女子アジアカップと2016年オリンピックはいずれも1/2本でしたが、この年は10/25本と3Pシュートを打つ機会が一気に増え、40%の高確率で決めたことでその地位を確立しました。
宮澤選手が先発の座をつかんだのは、昨年のFIBA女子ワールドカップからです。十分なプレータイムを与えられたことで平均15点、8.8リバウンドはいずれもチームハイの活躍。3Pシュートは14/38本と前年のFIBA女子アジアカップの6試合より少ない4試合だったにも関わらず、大幅にその数字を伸ばしました。体調不良で初戦を欠場した今大会でも12/28本(42.9%)を成功させる活躍を見せます。4連覇した6年の間にポジションが変わり、プレータイムや役割の変化があった中でも着実に成長し、オールスター5受賞はその証と言えます。
昨年のFIBA女子ワールドカップへ行く前、「まずはシューターとして確立したいです。ドライブは2年後にやりたいことであり、今はとにかくシューターとして活躍すること。そこが決まれば自ずとディフェンスが出てくるので、次はドライブが通用すると思っています」とこの2年間は3Pシュートに特化し、数字を残してきました。2020年東京オリンピックから逆算し、「今はシューターとして3Pシュートを打っていれば良いとなっていますが、オリンピックではそうはいかなくなるので、次はそこ」とドライブに着手する段階に入っています。
今大会でも中国との決勝戦を通じて、「最後にドライブしたときにワンステップでシュートを打ったら、ビッグマン相手に決めることができ、こういう風に打てば良いんだと思いました。途中、いくら2ステップしてバックシュートに行っても相手にチェックされ、逆にこれでは通用しないことも分かりました」と競った展開の中でも冷静にトライ&エラーを繰り返していた宮澤選手。ドライブのきっかけをつかめたことで、「少しは成長した点かなと思います」とまた一歩、理想型に近づいています。
はじめて日本代表に選出された2013年は東京オリンピック開催が決まった年でした。その直後に行われた合宿で、「楽しみです。その時に選ばれないと意味がないので、それまでに力をつけて活躍できるような選手になりたいです。ひとつ大きな目標ができたので、それまでにどのような選手になりたいのか、そして自分がやるべきことをもう一度考えて行かなければいけません」と話していました。その3年後、最初のオリンピックを経験したあと、「目標は口にしないとダメだよ」と隣にいた渡嘉敷選手からアドバイスを受けた宮澤選手はこう宣言しました。
「3番ポジションで、スタートでコートに立てるようにがんばりたいです!」
東京オリンピックを来年に控える今、すでにその位置にたどり着いています。手応えも課題も見つかった今大会を経て、「目標はオリンピックで金メダルを獲ること。それに向かって自分自身は、もっともっと3Pシュートだけではなく違う面でもレベルアップして、金メダルを獲れるようにがんばりたいです」。あと295日後に迫る本番へ向け11連覇中のWリーグで切磋琢磨しながら、世界で通用する選手として完成形を目指します。