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平成25年度U-18男子トップエンデバー開催報告
2014年3月25日
3月7日(金)~9日(日)の3日間、平成25年度U-18男子トップエンデバーを開催
スクリーンプレイでの攻防
3月7日(金)から9日(日)までの3日間、味の素ナショナルトレーニングセンターにて、平成25年度U-18男子トップエンデバーを開催しました。
開講式で、佐々木 三男テクニカル委員長が口にしたのは「皆さんには男子U-18日本代表、ユニバーシアード日本代表、そして日本代表を目指して頑張ってほしい」ということでした。昨年度から男子のトップエンデバーの位置づけが少し変わってきていると、佐々木委員長は言います。
「これまでのトップエンデバーは“発掘・育成”と“普及”が主な目的で、その先がありませんでした。しかし昨年から強化、つまり男子U-18日本代表との連携を始めることにしました。結果として夏に行なわれる『日・中・韓ジュニア交流競技会』の日本代表にもトップエンデバーから7名の選手が選ばれましたし、平成26年度の同大会にも今回のメンバーの中から選ぶ予定になっています」
むろん発掘・育成や普及を疎かにするというわけではなく、それらにも目を向けつつ、単なる育成だけの事業から卒業し、強化を踏まえて育成をしていく。普及に関しては地方ブロックが中心になってやっていく、という考え方に変えようとしているのです。佐々木委員長は続けます。
「すべての選手が日本代表になれるわけではなく、その多くは淘汰されるわけですが、それでも『トップエンデバーに選ばれてよかった』と思えて、なおかつ『より高いレベルにチャレンジしよう』とする意欲を持つことで、選手のバスケットに対する愛情が深まっていくものと考えます。そうすることで、たとえトップに立てなくても、目の肥えたファンとなり、日本のバスケットを大人になってからも応援してくれると思うのです」
多くの選手にチャンスが与えられ、より高みを目指すことで、結果として将来的な普及にもつながっていくというわけです。
練習については、トーステン・ロイブルスポーツディレクターがエンデバーコーチングスタッフとして進めていきました。コーディネーショントレーニングなど基本的なことだけではなく、初日からスクリーンプレイのディフェンスなど実践的なことにも取り組んでいました。これも強化につながるものです。ロイブルコーチは言います。
「このグループ(U-18)は、ファンダメンタルができていないとおかしい年代です。かといって、この合宿で基本の基本をやっている時間はありません。もちろんそれらはもっとうまくできなければなりませんが、この合宿ではわざと競争をさせて、プレッシャーのかかる状況の中でも、それに打ち勝ち、高いエナジーレベルを発揮できるような練習メニューを組んでいます。17歳、18歳といえば、国際レベルで見ればみなプロです。そのギャップを埋めるためにもソフトな練習ではいけないし、基本的すぎてもいけないのです。ペナルティーを課したのも、国際レベルを考えてのことというメッセージでもあったのです」
以前とは異なる、より実践的な合宿に取り組んだ40名の選手たちですが、佐々木委員長、ロイブルコーチの評価はともによいものでした。
「今年度のメンバーはレベルも高く、個性もあります。男子U-18日本代表と競わせてもおもしろいと思える選手もいたほどです」(佐々木委員長)
「動きが複雑になったり、プレッシャーのかかったときの動きはまだまだですが、みんなポジティブで、前向きに練習に取り組んでくれました。特にディフェンスのファンダメンタルは良かったです。各チームでよく練習している証拠だし、やはり日本人の勤勉さ、頑張る姿勢というのは他国よりも優れていると改めて実感できました」(ロイブルコーチ)
参加した選手たちも手ごたえを感じていました。今年度(平成25年度)の高校男子バスケット界で上位に位置した福岡県・福岡大学附属大濠高校 2年の松尾 啓輔選手は、多くの練習が自チームでやっているものと似ていると言う一方で「ロイブルコーチの練習はプラスアルファしたものもあり、うまく飲み込むことができました。ここから『日・中・韓』のメンバーに入りたいと思います」と意気込んでいました。
また、40名の受講者のなかで一番身長の小さい(165センチ)、愛知県・中部大学第一高校 1年の遠藤 和希選手は「周りは大きい選手ばかりで、そのなかでやっていけるのか不安もありましたが、自分は身長が低い分、大きい選手にはできないことをやろうという意識で取り組みました」と言います。
北海道・札幌旭丘高校 2年の玉木 祥護選手もまた「いつもやっているチームとは雰囲気も違うし、みんなうまくて、通用しているのか不安なところがあります」と言います。しかし彼は中学まで野球部に所属し、高校からバスケットを始めて2年でトップエンデバーに選出された選手です。「選んでいただいたことには感謝しています。現時点では周りの選手たちに比べると、圧倒的に経験が不足しています。まずはその差を埋められるようにしたいと思っていますし、いずれは彼らを追い越せるように頑張ります」。
さまざまな背景を持つ3人ですが、いずれもより高いレベルを目指して、前に進もうとしています。生まれ変わろうとしているトップエンデバーは、育成と強化とが密接に連携することで、可能性を秘めている選手たちにより強い後押しをしているのです。