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平成24年度女子U-17日本代表チーム 第2回FIBA U-17女子世界選手権大会より帰国
2012年8月29日
「第2回FIBA U-17女子バスケットボール世界選手権大会」にて世界4位という過去最高成績を収めた女子U-17日本代表チームは、本日、元気にオランダから帰国しました。帰国後、高橋 雅弘チームリーダーから「君たちは歴史を作った。胸を張って帰ろう」という言葉をいただき、チームは解散しました。
「出来すぎですね」。開口一番、世界4位になった快挙に対して、こう答えた林 慎一郎ヘッドコーチ。世界5位となった前回大会は、その後、高校生にして日本代表に選出された長岡 萌映子選手(富士通レッドウェーブ)や同大会で得点2位、リバウンド4位のスタッツを残した宮澤 夕貴選手(JXサンフラワーズ)をはじめ、今年のWJBLを賑わすであろうスーパースターが多くいた言わば黄金世代でした。そのチームと比較し、「今回のチームは突出した選手がおらず、かなり厳しい」と、昨年のFIBA ASIA U-16女子バスケットボール選手権大会前から常々、林ヘッドコーチは話していました。しかしこのチームは、アジアを制し、世界4位という過去最高の結果を成し遂げてくれました。
世界4位になった要因を伺うと、「やっぱり予選リーグの戦い方が全てだったと思います。初戦から飛ばして、ブラジルを倒せたことが大きかったです。2戦目のオランダに対しても、20点差をつけて勝ちましたが、この試合は前回大会での経験が活きました。予選ラウンドは、後々の順位のことを考えると得失点差も絡んできますので、離せる試合はしっかり点差を離しておかなければいけません。オランダに20点差をつけて勝てたことも大きかったです。そして、スペインに勝ったことで予選1位通過を決め、最後のオーストラリア戦を消化試合にでき、全員を使えたことも良かった点です」と、大会を振り返りました。
準々決勝で対戦したベルギーとは、直前に練習試合を行っていました。「あの試合がとても良くできました。3ピリオド制の短めのゲームでしたが、ヨーロッパ2位のベルギーを相手に10点以上の点差をつけて勝ってしまいました。もしかするといけるのではないか、という思いがチームにも芽生え、手応えを感じて大会に臨むことができました」と、林ヘッドコーチは大会前から良い形で入れたこともまた、この結果につながった要因と言います。ブラジル、スペインと強豪国相手に何か対策を講じたのかと問うと、「いえいえ、これまでと同じく、オールコートで展開してプレッシャーを与えてターンオーバーを狙って速攻に転じる、いつも通りの試合をしたまでです」と淡々と話した林ヘッドコーチ。
林ヘッドコーチが貫いた日本のスタイルについて、「フルコートで走るバスケットは、ヨーロッパにもアメリカにもないスタイルですし、どの国も日本との対戦を嫌がっていました。ディフェンスで前からプレッシャーを仕掛けたことで、最後のカナダ戦でも相手のスローイン時の5秒バイオレーションやショットクロック24秒バイオレーションを何回も取ることができました。選手たちには『とにかくボールを早く回せ、そしてパスを出したら動け、足が止まったら世界では勝てない』と言い続けてきました」。
決勝トーナメントの初戦となる準々決勝は大事な試合であり、今回目標に掲げていた前回大会以上の成績を勝ち取るためにも負けられない一戦。そのベルギー戦を振り返る林ヘッドコーチは、「開幕から6戦目であり、選手たちにも疲れが出てきていました。そして後半に追い上げられ苦しい試合でしたが、何とか逃げ切ることができました。相手はヨーロッパ2位のプライドもあり、厳しい戦いになりました。準々決勝の壁を越すことが今回の目標でもありましたので、何とか勝ってファイナル4に行けたことは本当に良かったです」。林ヘッドコーチにとっても経験のない未知の戦いとなる準決勝、スペイン戦、「スペイン戦は完全に負けました。山田(愛)にフェイスガードされたり、中村(優花)を抑えたり、あの試合だけは日本の力を出せなかったですし、相手がきっちり対応してきました」。メダルを賭けた3位決定戦、カナダ戦については、「本当にメダルを獲りかけていました。カナダは今大会において平均身長が一番高いです(※日本174cmに対しカナダは184cmと10cm高いチーム)。スターター3人が190cm以上あり、井澗(172cm)が20cmも高い193cmの選手をマークしました。最後はセカンドショットでやられてしまいましたが、それでも選手たちは、ボックスアウトを一生懸命やっていました。でも獲れない姿は、見ていてかわいそうなほどでした。最後の最後まで苦しめたのですが敗れ、全員が大泣きしていました。あの試合を勝たせてあげられなかったのは僕の反省点です」と、激闘が続いた決勝トーナメント3試合を振り返っていただきました。
昨年2011年1月、このチームとして初めての海外遠征となったオーストラリアの地で、クラブチームなどに快勝していくも、最後にオーストラリアの強化チームであるAISに大差で敗れ、悔し涙を見せた選手たち。そのチームがアジアを制し、世界4位にまで成長したわけです。「それだけ選手たちは強くなっていったと実感しています。前回と違ってスーパースターがいないチームですが、選手たちはよく戦ってくれました。よく頑張ってくれました。上出来ですよ」と林ヘッドコーチは、「上出来」と言う言葉で締めました。その上出来な快挙を成し遂げてくれた12名の選手たちに、大会の感想を伺いましたのでご紹介いたします。
■#4 中村 優花選手(柴田女子高校 3年) ※大会ベスト5受賞
ベスト5はとてもうれしかったです。また、ベスト5に選出された他の選手たちとも仲良くなることもできました。他の国の同じポジションの選手に比べたら身長は低いにも関わらず、評価していただいたこともうれしかったです。自分に少し自信を持つことができましたし、何よりも今後の目標を大きく持つことができました。今後の目標は、オリンピックで今回負けた相手を倒したいです。
■#5 畠中 春香選手(大阪薫英女学院高校 3年)
この最高のチームで、こんな良い成績を残すことができ、とてもうれしいです。でも、だからこそこのチームでメダルをかけて日本に帰ってくることができず、すごく悔しいです。もっともっと上手くなって、オリンピックに出たいです。
■#6 馬瓜 エブリン選手(桜花学園高校 2年) ※大会ベスト5受賞
まさか自分がベスト5に選ばれるとは思ってもいませんでしたので、ビックリしました。それに4位の日本から中村選手とともに2人も選ばれたことは、このチームが世界に認められたんだな、と感じました。次、世界のチームと対戦する時には、必ず勝って終われるように、これからも高校バスケで頑張っていきます。
■#7 永井 菜摘選手(県立足羽高校 2年)
今回、世界ベスト4という良い経験ができました。この経験をチームに持ち帰ってみんなに伝えたいですし、自分のシュート力、スピード力がまだ全然通用しないとも思いました。これからの課題として、また日本代表に選ばれて世界に挑戦できるように頑張ります。
■#8 山田 愛選手(桜花学園高校 2年)
良い試合がたくさんあり、林ヘッドコーチがいつも言っていた「12人全員で戦うバスケット」ができました。決勝トーナメントでのスペインとカナダに負けたことはすごく悔しかったです。優勝するつもりでいました。でも、悪いことばかりではなく、いろんな課題が見つかりましたので、これからもっと頑張ろうという思いを強く持たせてくれた大会でした。
■#9 宮崎 早織選手(聖カタリナ女子高校 2年)
世界4位とすごい結果を残したのですが、やっぱり悔しいです。うれしい反面、悔しいという感じがしています。他の試合も全員で戦ってはいましたが、やっぱりスペインに勝った試合は、「12人で戦った」という実感があります。今回学んだ高さの壁と、フィジカルの強さを、これからも活かして頑張っていきたいです。
■#10 森田 菜奈枝選手(桜花学園高校 2年)
怪我をした萩尾に代わって今大会に出させてもらいました。試合に出た時は、「萩尾の分まで頑張ろう」と思って戦っていました。メダルを獲ることはできませんでしたが、過去の成績を上回ることができ、本当にうれしかったです。でも、あと1歩届かなかった悔しさはこれからの高校生活に活かして、さらに頑張ろうと思います。
■#11 井澗 絢音選手(桜花学園高校 2年)
メダルを獲れなくて本当に悔しいけど、でも、本当にバスケが楽しいって思えましたし、このチームで4位になれて良かったです。この経験を活かして、もっと思い切ってプレイしたり、ディフェンスを頑張ったり、大事な場面でちゃんとチームを助けられる選手になりたいです。そして、もっと走ること。上を、上を目指して頑張ります。
■#12 赤穂 さくら選手(昭和学院高校 1年)
4位という結果はうれしいですが、悔しい気持ちの方が大きいです。あと少しというのにメダルに手が届かなかったので、その悔しさをバネにして、これからのバスケットボール人生に活かしていきたいです。今大会はとても良い経験ができました。メンタル面も技術面でも、もっと強くなって、オリンピックでメダルを獲れるように頑張っていきたいです。
■#13 三木 里紗選手(県立足羽高校 1年)
こんなすごいチームの一員として自分も一緒に戦えたことをすごく幸せに思います。毎試合、いつも感動していました。誰もが悔しい思いをしたと思いますが、自分の中ではどこにも負けていなかったと思っています。チームワークは世界一です。本当に貴重な経験をさせてもらった先生方をはじめ、11人の仲間に感謝したいです。
■#14 田中 真美子選手(東京成徳大学高校 1年)
オーストラリア戦で、たくさん出場時間をもらえたのは、予選1位通過を決めた先輩たちやスタッフの皆さんのおかげですので、感謝したいです。その予選1位を決めたスペイン戦では、先輩たちの素晴らしいプレイとチームがひとつになって勝った試合でした。本当に感動しました。ここで学んだことを忘れず、これからも頑張っていきたいです。
■#15 加藤 優希選手(桜花学園高校 1年)
悔しかったですけど、すごい貴重な経験ができました。このチームで学んだこと、感じたことはたくさんありました。自分なりに、自分らしく、今大会で体感したことを、仲間とともに活かしていきたいです。将来は、人に感動を与え、見る人を魅了するようなプレイヤーになりたいです。
メダル獲得には至りませんでしたが、過去最高の“世界4位”の成績を残した女子U-17日本代表チームは、素晴らしい活躍をしてくれました。選手たちは世界4位になったことを自信として、さらなる活躍と成長を期待するとともに、日本代表メンバーとして戻って来ることも楽しみにしています。大会期間中、ご声援いただきまして、ありがとうございました。