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女子U19日本代表:第1次強化合宿 開催報告「コート上で選手たちが解決できるように練習中からコミュニケーションを取ること」東藤なな子選手

2019年4月24日

積極的にコミュニケーションを取り、問題解決を行う東藤なな子選手

昨年選考から漏れた悔しさを糧に努力し、自信を持って臨む伊森可琳選手

 女子U19日本代表チームは17名の候補選手を招集し、4月22日(月)〜24日(水)の期間、第1次強化合宿を実施。「FIBA U19 女子ワールドカップ2019」はすでに組合せが決まり、対戦相手を想定しながらの強化となりました。

 日本はスペイン、ドイツ、コロンビアと同じ『予選グループD』に属します。世界ユースランク2位の強豪スペインとは、前回大会でも対戦。結果は95-71で勝利し、勢いそのままにベスト4という素晴らしい成績を残すことができました。昨年の予選でそのスペインを破り、ヨーロッパを制したのがドイツです。ヨーロッパ1位と2位がいる厳しいグループですが、それらに勝てば前回大会同様に弾みをつけることができます。

 ドイツは190cm台のインサイド陣と遜色ない186cmのシューティングガードと189cmのスモールフォワードがおり、「とにかく大きい。アウトサイド陣も大きいのは脅威です」と萩原美樹子ヘッドコーチは警戒しています。コロンビアとは昨年のFIBA U17女子ワールドカップで対戦し、72-52で勝利したときとほぼ同じメンバーが出場してくることを想定していました。

 世界に出れば気を抜ける試合は一切なく、大きさに加えて走力や技術がある選手ばかりです。そのような相手に対抗するためにも「ヒットファースト」を掲げ、自ら体をぶつけることを厭わないプレーを体に染み込ませています。東藤なな子選手 (トヨタ紡織 サンシャインラビッツ)はアーリーエントリーですでにWリーグを経験し、トップリーグ選手たちの当たりの強さに対し、「すぐに負けてしまいましたが、それも体の使い方次第で変わるということを学びました」。体をぶつけたり、リバウンドは気持ちの部分が大きいと言われます。さらに、萩原ヘッドコーチは「ボックスアウトは技術であり、練習することで感覚を磨くことができる」と伝え、相手を抑える体使いやボールが落ちるタイミングの読みを習得しています。

 昨年の女子U18日本代表ではケガの影響等もあって最終メンバーに残ることが叶わなかった伊森可琳選手 (東京医療保健大学 1年)は、「国際大会で必要な身体の強さやスピードも全然足りてませんでした」と反省点を挙げ、その後も努力を続けたことで自信を持って臨んでいます。同世代とはいえ、大学生にとってはWリーグの選手たちのマッチアップできる機会に対し、「やっぱり体は強いです。合宿中にしっかり守れるようにし、その技術を大学に持ち帰ってさらなるレベルアップにつなげたいです」と刺激を受けていました。

 女子U18日本代表から合宿を継続していることもあり、積極的なコミュニケーションがこのチームの長所です。伊森選手は「練習中に分からないことがあればすぐに聞いて、その場で解決することができています」と言い、短時間で共通理解しながら無駄なくレベルアップできています。東藤選手は「コーチからはコート上で選手たちが解決できることを求められており、練習からコミュニケーションを取るようにしています」と誰もがリーダーシップを執って話し合う光景が各所で見られます。

 「選手たちがコーチの指示を聞き、言われたことを全部やることも大事だとは思います。一方でコーチ陣の考えるゲームプランを理解し、それぞれの強みがある中でチーム内の役割を把握し、さらに今後の理想像が分かって練習したり、試合に臨めるかどうかで成長に対する差が出るのではないかと思います」と萩原ヘッドコーチは選手の自主性を重んじています。近年、女子U18日本代表も女子U16日本代表もアジア予選では準優勝が続き、2012年のFIBA U17 女子世界選手権(現ワールドカップ)と2017年FIBA U19 女子ワールドカップは最高位となる4位となりましたがメダル獲得のチャンスは逃してきました。「当然、負けたのはコーチのせいであり、ベンチワークの向上は絶対です」と前置きした上で、萩原ヘッドコーチは個々の意識向上に期待しています。

「ゲームの流れを読んだり、相手が何をしているかを理解し、それを上回るためにも気持ちの上で相手とぶつかり合う姿勢がないと現状の結果を超えられないのではないかと考えました。技術練習は各所属チームで行っており、代表での短期間では大きな成長は望めません。突き詰めると、選手たちの意識やゲーム中に何を考えているかという部分に着目し、自分で考えてプレーできる選手を作りたいです」

 メダル獲得や優勝という結果だけではなく、育成世代でもあり、次のカテゴリーとなる女子日本代表への架け橋になることが重要です。「選手それぞれが、ここに呼ばれている意味があることを理解し、どういう役割を求められているかを把握した上でプレーできれば自ずと向上します。だからこそ、必然的にコミュニケーションが増えていると言えます」と萩原ヘッドコーチは考えており、選手たちにもしっかりと響いていました。

 次回合宿は5月下旬を予定しており、今合宿で強化したスタイルをWリーグチームに胸を借りながら、実戦で試す段階へと入ります。

■FIBA U19 女子バスケットボールワールドカップ2019 大会概要

【日程】
2019年7月20日(土)〜28日(日) ※9日間

【開催地】
タイ・バンコク

【グループリーグ組み合わせ】
※国名のあとのカッコ内は、FIBAランキング (予選終了時)
グループA:モザンビーク(38)、ラトビア(24)、カナダ(4)、タイ(35)
グループB:マリ(13)、ベルギー(16)、中国(9)、アルゼンチン(12)
グループC:アメリカ(1)、ハンガリー(14)、韓国(15)、オーストラリア(7)
グループD:コロンビア(57)、日本(11) 、ドイツ(28)、スペイン(2)