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バスケットボール女子ナショナルチーム合同キャンプ2017 開催報告

2017年12月13日

東京成徳大学高校出身、女子ユニバーシアード日本代表の田中 真美子選手(右)は憧れの先輩・大﨑 佑圭選手(中)にアドバイスを志願

3番ポジションにコンバートした先輩たちの体験談に刺激を受けた女子U19日本代表チームの赤穂 ひまわり選手

 今年度の国際大会でアジア3連覇を達成した「AKATSUKI FIVE」女子日本代表チームと、50年ぶりに銀メダルを獲得した女子ユニバーシアード日本代表チーム、そして史上初の世界4強入りを果たした女子U19日本代表チームの3カテゴリーを一同に招集。女子日本代表を含めたカテゴリーの枠を越えた初の試みである「バスケットボール女子ナショナルチーム合同キャンプ2017」を、12月11日(月)~12日(火)の期間、味の素ナショナルトレーニングセンターで実施しました。

 女子日本代表チームが目指す「Japan’s Way」や「チームジャパンとしての意識づけ」を共有し、一貫性を持った強化を担うことが大きな目的です。トム・ホーバスヘッドコーチが就任時に掲げたフィロソフィーであり、Japan’s Wayは全てのカテゴリーにとっても変わりはありません。

『Out work(鍛え)』日本では一生懸命練習することは当たり前であり、これは世界よりも秀でている点
『Out think(考え)』考えるバスケットボールが必要
『Out play(戦い抜く)』 試合中に緊張したり、考えすぎて足が動かなかったりせず、とにかく自分の力を出し切ってチームプレイに徹すること
『Play as One(チーム一丸)』日本が世界で勝つためにもチーム一丸となって戦わなければならない
『Relentless(不屈)』 絶対に負けないために、オフェンスもディフェンスもトランジションも40分間止まらないしつこいバスケットをやり抜く

 以上を念頭に置きながら、今回はオフェンスやディフェンスのスタイルに関する細かい技術を伝達。ホーバスヘッドコーチの指導に対し、女子日本代表選手たちがデモンストレーションを行いながら、女子ユニバーシアード日本代表選手と女子U19日本代表選手たちにアドバイスを送ります。この試みに対してホーバスヘッドコーチは、「所属チームに戻っている女子日本代表選手たちにとっては復習が必要であり、今回は教えることによって確認することができました。また、教わった若い選手たちは憧れの選手たちから教わることですごく喜んでいました。カテゴリーは違いますが、みんなが同じ目標に向かっている家族です。このキャンプは短かったですが、すごく良かったです」と満足のいく2日間となりました。

 女子日本代表が目指すスタイルをアンダーカテゴリーまで一貫性を持たせることで、「同じベースや基本が分かってくれることで、今後、女子日本代表に入ってもスムーズにレベルアップできるようにしたいと思いました」とホーバスヘッドコーチはその意図を説明。
 女子ユニバーシアード日本代表チームの佐藤 智信ヘッドコーチも、「ホーバスヘッドコーチの考えるバスケットボールやそれに対する用語、ディフェンスやオフェンスのシステムに一貫性を持たせることができます。我々も女子日本代表の練習を見て、それに寄せてはいましたが、このキャンプでより明確になりました。今後、選手たちが女子日本代表に上がっていくための過程を示してくれました」と選手ともとも刺激を受けています。
 同じく女子U19日本代表チームの萩原 美樹子ヘッドコーチも、「ホーバスヘッドコーチのバスケットと同じことを私たちも当然目指していました。なかなかうまくはいきませんでしたが、今回の合同練習により女子日本代表でも要求されることは同じことであることを選手たちは分かったと思います。それはすごく良かったです」と確認できたことで、確信に変わる機会でもありました。

 初日の夜には女子日本代表選手からのスピーチや各ポジションに別れて意見交換が行われ、女子日本代表チームの吉田 亜沙美キャプテンは、以下のメッセージを後輩たちに送りました。
「中途半端な気持ちでこの日本代表ウェアを着てほしくはない。日本を背負っている自覚や責任を持って、今後もバスケットに取り組んでほしい。オリンピックで金メダルを獲ることを日本全体としての最終目標にしたい。そのためにも日本の選手全員が同じ目標に向かわないとレベルアップはできない。常にみんなが日本代表に選ばれる、東京オリンピックに向かっているという強い意識を持って努力してほしい」

 東京成徳大学高校出身、吉田選手の後輩である女子ユニバーシアード日本代表チームの田中 真美子選手はその言葉に「ハッとさせられました」と感銘を受けます。このキャンプを経て、「まだまだ成長できるなと思ったし、そのためにはもっともっと頑張らないといけないと思ったのが素直な感想です。日本代表は無理な場所ではなく、前向きにもっと頑張って追いつけるようになりたいと思えました。それも今回トップ選手たちの近くにいられたからこそ、そういうふうに思えたのだと思います」と、女子日本代表入りを明確な目標へと変えています。同じく東京成徳大学高校の先輩であり、憧れの選手でもある大﨑 佑圭選手に自ら志願して様々なアドバイスを受け、「今回学んだものは全部自分のものにして、次の合宿にも呼ばれるようにしたいです」と意欲を見せています。

 女子U19日本代表チームの赤穂 ひまわり選手は、合宿前、女子日本代表の姉・赤穂さくら選手から「練習はきついよ」と言われて、このキャンプに臨みました。Wリーグで試合をした後の移動等も含めて「きつかった」そうですが、それ以上に「すごくみんな優しく教えてくださって、2時間の練習もあっという間に過ぎるくらい良い時間を過ごせました。楽しかったです」。ポジション別に意見交換をした際、ひまわり選手同様にインサイドからスモールフォワード(3番ポジション)にコンバートした宮澤 夕貴選手と長岡 萌映子選手の体験談を興味深く聞いていました。「二人とも3番になってその動きや役割が全然違い、今でもディフェンスは難しいそうです。でも、どっちのポジションの気持ちも分かるのがコンバートした良いところとも言ってました。そこは自分も強みにしながらディフェンスを頑張りたいです」と同じ悩みを共有することができたことで、やるべきことも明確になったことでしょう。

 ホーバスヘッドコーチはレベルアップするためにも競争が必要であることを常々言っており、このキャンプもそれを促していました。
「このチームが一艘の船だとしましょう。下から波が上がれば船自体も上がるのと同じように、チーム全体がレベルアップすることを期待してこのキャンプを実施しました。そのためには競争が必要であり、それがないと選手は上手くなりません。来年のことは誰にも分からず、だからこそ若い選手だって女子日本代表になれるチャンスがあるわけです。女子日本代表選手もレベルアップしなければ、若い選手との交代だってあり得ます」

 コーチも選手も皆が充実した時間を過ごすことができ、それぞれが刺激を受けたキャンプは大成功で終えました。各選手たちは所属チームに戻ってさらなる努力を続けなければいけなことが明確になりました。改めて女子日本代表を目指し、そして東京オリンピックのコートに立つための競争が始まったわけです。
 今後の「第84回皇后杯 全日本バスケットボール選手権大会」「第19回Wリーグ」などで、選手たちの活躍にぜひご期待ください。

※活動の様子はフォトギャラリーにてご覧ください。