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平成29年度女子U19日本代表チーム 世界4位の女子U19日本代表チームが帰国。快挙の喜びよりもメダルへの壁を実感
2017年8月2日
世界4位と過去最高位を記録した女子U19日本代表チーム
FIBAランキング2位のスペインを破ってベスト4進出
「FIBA U19女子バスケットボールワールドカップ2017」を終え、これまでの最高位であった7位(2011年チリ大会)を大きく上回る『世界4位』の好成績を残した女子U19日本代表チームが帰国しました。
「チーム全員で戦おうと話し合い、それをコートで表現することができました。常に元気で明るくて、個性的な選手が多くそれがプレイにも出たのかなと思います」と、#5澁谷 咲月キャプテン(早稲田大学 2年)はこのチームの特徴を挙げています。前日、アジアチャンピオンとなって凱旋帰国した「AKATSUKI FIVE」女子日本代表チームと同じく、女子U19日本代表チームも『チーム力』を原動力として世界に挑み、結果を残すことができました。
大会直前、イタリアとカナダを相手に練習試合を実施。「お互いに手の内を隠しながらの対戦でしたが、イタリアには速攻を出して快勝することができ、続くカナダとは10分×3ピリオドのスクリメージでしたが最後に勝つことができました。その勝利で選手たちも自信を持って大会に臨めたことが大きかったです」と萩原 美樹子ヘッドコーチが話すように、この準備がオーストラリアとの開幕戦の金星につながりました。
昨年、FIBA U17女子ワールドカップに出場し、オーストラリアが優勝したのを目の前で見ていた#14髙原 春季選手(アイシン・エィ・ダブリュ ウィングス)でしたが、「試合前から選手同士で『絶対に勝とう』と言ってましたし、その空気感がすごいありました。これは本当に行けるかもしれないというほど、みんなのモチベーションが高かったです」と振り返ります。初戦からチーム一丸となって戦うことができ、66-61でオーストラリアに競り勝ち白星発進。予選ラウンドを3連勝し、グループD1位通過。決勝トーナメント1回戦は同じアジアのライバル韓国を86-47で一蹴。準々決勝はFIBAランキング2位のスペインと対戦。厳しい戦いになるという予想とは裏腹に、前半を終えて46-25と日本が大量リードし、ワンサイドゲームのまま95-71で快勝したことに驚かされました。
先発メンバーの活躍もさることながら、途中出場するベンチメンバーが勢いづけていたこのチーム。萩原ヘッドコーチは、「選手選考した時からこのメンバーは12名全員を使えそうだと思っていましたが、実際に戦ったら本当にみんながそれぞれの役割を果たしてくれました。一人ひとりの個性がハッキリしていたので、この場面だったらこの選手を使ったらおもしろいという戦いができたのが良かったです」と言うように、チーム力を発揮します。負けなしの5連勝で6位以上に掲げた目標をクリアし、ベスト4進出を決めました。
メダルを懸けた最初の相手はアメリカです。2年前の女子ユニバーシアード日本代表チームを率い、同じく準決勝で2度の延長戦の末に敗れたアメリカ戦を指揮していたのも萩原ヘッドコーチでした。「ブレイクで走られないことを警戒し、セカンドチャンスでやられないことを徹底させました。1本目のシュートは結構落ちますが、リバウンドを取られた後のシュートでやられるのが2年前のユニバと全く一緒でした。とにかくボールラインに一人でも多くディフェンスに戻り、セカンドチャンスでやられないという点は、2年前の経験を生かして対策しました」と準備して臨み、第1ピリオドは22-24と互角の立ち上がり。しかし、中盤に離されてしまい、第3ピリオドを終えて43-65。第4ピリオド、22点リードを奪われた日本が猛追し、このピリオドだけの得点を抜き出すと23-8と大きく上回りました。しかし結果は66-73と惜しくも敗れましたが、最後まで諦めずに戦い抜き、7点差まで詰める立派な戦いを見せてくれました。
ラストゲームは、練習試合で勝利したカナダとの3位決定戦。しかし、本番ではカナダがイニチアシブを取り、60-67とアメリカ戦に続き7点差で敗れたと同時に、メダルへの壁を感じる試合となりました。#12馬瓜 ステファニー選手(トヨタ自動車 アンテロープス)は、「相手の気持ちや会場の雰囲気にのまれてしまいました。どのチームにも疲れはあったと思いますが、やはり身体の当たりなどで消耗し、最後に走りきれなかったのは悔しかったです」と反省点を挙げます。萩原ヘッドコーチは常に「勝利の女神は細部に宿る」と、細かいところまで徹底しなければ世界では勝てないことを選手たちに伝えてきました。しかし、カナダはその部分で上回り、「小さいところ、目立たないところでやられてしまったのが痛かったです」と#14髙原選手は最後の場面で徹底できなかったことを悔やみます。
あらためてメダルへの壁について、萩原ヘッドコーチはこのように分析しています。
「メダルを獲る上位チームは、しっかりと打開できるセットオフェンスが3~4つは絶対にあります。ディフェンスでは、決勝のアメリカvsロシア戦を見ても、ロシアが適宜ゾーンディフェンスを使ってアメリカを破り、優勝しました。我々もゾーンの練習をしたかったですし、必要なのは分かっていたのですが、その時間を取ることができませんでした。この年代はまだまだ基礎知識や経験が足りない分、習得に時間がかかります。新しいことを教えて混乱させるよりは、習得したことを徹底させることに時間を費やすことしかできませんでした。しかし、それだけではメダルには届かないということを実感しています」
今大会で得た課題を克服し、レベルアップしていくことで、着実にメダルへと近づく道筋は見えました。この世代が底上げすることで、「AKATSUKI FIVE」女子日本代表チームにとっても、東京オリンピックでのメダル獲得という目標に近づいていくはずです。
大半が大学生とWリーグで1年目を迎える今後の成長が楽しみな選手たち。Wリーグのルーキーシーズンへ向け、#14髙原選手は「世界でもそうでしたが、Wリーグでも身長は大きくありませんが、それでも得点を獲れる選手になりたいです。そのためには今よりもプレイの幅を広げていきたいです」と抱負を語っています。大学生の#5澁谷選手もまた、「大きな選手が相手でもシュートを打てるということは自信になりました。もう思い切ってやろうと吹っ切れて試合に臨めたことで、シュートを決められたと思います」と話しており、Wリーグや大学バスケでも世界4位となった選手たちの活躍が期待されます。今後も、選手たちを成長を温かく見守っていただきながら、ご声援よろしくお願いいたします。